2021年、米国株は“バブル”が弾けるのか、“株高”が継続するのか? 2021年の米国株の見通しをアナリストなどの米国株の専門家が解説!
発売中のダイヤモンド・ザイ5月号では、特集「買い&人気の【米国株】150」を掲載! この特集では、絶好調が続く米国株で、今が”買い”の「高成長株」や「高配当株」を30銘柄ずつ紹介。さらに、アナリストなどの専門家が、人気の米国株80銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で診断しているので、米国株に興味がある人なら必見だ!
今回は特集の冒頭から、”今後の米国株の値動き”に関する、アナリストなどの専門家の見立てを抜粋! 米国株の買いのチャンスの捉え方や、米国株が上がる3つの理由なども紹介するので、投資の参考にしてほしい。
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専門家は4人中3人が「年末高」、1人が「7月に高値」と予想!
調整局面を挟みつつも、米国株は値上がりしていく見通し
米国株の主要指数であるNYダウとナスダック指数が好調だ。ただし、一部では実体経済との乖離から、バブルを懸念する声もある。
しかし、今回取材した、米国株に詳しい東海東京調査センターの長田清英さん、みずほ証券の安田一隆さん、楽天証券経済研究所の香川睦さん、マンハッタン・グローバル・フィナンシャルの森崇さんの4人は、全員が「米国株はバブルではない」と見ている。今後の値動きについては、4人中3人が年末高、1人が7月に高値をつけると予測した。
東海東京調査センターの長田さんは、米国株の現状について次のように解説する。「米国企業は、業績予想の上方修正が相次いでいます。S&P500指数(米国の時価総額上位500銘柄で構成される株価指数)に組み入れられている銘柄の2020年10~12月期の1株利益の予想は、年初までは減益の見通しでした。しかし、2月初旬には前期比約5%増の増益見通しに。業績が上ブレしたことが、株価を押し上げたのです」(長田さん)
とはいえ、S&P500指数のPERも20倍を超え、株価に割高感があるのもたしかだ。しかし「今のPERは妥当な水準」と、みずほ証券の安田さんは分析する。「過去のPERは16~20倍で推移しています。現在の予想PER22倍はその水準を上回ってはいますが、資金供給を大きく増やしている金融緩和下では、割高とは言い切れないでしょう」(安田さん)
一方、楽天証券経済研究所の香川さんは「今後は企業業績のさらなる伸びでPERは低下し、株価上昇が続く」と見ている。「米国では新型コロナの感染者数が急減しており、年後半にはコロナ禍でダメージを受けた景気敏感株の業績回復も期待できます」(香川さん)
ただし、一本調子で上がる可能性は低い。マンハッタン・グローバル・フィナンシャルの森さんは、年央に株価が調整すると予測する。「景気回復の本格化で、6月頃から金融緩和の出口戦略について議論されるでしょう。こういったなかでは長期金利が上昇し、株価も調整しやすい。ですが、企業業績の回復基調は続き、年末にはNYダウは市場最高値を超えると予測しています」(森さん)
プロの見立てをベースにすると、当面のところは「米国株の調整局面=買いチャンス」と認識しておけばよさそうだ。
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過去に例のない巨額の財政出動や金融緩和の長期化、
懸念された増税が先送りの見通しであることが株高要因!
専門家がこぞって米国株の上昇を予測するのは、景気の回復が見込めること以外に、主に3つの要因がある。1つ目は、1.9兆ドル規模の財政出動が決定されたこと。2つ目は、失業対策のため、金融緩和が長期で継続される見通しが立っていること。3つ目は、増税が先送りされると見られることだ。
2021年3月に、1.9兆ドルの「新型コロナ対策法案」が米国の議会で可決された。2020年3月以降、経済対策の規模は合計で6兆ドル弱に達する。リーマン・ショック発生時の2008~2009年でも、経済対策は合計1.5兆ドルにとどまっており、過去最大級の財政出動となる。
また、金融緩和が長期で続けられる可能性が高いことも、株高につながる。米国ではインフレ率が上昇しているが、パウエルFRB議長は「失業率が高く、労働市場はコロナ前の雇用状態とは程遠い状況だ」「インフレについてはすぐには問題にならない。就業者の増加を目指す」と表明。2月には米国の財務長官のイエレン氏も、G7で「今こそ大胆な財政出動に踏み切るときだ」と訴えており、金融緩和の継続は、ほぼ既定路線だ。
さらに、増税が先送りされそうな点も、株価には追い風だ。「バイデン氏の大統領就任で、増税実施を予想する声が一部にあります。ですが、2022年に予定されている中間選挙の前に増税すると、民主党は議席を失って、ねじれ議会となるかもしれない。それを避けるため、2021年と2022年はともに増税が見送られるでしょう」(安田さん)
これらの要素を総合すると、強力な財政と金融政策で「GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)などのIT大手の業績好調は継続し、コロナ禍でダメージを受けた企業の急回復も期待できます」(長田さん)。
このため、米国企業の利益は過去最高を更新し、米国のGDP成長率も好調が続く見通しだ。「政策に売りなし」という相場の格言があるように、今は調整局面において米国株を買うべきタイミングであり、少なくとも売り時ではないと考えてよさそうだ。
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