国内の株式市場には4000銘柄以上も上場していますから「どの銘柄を選ぶべきかわからない」と戸惑われる方も多いと思います。この連載ではいままで銘柄選びの方法について、「身近な銘柄」「株主優待銘柄」「業績が伸びる銘柄」「チャートの形を見て購入のタイミングが来ている銘柄」など、色々な紹介してきました。
*前回までの「ネット証券を活用した株の初心者入門講座」記事一覧
»【第1回】あの株を3年前に10万円分買っておけば600万円に!株式投資の最大の魅力はやっぱり「値上がり益」。「配当」「株主優待」などの魅力と注意点も紹介!
»【第2回】株を買うなら証券会社に口座が必要だ!いますぐネット証券に口座を開設する手順と、ネット証券の情報を賢く利用する方法を紹介!
»【第3回】株価はなぜ上下するのか?株価を動かす5つの要因と株の仕組みを知ろう!ネット証券で見られる各種投資情報も紹介!
»【第4回】株の銘柄はどうやって選んだらいいのか?身近な情報、株主優待、会社四季報、企業業績からネット証券のツールを使って探す方法を紹介!
»【第5回】株価チャートの形だけで売買タイミングがわかる!ネット証券の便利なツールや分析レポートを使って、タイミングよく株の銘柄を探す方法とは?
今回、おすすめしたいのは、業績がしっかりした有名な企業、そして、日経平均株価などの指数に連動するETF(上場投資信託)です。たとえば、毎月少額ずつコツコツと買い付ける積立投資をするような場合に最適です。では、「しっかりした企業」とは具体的にはどのような銘柄なのでしょうか?
株には大型、中型、小型の3つの区分がある
株の銘柄には、時価総額や流動性から見て大型株、中型株、小型株という3つの区分があります【図表1】。東証1部上場銘柄は以下のように区分されています。
【図表1】株式の区分 | |
大型株 | 時価総額と流動性が高い上位100銘柄 |
中型株 | 大型株に次いで時価総額と流動性が高い上位400銘柄 |
小型株 | 大型株・中型株に含まれない全銘柄 |
「時価総額」(株価×発行済株式数)は銘柄の規模を表します。たとえば、ソフトバンク(9984)の時価総額は約7兆円で典型的な大型株です。一方、東証マザーズやJASDAQといった新興市場には、成長企業や特長のあるビジネスモデルを持った企業が上場していますが、時価総額の小さな小型株が多いのが特長です。
一般的には、大型株の方が小型株よりも売買代金や取引量が大きく(=「流動性が高い」と言います)、市場参加者が多いという面では、取引がしやすいと言えます。
【図表2】は日経平均株価と、大型株指数、東証マザーズ指数を比較したグラフです。アベノミクス相場が始まった2012年末頃から現在に至るまでの値動きを示しています。小型株の多いマザーズ指数は、上下の振幅が激しく派手な値動きをしています。それに比べると、大型株指数と日経平均株価は比較的緩やかな右肩上がりを描いています。
「値動きが激しい成長小型株に投資して一攫千金を狙う」という考えもありますが、相場には「山高ければ谷深し」という相場格言もあります。派手な上昇をする銘柄は大きな下落も起きるものです。
時価総額が小さく、取引量が少ない(=流動性が低い)小型株は、株価が下落する時には、急落が来て損切りしようにも買い手不在になり、逃げられないケースもあります。
超大型株「TOPIX Core30」と
ネット証券おすすめのメジャーな銘柄
一方、大型株の場合は、倒産リスクや取引量が少ないせいで売買が成立しない、といった流動性のリスクはかなり低いと考えられます。さらに大型株の中の大型株「TOPIX Core30」(時価総額と流動性が大きな30銘柄)に入っているような銘柄は、流動性という面では安心感があります。
たとえば、セブン&アイ・ホールディングス(3382)、武田薬品工業(4502)、新日鐵住金(5401)、日立製作所(6501)など日本を代表するような企業群です(銘柄一覧は日本取引所グループのホームページ参照)。投資初心者が投資をする場合、積立投資や長期的な投資をするには、こういったメジャーな銘柄は、有望な投資先候補と言えるでしょう。
また、証券各社の中には、アナリストが代表的なおすすめ銘柄を紹介している場合もあります【図表3】。たとえば、SMBC日興証券では、「日興ストラテジー・セレクション 」として、中長期的な視点から企業業績も考慮した中から多数のメジャーな銘柄が紹介されています。
【図表3】証券会社の投資情報で参考銘柄をチェックしよう! | |||
証券会社 | レポート名 | 詳細 | 詳細情報 |
SMBC日興証券 | 日興ストラテジー・セレクション | 同社アナリストが中長期な視点での市況見通しや投資ストラテジーを基に、企業ファンダメンタルズも考慮して選定した個別銘柄のラインアップ。大成建設(1801)、三菱重工業(7012)他多数。 | |
