トランプ大統領誕生から1年が経過
その間、米国株式市場は順調に推移
2016年11月8日に米大統領選挙があり、ドナルド・トランプの勝利が判明しました。あれからほぼ一年が経過したので、これまでの軌跡を振り返ってみたいと思います。
株式市場は、大統領選挙の後に急伸した後も、ずっと堅調に推移しています。

※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。
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現在、S&P500指数の向こう12カ月のEPSに基づいた株価収益率(PER)は、ちょうど18倍となっています。ちなみに、過去10年間の平均は14.1倍です。
それは、言い換えれば「米国株は割高な水準まで買い進まれている」ことになります。
しかし、今の水準が割高だということと、だから直ぐマーケットが急落するということは別問題です。割高なままでマーケットがずっと推移するケースも、過去に何度も見られてきました。
米国の株高の背景には
低金利やドル安など好条件が揃っている。
現在の株高の背景には、1)企業収益の堅調、2)低金利、3)ドル安という好条件がそろっていることがあります。
まず企業収益ですが、2017年のS&P500のEPSは、去年に比べて+10.1%の上昇が見込まれています。すると、マーケットが去年と同じバリュエーション(それはPERと言い直しても良いです)を維持したと仮定して、+10.1%の株価上昇が正当化できるわけです。
実際にマーケットは、年初来+15.3%上昇しています。すると、EPSの伸長で説明できない残りの部分は、いわゆる「マルチプル・エクスパンション」、すなわち市場参加者が「このくらいの値段は、払っても良いな」と考えるバリュエーションの「許容範囲」が拡大したと解釈できます。
トランプ大統領誕生後の米国市場で
マルチプル・エクスパンションが起きた理由
なぜ、マルチプル・エクスパンションが起きたのでしょうか? それを説明します。
一般に、債券利回りと株式は競争関係にあります。その意味するところは、リスクの低い債券を抱えているだけで満足なリターン(利回り)が得られるのなら、わざわざ株式に投資するまでも無いということです。
逆に債券を買っても利回りに魅力が無ければ、「もう少しリスクを取ってみようか?」という心の動きが出て、株式が選好されやすいのです。
この見地から、過去1年の米国10年債利回りを見ると、下のチャートのように推移しています。
チャートを見ると、2016年11月8日の大統領選挙の後で、利回りが急伸していることがわかります。
これはどうしてかというと、「トランプは、大型インフラ投資計画をぶち上げる!」とか「トランプは大型減税を行う!」という期待が、投資家の間に生まれたからです。これらはいずれも債券の売り要因であり、債券価格が下落すればするほど、その利回りは上昇するというわけです。
このような状況では、株式の相対的な魅力が低下します。つまり去年の大統領選挙の直後は、株式にとってアゲンストの風が吹いていたのです。
ところが実際にトランプが大統領になってみると、トランプ政権の議会への働きかけが稚拙なこともあり、期待された法案はこれまでのところ悉く不発に終わっています。上のチャートで、債券利回りがその後横ばいからややダレ気味になっているのは、そのためです。
もちろん、大型インフラ投資や大型減税が実現しなかったのは、ガッカリさせられる要因です。しかし、債券利回りの低下は、株式バリュエーションの下支え要因でもあるのです。
ドル安がもうひとつの株価支援材料に
同様のことは、ドルについても言えます。下は、貿易加重ドル指数のチャートです。
トランプ当選後に急騰したドルは、その後、「行って来い」になっています。
いまドル安になると、米国の輸出企業の業績見通しは改善します。これが、もうひとつの株価支援材料だったのです。
【今週のまとめ】
当面は株高が続くと予想できるが
急激な原油高は要注意!
トランプが当選した直後、市場参加者は大型インフラ投資や大型減税などの、景気拡大に拍車をかける施策に期待を寄せました。しかし、それらは何も実現せず、ガッカリさせられました。
それでもマーケットが下がらなかった理由は、債券利回りの低下やドル安が株式のバリュエーションを下支えしたためです。
今はインフレが進行していないので、この構図はしばらく続きそうです。もしそれが崩れるシナリオがあるとすれば、突然の急激な原油高でしょう。したがって原油の動向にとりわけ注意したいと考えています。
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