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外出禁止令が段階的に解除され始めたからこそ、
「新型コロナに感染しているかのテスト」が重要に
米国の一部の州では、先週あたりから新型コロナウイルスに絡む外出禁止令が段階的に解除され始めています。人々が職場に戻り、レストランでの食事やショッピングを楽しめるようになることは歓迎すべきですが、その反面、感染者が歩き回ることで再び感染が拡大する懸念もあります。
そこで重要になるのが、「新型コロナウイルスに感染しているかのテスト」と「感染者の追跡調査」です。このうち今日は、テストに関して解説します。
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大量にテストを実施するには、現在主流の「PCR検査」よりも
短時間かつ低コストで判定できる「新しい検査方法」が必要
現在、主流となっているテストは「PCR検査」という手法です。これは、ウイルス遺伝子を増幅することで感染しているかどうかを判定する方法ですが、難点として、テストの手順が複雑で判定までに時間がかかることと、コストが高いという点が挙げられます。
米国政府は、「1週間に400万回くらいのテストが実施できなければ、感染の状況をしっかりモニターし、追跡調査へ結びつけることはできない」と考えています。
早い話、「テストのコスト」「テストの手軽さ」「テストの結果が出る速さ」の3つの点において、PCR検査では不十分なのです。1週間に400万回のテストをこなそうと思えば、テスト装置自体のコストが10万円を切り、1回のテストの費用を2000円くらいに抑えることが必要となります。
新型コロナの感染を判別する新たなテストとして、
クワイデルの「ソフィア抗原生物検定」が緊急使用承認を獲得!
クワイデル公式サイトのトップページ
このシビアなハードルを越える最初のテストが、先週、米国食品医薬品局(FDA)から緊急使用承認を獲得しました。それが、クワイデル(ティッカーシンボル:QDEL)の「ソフィア抗原生物検定(抗原検査)」です。
「ソフィア抗原生物検定」は小型卓上分析装置を使った検査で、現在の主流モデルである「ソフィア 2」の価格は、約8万5千円です。
この分析装置、ならびに分析装置に挿入されるプラスチック・カートリッジ(=その中に生物検体が入っています)などのソリューション一式を作っているのが、サンディエゴに本社を置くクワイデルです。
「ソフィア 2」は、町医者でも簡単に使えるシンプルなユーザー・インターフェースになっており、より安く、より正確に、標準化されたテストを実施できます。
「ソフィア 2」の外観(出典:クワイデル)
サンプルをプラスチック・カートリッジでテスターに挿入すると、3分、5分、8分、10分、15分という間隔でインキュベーション(培養)が実行され、最長15分で診断が判明します。つまり、待合室で待っている間に検査結果が判明するのです。
検査結果は印刷出力されるだけでなく、デバイスにも自動保存されます。その集計されたデータは、政府の伝染病予防チームが「アメリカ全体として伝染がどう広がっているか?」を把握することに大きく役立つと期待されています。
クワイデルは、もともとインフルエンザ診断装置などを作ってきた会社で、新型コロナウイルスのテストを行える分析装置だけでも、すでにアメリカで4万7千台が稼働しています。ですから、抗原生物検定用のプラスチック・カートリッジさえ量産すれば、すぐに検査を普及できるのです。
「抗原生物検定」は、「PCR検査」より正確性で劣るものの、
企業や学校などの現場でテストが行えるのがメリット
PCR検査が、ウイルス遺伝子を増幅することで感染しているかどうかを判定するのに対し、クワイデルの抗原生物検定は、新型コロナウイルス(=抗原)そのものを発見する手法です。
抗原生物検定の正確さは85%と、PCR検査には劣ります。しかし、今アメリカで切実に必要とされているのは、会社、薬局、学校、トラベル業界などが自分のオフィスに分析装置を常設し、自社の従業員や生徒、旅行客などを、その場で、自分たちでテストできることです。
クワイデルは、数週間以内に毎週100万回分のプラスチック・カートリッジを出荷可能です。
もちろんテスト市場は業者が乱立しており、今後、新規参入が予想される大手だけを例にとってもロッシュ、アボット(ティッカーシンボル:ABT)、BD(ベクトン・ディッキンソン、ティッカーシンボル:BDX)などがあります。ただ、テストのニーズの大きさから考えれば、複数のプレーヤーが活躍する余地は十分にあるでしょう。
先週発表されたクワイデルの業績は好調!
今後、さらに劇的な成長を見せる可能性も
クワイデルは、5月6日に第1四半期決算を発表しており、EPSが予想95セントに対して1.22ドル、売上高が予想1.61億ドルに対して1.75億ドル、売上高成長率が前年同期比+18.0%でした。
循環器免疫測定法の売上高は、前年同期比-18%の5390万ドルでした。売上高が急減した理由は、今、新型コロナウイルスにより米国の病院が大忙しになっていることで、通常の病気で胸の痛みを訴える患者が病院に行き辛かったことによります。
分子診断技法の売上高は、前年同期比+49%の840万ドルでした。これは、将来のドル箱部門に育つと期待されます。
そして3番目の部門であるインフルエンザ診断の売上高は、前年同期比+69%の7960万ドルでした。このインフルエンザ診断に使う装置が「ソフィア2」であり、今後新型コロナウイルスの抗原生物検定を行う際のプラットフォームとなります。
ちなみにインフルエンザのテストは、1回当たり1000円程度の費用がかかります。新型コロナウイルスの抗原生物検定の料金は企業秘密で公開されていませんが、おそらく2000円くらいになると思います。そしてテスト回数は、インフルエンザテストより遥かに大きなボリュームになることは間違いありません。新型コロナウイルスの抗原生物検定(抗原検査)が本格的に始動すると、どのくらいクワイデルの売上高に寄与するかは、自ずと想像がつくでしょう。
今後、クワイデルの動向には要注目です。
クワイデル(QDEL)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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