北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は、7月4日の「火星14」の試射に立ち会った際に「大陸間弾道ミサイル(ICBM)は米独立記念日の贈り物」と語ったそうです。この北朝鮮の挑発行為を受け、朝鮮半島の地政学リスクが高まった結果、先週末7日の日経平均株価は一時1万9856.65円の直近安値を付けました。
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ですが、7月7日に発表された6月の米雇用統計が好調だったことで、米国株が上昇し、外国為替市場でドル/円相場が円安に振れたため、週明け10日の日経平均株価は3日ぶりに反発し、心理的節目の2万円大台を回復しました。
米雇用統計が日本株上昇の追い風に!
FRB議長の議会証言や米小売売上高にも要注目
6月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比で22万2000人増と市場予想の17万人増を大きく上回り、4、5月分も上方修正されました。その一方、平均時給は前年同月比2.5%増と、前月から0.1ポイントの増加にとどまりました。
つまり、賃金の伸びが鈍く、インフレリスクは低いため、FRBが急激な金融引き締めをする可能性は低そうです。これは世界の金融市場全体にとって、もちろん日本株にとっても安心材料です。
また、欧米の金利上昇期待の高まりも日本株にとって追い風です。
まず、ECB(欧州中央銀行)が7月6日に公表した6月の理事会の議事要旨で、追加緩和を示唆する文言の削除を検討したことが明らかとなり、欧州では、量的緩和策縮小の思惑が強まっています。これを受け、足元では、ドイツなど欧州の国債とともに米国債が売られ、米長期金利も上昇基調です。
これはドル高、ユーロ高、円安要因です。わが国輸出企業にとってポジティブな材料です。
ただし、7月下旬に、3月決算企業の第1四半期業績の発表が本格化します。この決算内容を見極めたいとのムードが強まることが予想されるため、日経平均株価がガンガンと上値を追うことは難しいでしょう。
また、今週は7月12、13日のイエレンFRB議長の議会証言や、14日の6月の米小売売上高、6月の米消費者物価指数(CPI)の発表など、重要イベントがあります。これら一連のイベント通過後、米国金利が上昇するようなら、為替市場で対ドルでの円安が進み、日経平均株価の上昇トレンドの発生が見込めるでしょう。
一方、米金利が横這い、または低下するようなら、円安期待は抱けないため、日経平均株価の上値の重い展開が続く見通しです。
日経平均株価の値動きが重い一方、
投資家の資金はヒアリ関連に流入か!
メインシナリオは、日経平均株価の下値は堅いものの、上値は重い状況が続くというものです。こうなると、短期資金は、主力の大型株を避け、中小型の材料株への流入を継続させるでしょう。つまり、個別株物色の色彩の強い相場が継続するとみられます。
現在、様々な物色テーマがありますが、足元で最も注目度の高いテーマが「ヒアリ」です。
5月26日、中国広東省の港から神戸港を経て兵庫県尼崎市に輸送されたコンテナ内部にいた、国内初のヒアリ発見を皮切りに、ヒアリが日本で相次いで見つかっています。
これを受け、菅義偉官房長官は7月7日の記者会見で、ヒアリの防除に政府として対策を講じる考えを示しました。また、名古屋市の河村たかし市長は7月10日の記者会見で、ヒアリ対策強化を山本公一環境相に書面で要望したと明らかにしています。
このような行政の危機意識の高まりを受け、株式市場では、ヒアリ関連銘柄が賑わっているのです。ちなみに、ヒアリは、南米中部が原産で、現在はアメリカ、中国、台湾などの環太平洋沿岸諸国に定着しており、刺されると火傷のような激しい痛みを生じ、毒性が強く、毒針で刺されるとアレルギー反応で死にいたる危険性があるということです。
このような状況下、株式市場では、害虫対策商品や、関連サービスの需要が高まるとみた買いが入り、殺虫剤や害虫対策を手掛ける企業の株価が堅調なのです。
アース製薬やフマキラーなど
ヒアリ関連銘柄が続々と最高値を更新
アース製薬(4985)は7月7日、「国内の殺虫剤に、「ヒアリ」を対象害虫とした商品はございませんが、ヒアリ自体は薬剤抵抗性が特別に強いわけではありませので、通常のアリ用殺虫剤でも十分に効果が発揮されると考えられます」と公表しています。そのアース製薬の株価は、11日前場に6520円まで買われ、連日で上場来高値を更新しています。
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また、環境省などにすぐに殺虫剤を提供したフマキラー(4998)は、1993年に「アルゼンチンアリ」が日本に侵入した際には、要請を受けて対策マニュアルを作成した経験があり、行政との協力を進めていくということです。ちなみに、フマキラー株は、7月7日、1987年3月に付けた上場来高値をおよそ30年ぶりに更新、その後10日には1370円の上場来高値を付けています。
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また、シロアリ防除を手掛けるアサンテ(6073)は、7月7日に2157円の上場来高値を付け、サニックス(4651)も5日に320円の年初来高値を付けるなど、強い動きとなっています。
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そして、新しい概念の防虫忌避素材で、虫を殺さず遠ざける、「ARINIX」を開発したニックス(4243)も7月5日に1645円の年初来高値を付けました。同社の取扱商品は「虫の嫌がる網」、「虫のイヤがるテープ」、「虫忌避テープ」です。
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ちなみに、ウェーブロックHD(7940)の子会社ダイオ化成が、「虫のイヤがるテープ」と、「虫忌避テープ」の2種類を用意し、ホームセンターや通信販売サイトで扱っていますが、この防虫成分はニックスが開発した、防虫成分が徐々に染み出る特許取得技術を使用しています。
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テーマ株は大きな相場に育つ可能性もあるが
常に手仕舞いを意識することも必要
このようなテーマの場合、今後は、不謹慎ながら被害報告が相次ぐようなら物色が盛り上がる見通しです。その被害発生範囲が広ければ広いほど、また、被害者の数が多ければ多いほど、そして、被害の深刻度重大であれば重大なほど、大きな相場に育つことになります。
ただし、テーマ株相場に乗る際には「割り切り」が必要なことはいうまでもありませんが、最も重要なことは「しまったは手仕舞え」を躊躇なく実行することです。機敏に売買し、是非、上手く相場に乗ってください。
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