直近の日経平均株価は
円高を背景に調整を続ける
外国為替市場での円高を背景に、日経平均株価は調整を続けています。
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一段の円高になったきっかけは、FRBが11月22日公表した、10月31日〜11月1日開催のFOMC議事録でした。政策担当者の多くが金利を「近い将来」に引き上げる必要があるとの見方を示していたことが分かった一方で、「年2%」の目標を下回る物価上昇率への懸念が相次ぎました。
このため、市場では、次回12月12〜13日のFOMCでの利上げを確実視する一方で、その後の利上げピッチが鈍るとの見方が強まり、米長期金利が低下し、その結果、ドルが対主要通貨で売られています。
日経平均株価に対する下落不安は後退
年末は日米のアノマリーに期待
ただし、足元では、投資家の日経平均株価に対する下値不安は大幅に後退しているようです。実際、11月27日の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)の終値は17.72、高値は18.03、安値は17.56と、心理的節目の「20」を安定的に下回っています。
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確かに、日経平均株価は11月9日の2万3382.15円でピークアウトし、調整を続けています。ですが、16日の2万1972.34円でボトムアウトし、チャート的に25日移動平均線がサポートとして意識され続けているため、需給は全く悪化していません。これが買い方の安心材料になっているはずです。
また、3月期決算企業の中間配当の支払日が、12月1日前後に集中しています。このため、配当の再投資効果の発現で、2000年~2016年の17年間に11月最終日を含む週が上昇したことは16回と、「11月最終日を含む週の株価は上昇しやすい」というアノマリーが一部で指摘されているようです。
一方、米国では、11月23日の感謝祭の祝日を含む今週から年末にかけてのホリデー・シーズンの相場は上昇しやすいという「アノマリー」が知られています。
これら「アノマリー」通りになるようなら、米株式市場では「クリスマスラリー」(クリスマスから新年1月にかけて株価が上昇する現象)、日本では、「掉尾の一振」(とうびのいっしん。大納会に向けて株価が上昇する「年末に起きる株高」)の実現につながることでしょう。
IPO銘柄が牽引役となり
小型材料株を売買するアクティブ個人が活発化
ところで、足元では大型株の上昇が一服していることもあり、新興市場を中心とした小型材料株への短期資金の流入が継続しています。このため、信用取引などを活用して積極的に短期売買を繰り返すアクティブ個人の相場の体感温度が上昇しつつあります。
牽引役は直近IPO銘柄です。実際、過去1年間に上場した企業の値動きを示す「QUICK IPOインデックス」は11月27日まで7日続伸し、2006年9月以来約11年2カ月ぶりの高値を付けました。
なお、今年の12月には、前年同月より9社増加し23社が上場を予定しています。単月ベースでは金融危機後の最高だった2014年12月の28社以来、3年ぶりの高水準です。
このため、師走相場における小型材料株では、「IPO・直近IPO銘柄」が物色の柱になることでしょう。新鮮味を考えると上場3カ月以内の銘柄のうち、上場来高値を更新し続けている「強い銘柄」がリーディング・ストックになる見通しです。
ツイッターで拡散した情報を会社側が否定したことで
大阪油化工業の株価が急落
なお、11月27日引け後、順調な値上がりを実現していた大阪油化工業(4124)に投資していた人達にとって、まさに「青天の霹靂」となる適時開示が会社側から発表されました。
11月27日18時30分、会社側は「当社有機EL精製技術に関する一部投資情報誌掲載記事について」と題して、「一部投資情報誌(投資手帖2017年12月号6ページ)において、当社の有機EL精製技術に関する記事が掲載されましたが、この記事は当社の公表によるものではありません。また、当社で米アップル社の新型iPhoneに搭載された有機ELディスプレイ素材の精製を行っている事実はありません。」と正式にリリースしたのです。
『投資手帳』は少部数の投資専門誌なのですが、当該記事では、「例えば、米アップル社の新型iPhoneに搭載された有機ELディスプレイ素材の生成技術には同社の特許が使われている」と記載されていました。この記事がツイッター等を通じて瞬く間に拡散したことで、大阪油化工業は急激に人気化し、11月22日から27日まで3日連続でストップ高を記録したのです。
そんな矢先、先ほどのIRです。買い方は完全に梯子を外された格好です。高値でJC(ジャンピングキャッチ)した買い方の多くは複雑骨折、信用全力買いしている方は退場必至の情勢になったと観測されます。
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このような悲劇に巻き込まれないためには、雑誌やツイッター情報を鵜呑みせず、自分自身で発行会社のIR担当者に直接電話して、記事の真偽を確認し、買うか、売るか、見送るかを判断するべきでしょう。
この「IR担当に電話をして確認する」という手間を省くと、たまに、このような事故に巻き込まれてしまいます。特に、1回でもストップ高するような大きな材料に関しては、この確認の手間を惜しむべきではありません。
ツイッター情報は「便所の落書き」と同じレベル
特にザラ場中の書き込みには注意!
