最下層からの成り上がり投資術!

11月4日に控えた郵政グループ3社の上場まで今の株高を支え続けるのが国の絶対的な方針か。そんな中、個人投資家が狙うべき銘柄とは?

【第175回】 2015年8月18日公開(2022年3月29日更新)
藤井 英敏
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 17日に発表された2015年4~6月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、市場の事前予想(年率マイナス1.9%程度)通り、マイナス0.4%(年率マイナス1.6%)と3四半期ぶりのマイナスでした。消費者物価の上昇がマインドを冷やしたことに加え、6月の低温多雨という天候不順の影響でGDPの6割を占める個人消費が落ち込んだ上、中国の景気低迷などから輸出が落ち込んだことが主因です。

 実質GDPへの寄与度を見ると、国内需要(内需)がマイナス0.1%、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)がマイナス0.3%でした。内需のマイナス寄与は3四半期ぶり、外需のマイナス寄与は2四半期連続でした。

 さらに見ていくと、民間最終消費支出は、家庭用器具、携帯電話などの情報処理装置や衣服などが減少に寄与し、マイナス0.8%(1~3月期は0.3%)と4四半期ぶりの減少でした。そのうち、家計最終消費支出は、実質マイナス0.8%(1~3月期は0.4%)。家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃)は、マイナス1.0%(1~3月期は0.4%)でした。

 財貨・サービスの輸出は、マイナス4.4%(1~3月期は1.6%)と6四半期ぶりの減少。電子・通信機器、特殊産業機械、鉄鋼製品などが減少に寄与しました。一方、財貨・サービスの輸入は、マイナス2.6%(1~3月期は1.8%)と4四半期ぶりの減少でした。電子・通信機器、原油・天然ガス、衣服・身の回り品などが減少に寄与しました。

安倍政権による経済政策を先取りし、
ゼネコン株が堅調に値動き

 ちなみに、甘利明経済再生担当相は、17日の会見で「(個人消費は)一時的な要素が多く、回復見込みはかなりある」との見方を示した上で、「景気は緩やかに回復していくことを見込んでいる」と述べたということです。先行き景気に関しては、市場も概ね甘利経済再生担当相と同様の見方をしているはずです。

 ただし市場は、この先行き楽観見通しに加え、支持率が低下している安倍政権の支持率及び景気浮揚策としての追加の財政出動(経済対策の策定)や、日銀の追加緩和(黒田バズーカ第3弾)を期待しています。

 実際、安倍政権による経済対策を先取りする格好で、とりわけゼネコン株が強い動きを続けています。17日には、清水建設(1803)大林組(1802)鹿島(1812)が年初来高値を更新しました。準大手・中堅クラスにも資金流入が加速し、17日の淺沼組(1852)は前週末比40円(16.00%)高の290円と、東証1部の値上がり率トップとなり、また、東急建設(1720)西松建設(1820)も年初来高値を付けました。

郵政3社は11月4日上場の見込み。
そこまで5匹のクジラによる買い支えが続く

 ところで、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の郵政3社に関し、東証は9月10日に上場承認を決定する方針で、正式な上場は11月4日となりそうです。

 日本郵政は連結純資産が15.3兆円、時価総額が7〜8兆円程度と、NTT(9432)株以来の大型案件となるため、市場内のみならず、今まで株式投資をやっていなかった人からの注目度も上がっているようです。幹事証券各社も、NTT上場の時と同様に新規口座獲得に全力を挙げ、顧客獲得競争がヒートアップしていくはずです。

 政府は、100%保有する郵政株を2〜3年に1回のペースで3回にわけて売却し、東日本大震災からの復興財源4兆円を確保したい考えです。このため、第1回目となる今回の上場を失敗させるわけにいかないはずです。

 よって、良好な投資環境を演出するため、5匹のクジラ(GPIF、共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、日銀)によるPKO(プライス・キーピング・オペレーション)や、PLO(プライス・リフティング・オペレーション)が、少なくとも11月4日前後まで続く可能性が高そうです(笑)。

日経平均株価が年初来高値を超えると
踏み上げ相場がスタート!

 足元の日経平均株価に関しては、13日のナイトセッションにおける225先物9月限の2万40円で、当面の底を入れたと認識しています。底入れ後の日経平均はジリジリと上値を追う、反発局面の到来を想定しています。当面の強力なサポートラインは、75日移動平均線(17日現在2万305.66円)です。そして、2万952.71円(6月24日の年初来高値)を上抜けると「踏み上げ相場」が開始されることになるでしょう。

日経平均株価チャート(日足・6カ月)*チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

 もちろん、期待通り上抜けない限り「強気」(上昇トレンド発生)にはならず、75日移動平均線と2万952.71円の間の「ボックス相場」を続けるでしょう。しかし、中国の人民元切り下げショックもほぼ一巡し、外部環境は改善しつつあります。よって、日を追うごとに上振れリスクが高まっていくと見ています。

 その日経平均株価上昇の主役が、前出の5匹のクジラです。そして、そのクジラ買いが売り方をビビらせて買い戻しを誘発させ、相場水準を押し上げる。そんなシナリオです。まずは、9月11日(金)の先物・オプションのメジャーSQに注目です。このSQに向け、クジラによる売り方イジメが本格化すると見ています。

 このような相場観から、これから9月のSQに向けて、売り方への締め上げが本格化する公算が大きいと考えられます。指数に採用されている大型株の中でも、寄与度の大きい値嵩株に加え、信用取り組み妙味のある売り残の積み上がった低倍率銘柄に注目したいですね。

国の意向に逆らう“売り方”は、国賊として成敗される?

 先ほども書きましたが、お上は郵政3社上場の成功を必達目標にしているはずです。そうなると、上場が成功するまでは、お上の意向に逆らう売り方は国賊です。したがって、お上の意向を汲んだ5匹のクジラが国賊の売り方を成敗するのは、マニフェスト・デスティニー(明白なる運命)です。

 正直、原理原則論では、市場経済においてここまで官が民に関与して、市場価格である株価を歪めるのはどうかとは思います。しかし、我々のような小市民の投資家は、「べき論」ばかりを語っても1円の得にもなりません。よってここは、お上に逆らわず、素直に株高賛成のポジションを取る方が、経済合理性に適ったクレバーな投資行動といえるでしょう(笑)。

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