2021年の株式相場は「肝を冷やすようなクラッシュに見舞われる」と予言する、「ひふみ投信」の藤野英人さんに、株価暴落を乗り切るために覚えておくべき”5つの心構え”を聞いた!
発売中のダイヤモンド・ザイ2021年2月号の巻頭特集は、「2021年の株&投信【全予測】」。この特集では、アナリストなどのプロ100人に、2021年の日経平均株価の値動きや東証マザーズ市場の動向、これからの注目の業種やテーマ、上昇の期待ができる投資信託などを聞いている。また、「ひふみ投信」を運用するレオス・キャピタルワークスの社長・藤野英人さんに聞いた、「2021年の株式市場をうまく乗り切るための”心構え”」も紹介しているので、新年の投資計画を立てる際、参考になるはずだ。
今回はこの特集から、「ひふみ投信」の藤野英人さんに聞いた「2021年の株式市場をうまく乗り切るための”心構え”」を紹介しよう!
2020年の「ひふみ投信」は、TOPIXを約18%も上回る好成績!
運用会社・社長の藤野英人さんは、2021年の相場をどう見る?
2020年を振り返ると、前半はコロナ・ショックで大暴落したが、後半は日経平均株価が29年ぶりの最高値を更新し、大型V字回復の年となった。新型コロナウイルスという不確定要素があるなかで、このジェットコースターのような大相場を、あらかじめ予見できた人は少ないだろう。
しかし、相場の混乱を想定して行動していた人たちもいる。その一人が、日本株型アクティブファンドで最大規模の「ひふみ投信」を運用する、レオス・キャピタルワークス社長の藤野英人さんだ。「ひふみ投信」は2020年2月の暴落を読み切り、コロナ・ショック前に資産の3割を現金化。結果として、この1年の運用成績はTOPIXを約18%も上回っている。
ダイヤモンド・ザイは、そんな藤野さんに”2021年の日本株相場の見通し”について聞いてみた。
藤野さんの意見は、「2021年の株式市場は、相当肝を冷やすようなクラッシュに見舞われるでしょう」というショッキングなもの。要因は、コロナ・ショック後の”大金融緩和”にある。
そもそも、2020年の株価の急回復は、2008年のリーマン・ショック時をはるかに上回る、“度を越えた”大金融緩和によってもたらされたものだ。緩和はずっと続くわけではなく、新型コロナウイルスのワクチンの開発が成功し、経済が正常に戻れば終了するだろう。
ここまで金融緩和によって株価が吊り上げられてきただけに、緩和から脱却するとなれば、運用のプロを中心に、資金を株から債券にシフトする動きが出そうだ。ショックで急激な株安になる可能性も否めない。そのタイミングがいつになるかは不透明だが、2021年の株式相場は、金融緩和と経済回復の綱引きの上で動くことになるだろう。
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2021年の株式市場をうまく乗り切る”5つの心構え”とは?
注目すべきは、オールドエコノミー・グリーン関連・IT企業!
そんな2021年の株式市場に対して、個人投資家はどのような心構えで臨むのが得策なのだろうか。今回は藤野さんに、”5つの心構え”を教えてもらった。
【心構え①】現金を3割以上持ち、暴落局面に備えておこう!
藤野さんは、金融資産のうち、株などのリスク資産への投資を7割までにとどめ、3割以上を現金で持っておくことを推奨。このルールを守れば、「下落時の痛みが減るし、株価が安いところで買うことができます」(藤野さん)。
【心構え②】株価が下がりすぎた「オールドエコノミー」にチャンス到来!
2020年は、米国IT企業のGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)などに資金が集中。一方で、「航空」「陸運」「外食」「観光」といった、いわゆる「オールドエコノミー(従来型産業)」と呼ばれる業種の株価は、コロナ・ショックで暴落した。
では、2021年はどうなのかといえば、「バリュー株(割安株)は短期的には上がりそう。儲けやすいチャンス」(藤野さん)とのこと。前述のとおり、乱高下に注意しなければならない相場環境だが、オールドエコノミーの復活には注目したい。
【心構え③】バイデン大統領の誕生で「グリーン関連」が新テーマに!
2021年に米国の大統領に就任予定のバイデン氏は、環境対策を重視。米国では、環境問題の解決に貢献するグリーン関連企業に追い風が吹き、「蓄電池」「水素」「省電力」などがキーワードになる見通しだ。日本株市場も影響を受けることは必至なので、グリーン関連株はチェックしておきたい。
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【心構え④】GAFAMなど、未来産業や新テクノロジーには引き続き注目!
コロナ禍で在宅ワークが推奨され、仕事などのリモート化が一気に進展。それに伴って株式市場では、新しい生活様式に欠かせないテクノロジーを持ったIT関連株が改めて脚光を浴びた。米国でも、大手IT企業のGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)がさらなる躍進を遂げたことは、ご存じのとおりだ。
今後、短期での株価調整はありそうだが、こうした”未来産業”が、5~10年後も高成長していく大きなトレンドは続く見通し。短期的な押し目を狙うのも手だ。
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【心構え⑤】長期目線なら、慌てずに持ち続ければOK!
株価が乱高下する相場環境では、売買のタイミングを見極めれば、短期で利益を上げやすい。ただし、「ひふみ投信」の基本路線は成長し続ける企業への長期投資で、実際に成果も上げ続けている。「結局、大きく儲けている人は、上がる株を保有し続けるグリップ力のある人。暴落時もあまり右往左往しないことです」(藤野さん)。逆に言うと、損をしているのは、短期で利食いや損切りする人に多いということだ。
株式相場には波があり、2021年に押し寄せる波は、2020年に負けず劣らず激しいものになる恐れがある。だからこそ、長期目線で慌てずに保有できる株を選ぶことがベストと言えそうだ。
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