世界の中央銀行によるゴールドの買付量が
アメリカが金本位制を離脱して以来、過去最大に!
10日ほど前に発表された権威あるワールド・ゴールド・カウンシルの「ゴールドの需要トレンド」のレポートによれば、去年、世界の中央銀行は過去最高の651.5トンの金塊を購入したそうです。これは、1971年のいわゆる「ニクソン・ショック」でアメリカが金本位制を離脱して以来、過去最大の買付量でした。
ゴールドの需給の全体像は、
中央銀行が買い、ETFが売り向かう形に
この651.5トンという買付け量は、どのくらいインパクトを持つのでしょうか?
2018年の世界のゴールドの需要は4345.1トンでした。つまり、651.5トンという中央銀行による買付けは、その約15%に相当するわけです。また、2017年に比べると、2018年の中央銀行のゴールド買付け量は+276.7トンでした。
一方、需要減少要因としては、ETF(上場型投信)が-137.5トンの売り越しでした。
なお、ゴールドの需要のうち一番大きいのはジュエリー向けの需要(2200トン)ですが、これは2017年にくらべて殆ど変化はありませんでした。
要約すれば、中央銀行が買い、それにETFが売り向かうという取組みになっているのです。
世界の中央銀行の中で積極的に金塊を買っているのはロシア(274.3トン)、トルコ(51.5トン)、カザフスタン(50.6トン)などでしたが、その他にも幅広い国々の中央銀行が買い手の側に回りました。
金価格は、中央銀行が買い姿勢を強めると上昇し、中央銀行の買いが後退すると弱含むという相関性を見せています。このことは、「買いの本尊」としての中央銀行の存在が価格形成に重要な影響を及ぼしていることを示唆します。
現在、それらの中央銀行の中でも最もアグレッシブにゴールドを買っているのは、ロシアです。ロシアの外貨準備の中でゴールドが占める割合は18.5%であり、これは米国(74.8%)やドイツ(70.1%)に比べると未だ増える余地があると言えそうです。ロシアのゴールド買付けの原資は、米国財務省証券です。つまり、トレジャリー・ボンド(米国債のうち償還期間が10年超のもの)を売却して、ゴールドに乗り換えているわけです。
FRBの利上げ減速やビットコインの低迷が
ゴールドにとって強気の材料に
金価格の先行きに関しては、強気材料がいくつもあります。

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まず、米国のFRB(連邦準備制度理事会)は当分利上げせず、辛抱強く景気の先行きを見守ると発表しました。一般に、利上げは金価格下落要因です。したがって、当分利上げがないということは、ゴールドが見直されるキッカケを提供すると思います。
次に、中国や欧州の経済がここへきて鈍化していることが挙げられます。つまり、世界の中央銀行は、緩和的なスタンスを維持し続けなければいけないのです。これもゴールドには強気の材料です。
去年は「ビットコインが人々の暮らしに定着するとゴールドは誰も見向きもしなくなる」ということが言われました。しかしその後、ビットコイン価格は低迷しており、価値の保存手段としてのゴールドが見直されつつあります。
一方、冒頭で言及したように、未だ個人投資家はETFを通じて保有しているゴールドを処分中です。つまり、中央銀行による猛烈なゴールド買いの材料に、まだ大多数の投資家は気付いていないのです。
手軽にゴールドに投資するには、
金ETFや産金会社の株がおすすめ!
ゴールドに投資する一番簡単なやり方は、SPDRゴールドシェア(ティッカーシンボル:GLD)に投資することです。これは、金地金価格に連動するように設計されたETFです。ニューヨーク証券取引所に上場されており、米国株に買い注文を入れるのと全く同じ手法で購入することが出来ます。

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産金会社の株式を買う方法もあります。例えば、米国を代表する金鉱株、ニューモント・マイニング(ティッカーシンボル:NEM)は最近、ゴールドコープ(ティッカーシンボル:GG)と合併すると発表し、世界No.1の地位を固めました。
ニューモント・マイニングは、米国のネバダ州、ペルー、アフリカなどに事業展開していますが、今回、一緒になるゴールドコープは、カナダ、メキシコ、アルゼンチンに金山を持っています。合併後の新会社の年間生産高は790万オンス、確認埋蔵量は1.21億オンスとなります。

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【今週のまとめ】
世界経済の先行きが不安視されている今こそ
投資先としてのゴールドに注目!
10日ほど前に発表されたワールド・ゴールド・カウンシルのレポートによると、去年、世界の中央銀行は過去最高のペースでゴールドを買い込みました。金価格は中央銀行が買うと上がり、売ると下がる傾向があります。FRBが当分利上げしないと発表したことも金価格支援材料です。
最も簡単な投資方法としては、SPDRゴールドシェアが良いでしょう。世界最大の産金会社、ニューモント・マイニングに投資するという手もあります。
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