IPO株の攻略&裏ワザ情報!

日本郵政IPOには本当に申し込む価値があるのか?一銘柄のIPOで最高1000万円稼いだ実績を持つIPO投資の達人の初値予想と狙い所を徹底取材!

2015年10月14日公開(2022年3月29日更新)
ザイ・オンライン編集部
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(2015年11月6日追記) [NEW!]
 日本郵政グループ3社に関し、上場後の値動きを分析・予測する記事を3本まとめて紹介。
⇒日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険は今から買っても大丈夫? いつが売り時?今後の値動きを予測する注目記事3本を紹介!

(2015年11月4日追記) [NEW!]
 日本郵政グループ3社が上場。3社とも買い気配から始まり、初値は日本郵政が1631円ゆうちょ銀行が1680円かんぽ生命保険が2929円となった。

■日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の売出価格が決定!
  売出価格(公募価格) 初値 初値騰落率
 日本郵政(6178) 1400円 1631円 +16.5%
 ゆうちょ銀行(7182) 1450円 1680円 +15.9%
 かんぽ生命保険(7181) 2200円 2929円 +33.1%

(2015年10月26日追記)
日本郵政の売出価格(公募価格)は1400円に決定。これで、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険に続き、日本郵政も仮条件の上限で売出価格が決まったことになる。

■日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の売出価格が決定!
  仮条件 売出価格(公募価格)
 日本郵政(6178) 1100~1400円 1400円
 ゆうちょ銀行(7182) 1250~1450円 1450円
 かんぽ生命保険(7181) 1900~2200円 2200円

(2015年10月19日追記)
ゆうちょ銀行の売出価格(公募価格)は1450円かんぽ生命保険の売出価格は2200円に決定した。それぞれ仮上限の上限で決まった形となり、国内外の投資家による需要が好調だったことがうかがえる。残る1社の日本郵政は10月23日(金)まで申し込みが可能で、売出価格は26日に決定する予定だ。


 日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のIPO(新規公開)に対する抽選申し込みが、いよいよ10月8日からスタートした。すでに抽選申し込みを済ませた人もいることだろう。

 日本郵政グループ3社のIPOは、売出総額の合計が約1.4兆円と、NTT(9432)NTTドコモ(9437)に続く超大型IPOだけあって大きな注目を集めている。「これまでIPO投資をしたことはないが、日本郵政IPOを機会に証券会社の口座を開設して申し込んでみよう」と考える投資初心者も少なくないようだ。

 しかし、そんな話題の日本郵政IPOに対し、IPO投資家として著名な“IPOチャレンジャー”さんは、

 「日本郵政グループ3社のIPOに参加する気はまったくない!

と断言する。その真意はどこにあるのだろうか。

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IPOチャレンジャーさんは、
これまで一銘柄のIPOで最高1000万円稼いだことも!

 IPOチャレンジャーさんがIPO投資を始めたのは、まだIPOが今ほどメジャーになっていない1998年のこと。その後やってきたIPOバブル時代には、上場後に株価が何倍にも高騰する銘柄が現在よりも多かったこともあり、年間利益はIPO投資だけで郊外に一軒家が建つほどだったと言う。

 過去に大きく稼いだ記録としては、1999年上場のリロ・ホールディングス(8876)と2005年上場のGMOペイメントゲートウェイ(3769)ではそれぞれ約1000万円、2003年上場のカカカクコム(2371)と2006年上場の比較.com(2477)ではそれぞれ約400万円、2009年上場のクックパッド(2193)では約500万円もの利益をIPO投資で上げている(セカンダリー投資を含む)。

 その後、単元株数が低くなり、さらに上場後何倍にも高騰する銘柄が少なくなってきたため、現在IPO投資による利益は最盛期と比較して半減しているものの、依然数多くのIPO株に当選し、利益を上げ続けている。

 そんなIPO投資の達人であるIPOチャレンジャーさんは、「日本郵政グループ3社のIPOには参加しない」と言うが、しかしこれは「日本郵政IPOはリスクが高い」という意味ではない。

日本郵政3社のIPOは、1単元で1万~2万円の利益を期待

 IPOチャレンジャーさんは、「日本郵政グループ3社のIPOが公募割れするリスクは低い」と分析する。

 「以前と比較するとIPOの売出価格は適正に設定されるようになりましたが、それでも小型株の中には依然として適当な値付けをされる銘柄もあります。それに対して大型株は、明らかに割安や割高というケースはほとんど見られません。特に今回の日本郵政のように注目を浴びている超大型株は、主幹事がそれだけ十分に精査しているので、大きく値下がりするような割高の公募価格を付けるリスクは少ない、と私は考えます」

 IPOチャレンジャーさんの初値予想は次のとおりだ。

 「各社、初値で公募割れはなし。かといって大きく値上がりすることもなく、売出価格の少し上で落ち着くんじゃないでしょうか。上場時における主力銘柄の動向にもよりますが、現在の状況で考えると各社とも売出価格より100〜200円の高値。つまり1単元1万〜2万円の利益といったところでしょう。初値をつけたあとの値動きに関しては、私はあまり得意ではないのでコメントを控えておきます(笑)」