ツイッター情報の出し手の大部分は、顔も本名も晒してない匿名のアカウントです。書き手は、どんな経歴で、どれほどの腕前なのかは全くの不明です。また、彼らの書き込んでいることがどこまで真実に基づくものかも検証のしようがありません。
通常の株式投資では、最低でも数十万円、数百万円のロットで個人は投資しているはずです。そのような多額の投資をする際に、買うか売るかの判断を「匿名のアカウントの書き込み」に頼るのは極めてリスクが大きいと考えるのが妥当でしょう。
例えば、駅で見知らぬ人が、「あなた株やっていますか? 私は億トレです。最近の相場で儲かって儲かってしかたがありません。だから、あなたに儲かる銘柄を無料で教えます。コード番号〇〇〇〇は鉄板ですよ。すぐ買っときなさいね!」といきなり言われて、その銘柄を買いますか?
また、駅のトイレに入ったときに、便座の横に、「コード番号〇〇〇〇、これ割安だから買っとけ! 明日はストップ高かも?」という落書きみて、買いますか?
ツイッターの書き込みなんて、「便所の落書きと同じレベル」とみておく必要があります。もちろん、有益な書き込みも極めて稀ですがあるにはあります。しかし、情報の選別能力に自信がある方以外は、全部「糞情報」と単純に決めつけておいた方がいいと思います。
とりわけ、ザラ場中の書き込みで売買することは、腕に覚えのある方以外、避けた方が無難です。
大抵、書き込まれるのは、ザラ場中勢いよく上昇している銘柄群です。その上昇過程で、「まだまだ割安!」「早くしないとストップ高に張りついちゃうよ!」「明日もストップ高かな?」「明日は高値更新かな?」「目標〇〇〇円!」などと、まだ当該銘柄に乗れていない投資家を焦らせるべく、彼らは買い煽るのです。そして、その買い煽りで冷静さを失った投資家は高値を掴むことになるのです。その一方、彼らは売り抜ける。まあ、こんな構図です。
ちなみに、経験則上、煽り屋は前日比マイナスで推移している銘柄は煽りません。もちろん、プラ転してきたら、鬼の首を取ったかのように買い煽る傾向はありますが……。
ツイッターに書き込まれた銘柄はいったんリスト化し
時間のあるときにゆっくり精査しよう
全部が全部とは言いませんが、買い煽りをしている、または煽らないまでもザラ場中に小型株を紹介している書き込み殆どは、ポジショントーク(自分の買いポジションに有利 な情報、見通しを述べて、意図的に自分に有利なように誘導しようとしている発言)です。
ボランティアで書き込む、お人好しは、まあいませんよね。書き込むには書き込むだけのメリットが書き手にあるはずです。その書き込みをみて株を買う投資家は、彼らにとってのまさに「ATM」です。
都市伝説ですが、株クラスタには、「株式アオリスト(煽りスト)」という職業があるそうです。予め仕込んでいた銘柄を、ツイッターを利用して買い煽り、信者やイナゴと呼ばれる個人投資家に高値で売りつける簡単なお仕事です。信者が多ければ多いほど、すなわち、フォローワーが多ければ多いほど、飯を食うのに困らないため、フォローワーの新規獲得が彼らの一番の関心事だそうです。
それはともなく、彼らの「ATM」になりたくなかったら、どうするべきか?
私からの「ツイッターの活用案」としては、有名アカウントは一応一通りフォローします。そして、紹介された銘柄をリスト化しましょう。しかし、ザラ場中は絶対に買わないようにします。その後、時間のある時に、ゆっくりとリスト化した銘柄群を自分自身で分析するのです。
そして、最終的に「これはいける!」とあなたが思った銘柄だけ、後日、丁寧に押し目を拾うという戦略を推奨します。
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