個人投資家の「株で勝つ!」投資手法を徹底解剖!

個人投資家⇒機関投資家へ!元カリスマ投資家・五月さんが語るプロ転向の理由とは?なぜ、カリスマ個人投資家・五月さんは機関投資家になったのか(その3)

2013年8月23日公開(2022年3月29日更新)
ザイ・オンライン編集部
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機関投資家になることで
マーケットの見えなかった部分が見えてくる

 とはいえ、これまで機関投資家を凌ぐ成績を残してきた五月さんが、今から機関投資家として働くというのはやはり常人には理解しがたい。

「個人投資家時代には見えなかった、機関投資家から見える景色を見ることで、マーケットのすべてを見たい」と語る五月さん。

 「でも、今まで専業投資家としてある程度やってきたんだから、マーケットのすべてを知りたくなってこないですか? もし、個人投資家として何百億円稼いだとしても、それは(株式投資の)世界の半分を照らしたに過ぎないわけですよ。もう一方には機関投資家サイドというのがあって、今のままではそちら側は真っ暗。もう一方からの景色もやっぱり見たくなりますよね。で、個人投資家、機関投資家の両サイドを知ることによって、明らかになることって絶対にあると思うんです。物事って多面的に見ていかないと判断ができないと思っているので」

 ただ、もう一生働かなくても済むだけの金額を稼いだとすれば、「マーケットの残り半分なんてどうでもいい」と思うことも可能だろう。スーツを着て、ネクタイを締めて、通勤電車に揺られる生活を逃れたくて株式投資をしている人も多いはずだ。

「うーん、まぁ、そうかもしれないですね。そういう意味でいうと、僕は株が好きなのかもしれないですね。2月に『撤収宣言』をして、もう投資で稼ぐことに囚われない状態になって、『じゃあ何がしたいか』って考えたときに、海外に遊びに行くでもいいし、結婚して穏やかに暮らすでもいいし、それぞれ人にはやりたいことがあると思うんですけど、それが僕の場合はたまたま『機関投資家で運用してみたい』ってことだったというのは別におかしくないと自分では思うんですよね」

「マーケットに関わるすべてを知りたい」というのは、ある種の求道者的な欲求なのだろうか。

「そんなに高尚な話じゃないんですけど、でも、やっぱりそちら側は気になるから、わからないまま過ごすっていうのも、何かもったいないですからね」

 では、機関投資家サイドからの景色が理解できたら、五月さんの中で何かが変わるのか?

「……満足する、のかなぁ(笑)。でも、別に将来この経験を活かして、機関投資家のノウハウを使って、自分でファンドか何かを作って運用しようとか、まったくそういう考えはないんです。先のこととか、今は何も考えてないですね」

受け入れてくれるとしたら「ひふみ投信」しかなかった

 ただ、高校卒業後、専門学校を中退して、個人投資家として株式投資を行ってきた五月さんには、一般的なルートで機関投資家になる方法はなかった。

「現実的な話として、いかに個人投資家でそれなりに実績があったとしても、普通の運用会社の普通の人事制度だと、採用してもらえないと思ったんです。なので、受け入れてくれるのは『ひふみ投信』以外にないだろうというのは、最初から考えていました。だから、『どこに行きたい』というよりは、『あるとしたらあそこ(ひふみ投信)だよな』と」

 2009年、五月さんはツイッターを通じて藤野さんと出会い、実際に何度か直接話をする機会もあった。当時、藤野さん、そして「ひふみ投信」の印象はどんなものだったのだろう。

「2009年に僕が藤野さんと知り合う直前に、ツイッターでファンドマネジャーをスカウトしたというのが話題になっていたんで、『面白いことをする人だな』という印象がありましたね。運用面でも中小型株を中心に投資するという今までの運用の常識の裏をかいた方法で、本当にいい商品をつくって顧客に届けているような会社はほかに見当たらなかったので、マーケットに対する思いみたいなものは共通した部分があるのかなというのは何となく感じていました」

 藤野さん自身も「僕自身がアーティストなんで、五月くんというアーティストを評価できた部分がある。そうじゃないとなかなか決断できないんじゃないかな」と語っている。同じ投資業界で成功している二人には、共鳴する部分があったのだろう。

 しかし、専業の個人投資家として働いてきた五月さんにとって、30歳からサラリーマンとして働くことに不安はなかったのだろうか。

「一応、投資ではそれなりに経験を積んできているので、長期的に見て、大きな損失を与える可能性は低いだろうと思っていたので、仕事の面では大丈夫だろうと思っていました。ただ、専門学校を辞めてから一度は仕事をしていたので働くのがまったく初めてってわけでもなかったんですけど、とはいえ7年くらいブランクがあったわけですから、もうすごく基本的な部分、例えば、毎朝ちゃんと起きられるのか、とか、会社で眠くなったらどうすればいいのかとか(笑)、そういう心配はありましたね」

 入社から3カ月、その五月さんの心配は「ある環境に一度入ると、できるだけその環境を楽しもうとする性格」もあって杞憂に終わっているようだ。それどころか、すでに藤野さんも驚くような「第1号ホームラン」もかっ飛ばしている。

 次回は、五月さんが「ひふみ投信」に入って感じた、機関投資家と個人投資家の違い、機関投資家としての目標に迫る!
>>第4回の記事はコチラ!⇒「資産2000倍の元カリスマ個人投資家が語るプロ転向でわかった機関投資家の強みとは?~なぜ、カリスマ個人投資家・五月さんは機関投資家になったのか(その4)~」
 

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