「お宝銘柄」発掘術!

「物流」関連の銘柄に注目! 新型コロナのピークアウトが見えてきた今、経済活動の再開による活性化が期待できる「運送会社」や「物流施設」関連株を紹介

2020年5月7日公開(2022年9月20日更新)
村瀬 智一
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 政府は、5月4日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、全国を対象に、緊急事態宣言の期間を従来の5月6日から5月31日へと延長することを正式決定しました。

 特に、東京都や大阪府などの特定警戒都道府県については、それ以外の地域と感染状況が異なることから、従来同様に「8割の接触減」という行動の制限を政府は求めています。一方、それ以外の県では、「新しい生活様式」を前提に、制限の一部を緩和する方針を示しました。

 緊急事態宣言の延長は事前に市場でも予測されていたことであり、この決定自体が株価にネガティブな影響を与える可能性は低いでしょう。むしろ、感染状況および専門家の分析次第では期限を待たずに緊急事態宣言を解除する可能性があることや、追加の経済対策について首相が言及したことに対して、投資家は好感を持っています。

外出制限の緩和や経済再開に向けた動きから、
市場では「物流」関連株への買いが予想される

 こうした国内の状況に対して、ヨーロッパやアジア各国では、これまで制限していた外出や経済活動の制限の緩和が徐々に始まっています。

 依然として感染拡大の第2波に対する警戒が必要で、楽観視は一切できない状況ではありますが、株式市場は基本的に「今」ではなく「この先」を見て動くものです。その結果、投資家の思惑が最終的な実態とは乖離することも多々ありますが……。いずれにせよ、各国で制限緩和の動きが出てきている以上、投資家は「この先」のことを想定しておく必要があります。

 具体的に注目したいのは、「物流」関連企業への物色です。先行する海外の動きによって、国内でも経済活動の順次再開による物流の活発化が想定されることで、先回り的な買いが予想されます

 実際、米国でも、新型コロナウイルスが追い風となる企業としてアマゾン・ドット・コム(AMZN)が注目されています。消費者が在宅勤務やオンラインでの買い物に慣れてくるにつれ、アマゾン・ドット・コムの売上高が増加していることが好感されています。貨物事業の収益が拡大しつつあることで、アマゾン・ドット・コムが自社で航空機を保有する可能性なども考えられているようです。

 また、貨物航空会社のアトラス・エアー・ワールドワイドホールディングス(AAWW)も人気化しており、4月29日には年初来高値を更新しました。

 国内では、成田国際空港の貨物取扱量が、3月、4月と2カ月連続で増加しています。旅客便が運航を休止している一方で、荷物を運ぶ貨物便が増加していることになります。ANA(9202)では、1便当たりの搭載量を増やす取り組みの一つとして旅客機の客席に貨物の搭載を始めており、JAL(9201)も旅客便を貨物専用として飛ばすことで売り上げ確保を狙っています。

緊急事態宣言が解除されて飲食店の営業再開が始まると、
食品関連企業を顧客とする物流施設に恩恵が!

「物流」関連の銘柄としては、陸運のメインであるトラック運送会社のほか、物流施設を展開する企業に恩恵があると考えられ、特に食品関連企業をメインの顧客とする物流施設には恩恵がありそうです。なぜなら、経済再開の動きによって休業中の飲食店が徐々に再開を始めるほか、すでにロックダウン解除へと動き出した中国から、食品や日用品などの輸入が回復してくると考えられるからです。同様の理由から、企業の物流関連業務を委託されて一元管理を行う「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)」というサービスも注目されます。

 物流業界で売上高上位にいる大手企業としては、以下のような銘柄が挙げられます。

日本郵船(9101)
日本通運(9062)
ヤマトホールディングス(9064)
SGホールディングス(9143)
日立物流(9086)
セイノーホールディングス(9076)
山九(9065)

 ただ、こうした大型株はどうしても値動きが鈍いので、今回は個人投資家が好みそうな中小型株を選びたいと思います。

 具体的な銘柄としては、アマゾンなどの大手通販会社の好調が追い風となっている企業や、経済再開の動きによって需要増が見込まれる食品や日用品に強みを持つ企業に注目しました

【シーアールイー(3458)】
グループ会社が物流特化型のリートを運用

 シーアールイー(3458)は、物流不動産に特化しており、物流施設の管理が主力事業です。また、グループ会社が物流特化型のリート(不動産投資信託)のCREロジスティクスファンド投資法人(3487)を運用。リートに組み込まれている物流施設は、ペットボトルや靴、紙おむつ、トイレットペーパーなど消費分野が主なテナントとなっていることもあり、外出自粛の長期化による影響は受けにくいと考えられます。

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【丸和運輸機関(9090)】
「低温食品」や「医薬・医療」関連の物流に強み

 丸和運輸機関(9090)は、輸配送サービス「桃太郎便」を展開しており、低温食品物流に強みがあります。また、製造や保管、輸送に関して厳しい条件が求められる医薬・医療物流も手掛けています。また、アマゾンと、地域限定の配送業者「アマゾンデリバリープロバイダ」として提携していることも評価できます。

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【遠州トラック(9057)】
「アマゾンデリバリープロバイダ」としてアマゾンと提携

 遠州トラック(9057)は住友倉庫グループ傘下の総合物流企業で、前出の丸和運輸機関と同様に「アマゾンデリバリープロバイダ」としてアマゾンと提携しています。インターネット通販向けの物流拠点間輸送のほか、宅配業務が業績をけん引しています。

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【SBSホールディングス(2384)】
グループ各社がネットスーパーなどの宅配サービスを提供

 SBSホールディングス(2384)は、食品輸送に強みを持つ企業です。個人宅配事業については、SBI即配便やSBSフレック、SBSゼンツウなどのグループ各社が、ネット通販やネットスーパー、生協などの宅配サービスを提供しています。

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【C&Fロジホールディングス(9099)】
チルド物流やフローズン物流など、低温食品の輸配送に強み

 C&Fロジホールディングス(9099)は低温食品の物流に強みを持つ企業で、得意分野であるチルド物流とフローズン物流では全国にネットワークを展開しています。また、新潟物流センターが、同地区におけるコンビニエンスストア物流の将来的な業容拡大への対応を視野に入れ、新規物流施設を建設しています。

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 投資する上での注意点としては、基本的に新型コロナウイルスの影響で日本経済全体が大きなダメージを受けているため、物流が活発化すると言っても、休廃業など含めた顧客の稼働状況に影響を受けることを考慮しておく必要があまります。

 また、今回は売上が増大しているアマゾン向けの宅配業務や食品や日用品に強い物流会社に着目しましたが、今後は各国の動きを睨みながら、経済活動の再開とともに需要が増加する別分野の物流会社に物色が広がる可能性は十分にあるため、「物流」関連銘柄には引き続き関心が集まると考えられます

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