 もし、上場時に日経平均株価が下落し下値を探っているような状況であれば、1単元1万〜2万円の利益とはいかない可能性が高くなる。しかし、それでも公募割れのリスクは低く、万が一、初値が公募価格を下回ってもそこまで大きくは下落しないだろう、とIPOチャレンジャーさんは分析する。

 仮に日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社を1単元ずつ購入する場合、必要な資金は約50万円。その投資額で3万〜6万円程度の利益が得られるということだ。本当に公募割れのリスクが少ないのであれば、NTT(9432)上場時のような大儲けはできないものの、小遣い稼ぎとしては悪くないだろう。

 それなのにIPOチャレンジャーさん自身が日本郵政IPOに申し込む予定がないのは、証券会社との関係や資金効率が理由だ。

ハイリターンを狙う投資家にとって
日本郵政IPOの魅力は薄い

 「IPO投資を本気でやるなら、抽選で決まるネット取引ではなく、証券会社との付き合いによって割当がもらえる窓口取引が基本です。IPO株は貸し借りのバーターみたいなところがあって、例えば、投資信託や社債を買うなどして証券会社の担当者に貸しを作っておくと、その代わりにIPO株を割り当ててくれます。しかし日本郵政IPOは、先ほども言ったようにどれも1単元で1万〜2万円程度の儲けしか期待できません。そんなしょぼいIPO株で借りを返してもらっては困ります

■IPO投資における窓口取引とネット取引の違い
  窓口取引 ネット取引
 メリット ・優良顧客と思わせることで、
   IPO株の割当を増やすことができる
・抽選で割り当てられるので、
   優良顧客でなくてもIPO株に当選する
   可能性がある(人気銘柄の場合、
   確率は高くない)
・基本的に当選後にキャンセルしても
   問題はない
・手数料が安い
 デメリット ・優良顧客と見なされないと、
   IPO株の割当がもらえない
・当選後にキャンセルをすると、
   次回以降IPO株の割当がなくなる
・手数料が高い
・努力や工夫によってIPO株の割当を
   もらうことができず、最終的には
   運に頼るしかない

 ネット証券であれば窓口取引のように貸し借りは関係ないが、その場合でも資金効率の問題がある。

 「IPOに申し込むには、購入代金相当の資金を口座に入れておく必要があります。しかし、私は現在、信用取引の短期売買などをかなり頻繁に行っているので、限られた資金をなるべく効率的に使いたい。そう考えると、1万〜2万円の譲渡益を出せる銘柄は他にも山ほどあるので、ブックビルディング期間から上場日までの約3週間眠らせておきたくないんです」

 つまり、日本郵政IPOはローリスクローリターンなので、これまでIPO投資でガツンと儲けてきたIPOチャレンジャーさんにとっては旨味が少ない。それどころか、証券会社に対する貸しがなくなることや資金を一定の期間眠らせておかなければならないことを考慮すると、むしろマイナスになってしまうのだ。

 ただし、これはIPOチャレンジャーさんのように腰を据えてIPO投資をしている人や、資金をフル回転して売買している投資家にとってのデメリットにすぎない。「1単元で1万〜2万円の利益でも、ローリスクで狙えるのであれば満足」という一般的な個人投資家にとっては、日本郵政IPOは十分魅力的な投資先と言えるだろう

ネット証券での複数当選も可能だが
当たり過ぎるのも考えもの

 では、日本郵政グループ3社のIPOに当選しやすい狙い目の証券会社はどこなのだろうか。

 「日本郵政IPOに関して言えば、窓口取引で申しこめばほぼ100%割当があると思います。実際、私がふだんから窓口取引をしている証券会社はもちろん、ほとんど休眠口座同然の証券会社からも、さかんに『日本郵政IPOに申し込みませんか?』という電話やダイレクトメールが来ましたし、中には要望してないのに目論見書まで送ってくる証券会社もありましたよ(笑)」

 一方、ネット証券などネット取引の証券会社でも当選するのは難しくないだろう、とのこと。

 「ネット証券でも、100%当選するとは言えませんが、通常のIPOと比較すればはるかに当選確率は高いでしょう。複数の証券会社から申し込んで複数当選する、なんてことも十分にあり得ます。中でも狙い目の証券会社は、やはり割当の多い主幹事証券ですね」

 ただ、「あまり当選確率が高すぎるのも良くない」とIPOチャレンジャーさんは指摘する。

 「当選確率が高いということはそれだけ人気がないということなので、公募割れのリスクが出てきます。ブックビルディング期間が終わり抽選結果を見てからじゃないと何とも言えませんが、複数のネット証券会社から申し込んですべて当選したら、やばそうですね。さらに、売出価格が仮条件の下限価格で決まったら、ますます公募割れの可能性が高まります。もしそうなったら、購入をキャンセルすることも視野に入れたほうがいいでしょう。そういう意味では、あまり大きな声では言えませんが、できるだけ多くの証券会社から申し込んでおき、抽選結果の様子を見てから実際に購入するかを判断するのもひとつの手ですね」

