ギリシャ総選挙の結果が、さらなるユーロ安を呼ぶ?
一方、5月6日にはギリシャでも総選挙がありました。
これを書いている時点(日本時間5月7日朝7時)では、各政党の最終的な獲得議席数の情報は未だ入っていません。
しかし、今回の選挙ではこれまでの第一党だった全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が、議席比率を解散前の43%から14%前後に落とし、第三党に転落した模様です。逆に、第二党だった新民主主義党(ND)が第一党に躍り出ました。
ギリシャの総選挙では第一党には50議席(16.6%)のボーナス議席が与えられることになっています。従って、今回獲得議席数約58議席(19%)とボーナス議席を合算した議席数は108議席(36%)程度になると見込まれています。
今回最大の番狂わせとしては、急進左派連合(シリザ)が議席比率を解散前の4%から16%前後に伸ばし、全ギリシャ社会主義運動を蹴落として、第ニ党に躍進した事です。
今回の結果をグラフで示すと下のようになります。内側の円が今回の結果で、第一党となった新民主主義党の議席比率にはボーナス議席の16.6%を含めてあります。新民主主義党ひとつでは過半数に満たないわけですから、どこかの政党と組んで多数派を形成しなければいけません。
その場合、伝統的には全ギリシャ社会主義運動が交渉の相手となってきました。しかし今回は新民主主義党の36%と全ギリシャ社会主義運動の14%を合計しても過半数の51%に届かないかもしれないのです。その場合は、急進左派連合と組まなければいけません。
そのへんの話し合いがどうなるかは未知数だと思います。幸い急進左派連合はユーロにとどまることを主張しています。
なお新民主主義党、全ギリシャ社会主義運動、急進左派連合の各政党は、いずれもIMF(国際通貨基金)と合意したギリシャ救済合意の条件緩和を主張しています。したがって、今後の多数派工作がどう転んでも、ギリシャ救済合意の条件は再交渉される可能性が高くなっています。
切り詰めだけでは、努力が水の泡になる
今回のフランスとギリシャの選挙で浮き彫りになったことは、せっかく、苦労して財政切り詰めの合意をしても、選挙で次々にそれらの政党が国民から退けられることで、努力が水の泡になっているということです。
その意味でも、たんにぎゅうぎゅう締め付けるだけではなく、どうやって成長や雇用を創出していくかという問題に欧州が取り組まなければいけない、ということが再認識されました。
なお、ギリシャ救済合意の再交渉に代表される、過去の取り決めの後退は、ユーロ安要因です。
ユーロ安という事自体は、こと成長という観点からみれば、むしろ歓迎される展開です。とりわけ欧州株にとっては政治家の関心が成長戦略にシフトしてきていることは強気要因です。
FacebookのIPO間近で、若いネット企業も連想高?
最後に、米国ではいよいよFacebookのIPO(新規株式公開)に向けた「ロードショー」がスタートしました。ロードショーとは、各地で開催される会社説明会のことです。
値決め予定日はいまのところ5月17日、取引開始は18日だと予想されています。初値設定は28ドル~35ドルになっています。セカンドマーケットなどの未公開株私設取引市場では44ドルの株価がついていたので、今回の初値設定はかなり低めだと思います。
主幹事証券の狙いとしては、ロードショーの進行過程で需要が積み上がるにしたがい、この初値レンジを切り上げることを目指していると思われます。
初値レンジ切り上げのニュースは早ければ今週中にも発表されると思います。その場合、過去1年くらいの間に株式公開された、若いネット企業の株価が連想から連れ高を演じる可能性があります。
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