今回のまとめ
1.10月の米国雇用統計は良かった
2.市場参加者は既に12月の利上げを織り込んだ
3.利上げは好景気を長持ちさせるために行われる
4.いつまでも実質ゼロ金利では、FRBの示しがつかない
5.今はオールド・エコノミーの株を買え!
10月の米国雇用統計は、全体的に良かった
先週金曜日に発表された10月の米国雇用統計において、非農業部門雇用者数が予想を大幅に上回る+27万1000人でした。

一方、失業率は5%で、これは今回の景気拡大サイクルでは最も低い数字でした。

さらに平均時給も9セント上昇しました。(下のグラフ中、黄色の10月の箇所)

つまり今回の雇用統計は、どの角度から見てもしっかりした内容だったのです。これを受けてフェデラルファンズ・レートの先物価から逆算される、12月16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが実施される確率は、69.8%に上昇しました。

なぜ市場参加者は「利上げは、待ったなし!」と考えているか
現在は、原油安の要因もあり、インフレの兆候はありません。それなのに、なぜ利上げが必要なのでしょうか?
1948年までさかのぼり、米国の失業率を見ると、平均して5.8%でした。 そして失業率が5%を切ると、賃上げへの圧力が強まる傾向が見られました。

米国連邦準備制度理事会(FRB)は、賃金インフレを重視します。なぜなら、賃金は一度上がり始めるとずんずん上がり続ける傾向があるからです。もちろん、お給料が上がるのは良いことですが、昇給が人々のインフレ期待に働きかけ、ありとあらゆる物価が上がり始めるリスクが強まります。
そのため、好景気を長持ちさせるためには、物価が一気にスパートしないよう、ある程度制御することが必要だと中央銀行家は考えるわけです。
失業率がノーマルな状況で、
政策金利が実質ゼロ金利では示しがつかない!
ひるがえって、いまフェデラルファンズ・レートを見ると、2008年以降、実質ゼロ金利がずっと継続しており、第二次世界大戦後のアメリカの歴史の中で、このようなことはかつてありませんでした。

すでに失業率がノーマルな状態である5%に達しているのに、政策金利がリーマンショック後の「非常事態」をいまだに引き摺った状態の0%では、金融市場に対してFRBの示しがつかないわけです。
相場が一度織り込んだ材料を、2度織り込む必要はない
さて、米国の政策金利が利上げに転じる際は、相場はそれに敬意を表する形で、一度はギクシャクするのが常でした。
しかし利上げ直前、ないしは利上げ直後に相場がギクシャクすることはあっても、2度下げる例はありませんでした。言い換えれば、相場は、一度織り込んだ材料を2度織り込む必要はないのです。
今回の場合、「利上げが来るぞ!」という恐怖から、8月に世界同時株安が襲いました。いま世界のマーケットは、その下げから這い上がろうとしている局面です。つまり、利上げという材料はすでにマーケットに織り込まれているわけだから、12月に利上げが実行されたところで、それを恐れる必要はないのです。
実際、これまで利上げ開始が強気相場の息の根を止めるケースは皆無でした。利上げというものは、累積的にじわじわ効いてくるものであって、「これでもか、これでもか」とインフレを抑えるための利上げが繰り返された挙句の果てに、強気相場が終焉するわけです。
今は利上げが端緒に着いたばかり。だからお楽しみは、まだまだこれからなのです。
今の状況では、オールド・エコノミー銘柄が狙い目
それでは一体、何を買えば良いのでしょう?
一般に利上げ局面では景気は強いわけですから、市況株が良いと思います。工業、素材、エネルギーなどの「オールド・エコノミー」のセクターです。
具体的な名前を挙げれば、ゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)、ダウ・ケミカル(ティッカーシンボル:DOW)、デュポン(ティッカーシンボル:DD)、エクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)などです。
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