 ただし、窓口取引で申し込んだ証券会社で、当選したIPO株をキャンセルするのは厳禁だ。

 「窓口取引は証券会社の担当者との関係が重要なのですが、キャンセルは非常に嫌がられます。表面的なペナルティこそありませんが、『こいつは単なるIPO狙いの顧客だから、重要度は低い』と判断され、それ以降、よっぽど大きな貸しを作らないとIPOが割り当てられることはなくなります。もしキャンセルをするなら、ネット取引の証券会社にしましょう」

 ちなみに、日本郵政IPO以降も窓口取引でIPO投資を続けるなら、当選した日本郵政3社の株を売らずに持ち続けるも有効だ。

 「IPOに申し込むときだけ口座を利用するのではなく、ずっと銘柄を保有し続けることで証券会社に対して印象が良くなり、その後のIPOの当選確率が高まります。ベンチャー銘柄なんかと較べると日本郵政3社の株は比較的値動きも安定しているはずなので、預金感覚で持ち続けてもいいのではないでしょうか」

日本郵政グループ3社が上場する11月4日に
夜間のPTS取引で狙え!

 ここまでさんざん「日本郵政IPOには申し込まない」と言っていたIPOチャレンジャーさんだが、実はまったく別のやり方で日本郵政3社の株を売買しようと考えている。それはPTSだ。

国内では唯一SBI証券がPTSサービスを提供(画像はSBI証券のサイトより)

 PTSとは「Proprietary Trading System」の略で、証券取引所の取引時間外に上場銘柄を売買できるシステムのこと。現在日本では、SBI証券がPTSのサービスを提供している。IPOチャレンジャーさんが狙っているのは、「夜間取引」とも呼ばれる夜の19時からスタートするPTS取引だ。

 PTSを利用した売買はかなりマイナーで参加者も少なく、正直言って盛り上がっているとはとても言えないシステムだ。しかし、だからこそ狙い目だとIPOチャレンジャーさんは言う。

 「PTSは参加者が少ないから、値動きが非常に激しいのがメリット。特にIPOしたばかりの銘柄は、安値で売りに出ていることがあるんです。しかも板が3本とか4本とかしか出てない状態なので、予想外に安い株価で買えることも珍しくありません。特にザラ場終了後に悪いIRが出たときなんか顕著ですね」

 具体的には、終値よりかなり安値の買い注文や高値の売り注文を出し、“獲物”がかかるのを待つのが基本だ。

 「例えば、IPO株が初値で1350円ついた後、終値が1250円まで下がったとします。すると、『翌日は、窓を開けて寄りから大きく下げるんじゃないか……』と弱気になる人が出てきます。実際は、大型株が窓を開けることは少ないのですが、不安になるといてもたってもいられなくなりPTSで売ってしまう人が出てくるんですね。そこを狙って、終値から100円安の1150円くらいで買い注文を出しておくと、けっこう買うことができる。そういう場合でも翌日は窓を開けずに1250円前後で始まることが多いので、成行で売ればそれだけで利益が出ます」

 ポイントは、夜間のPTSが始まる19時00分00秒ちょうどに注文を出すこと。すると、同じ買値で注文を出した他の人より優先して買うことができる。また、他の投資家に競り勝つためには、1150.1円や1150.2円など微妙に高い価格で注文を出したり、時には思い切って1200円と買値を上げてしまうのも手だ。そこに他の投資家との競争があるが、なにしろライバルが少ないので比較的容易に競り勝つことができるのだ。

 「玄人向きなので誰にでもおすすめできる手法ではありませんが、日本郵政IPOで儲ける裏ワザのひとつとして試してみるのも面白いと思いますよ

 さて、日本郵政の申し込み期間は10月23日(金)まで、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の申し込み期間は10月16日(金)までとなっている。PTSという裏ワザはともかく、もし日本郵政IPOという大イベントに参加したいのであれば、残された時間はもう少ない。申し込みを検討している人は、早めに決断して行動に移すことが大切だ。


IPOチャレンジャーさん
(公式サイト:http://ipochallenger.com/)

大学在学中から株式投資を始めるが、あえなく失敗。IPOの公募割れも続き全財産を失う。その後、一時派遣社員として働くも、1998年から再びIPO投資にチャレンジし資産を築く。現在はIPO投資のほか、株式の現物+信用取引、FXなど、短期投資を中心に行う専業投資家として活躍。

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2023 2022 2021
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52社
24社
47社
26社
80社
10%:1人1票の平等抽選
最大5%:「ステージ別抽選」
※1
345万
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※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。
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主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
21社
91社
13社
89社
21社
122社
60%:1単元1票の平等抽選
30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分
10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分
1245万
【ポイント】
ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。
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