大和証券 | ダイワ投資情報マンスリー、ウィークリー | 「ダイワの月間参考銘柄」欄に多数掲載。週刊(ウィークリー)はサイト上に公開。月刊「マンスリー」はログイン後に読める。銘柄はテーマごとに分類され、日本株・外国株を紹介。大林組(1802)、大和ハウス工業(1925)他 | |
マネックス証券 | Longineの注目銘柄一覧 | ログイン後に読める。長期投資向け、大型株で投資期間1年目標、小型株で投資期間1年目標に銘柄が分類されて注目銘柄と銘柄解説が掲載されている。トプコン(7732)、メタウォーター(9551)他 | |
安藤証券 | あんどうウォッチ10 | 安藤証券投資情報部作成の注目10銘柄。サイト上に公開されている。東レ(3402)、三菱ケミカルHD(4188)他 | |
※2015年12月24日時点 |
マネックス証券では、「Longine」という投資情報の注目銘柄一覧が見られます。銘柄は、「3年超の長期投資に適した銘柄」「今後12カ月以内に上昇が見込める大型株」「今後12カ月以内に上昇が見込める小型株」の3つに分類されており、投資対象の銘柄が絞り込みやすいと思います。
日経平均株価だけじゃない
原油にも中国にも投資できるETFのメリット7つ
倒産リスクがないメジャーな銘柄という意味では、ETF(上場投資信託)やETN(指標連動証券)に投資する手もあります。ETFやETNの値動きは、さまざまな指数に連動しています。メジャーな商品は、日経平均株価やTOPIX指数に連動するETFでしょう。
なお、ETFは、投資会社が裏づけとなる投資信託(Fund)を保有しています。一方、ETNは金融機関が値動きの指標連動を保証している債券(Note)です。ETF/ETN投資には魅力的なメリットがたくさんありますので、以下に箇条書きにしてみます。
【メリット1】225銘柄を買わなくても1銘柄で分散効果が得られる
日経平均株価と同じパフォーマンスを出すために日経平均株価を構成する225銘柄全部を買う必要はありません。日経平均株価に連動するETF1銘柄を買うだけで、リスク分散の効果が得られます。
また、メジャーな銘柄といえども、不祥事が明るみに出て株価が大きく変動することもあります。ETFなら、個別企業の要因で価格が振られにくく、倒産の心配もありません。
【メリット2】 ニュースでよく聞くあの指数~銘柄選びがわかりやすくて簡単
日経平均株価やTOPIX……、国内だけではありません、アメリカのNYダウやS&P500指数、上海株式指数など、毎日のニュースでも報道されるような身近な指標に値動きが連動するETFが存在しています。「日経平均株価が大きく落ちたから、今が買い時ではないか?」と思ったら、シンプルに日経平均株価のETFを買えばいいのです。
【メリット3】 原油、海外株、不動産、商品……日本にいながら世界に投資できる!
「最近、原油価格の下落についてニュースでよく聞くようになった」「インドが今後長期的に成長しそうだ」「高配当銘柄に長期投資をしたい」……など、さまざまな話題から投資のアイデアに気づかれる方は多いと思います。実は、こういった投資アイデアを実現するためのETFも、すでに存在しています。
たとえば、原油価格に連動するETF「WTI原油価格連動型上場投信(1671)」、上海株式指数に連動するETF「上証50連動型上場投資信託(1309)」、高配当利回りの70銘柄で校正される指数に連動するETF「NEXT FUNDS 日本株高配当70連動型上場投信(1577)」など……。【図表4】では、色々な種類のETFやETNの一部を掲載しました。【図表4】でETFの種類の多さを見ていただくと、投資アイデアの広さを実感してもらえると思います。
ETF/ETNを使えば、日本にいながら世界中のさまざまな金融商品の指数に投資ができるのです。国内上場のETFは現在195銘柄、ETNは29銘柄です(2015年12月時点)。商品数は続々と増えています。
さらに、海外の市場に上場するETFは、マネックス証券、SBI証券、楽天証券、内藤証券などでネット取引ができます。海外に資産の一部を分散投資をしたい場合には、有望な選択肢になると思います。
【メリット4】下がっても儲かるETF、上がったら2倍儲かるETFもある!
国内ETF/ETNは、通常の株式と同じように取引ができますから、信用取引も可能です。つまり、価格が下がった場合に儲かる「空売り」もできるのです。また、昨今人気が高いのが、ブル型・ベア型のETFです。
日本取引所グループの月刊レポートによれば、2015年11月、もっとも売買代金が大きかったのは「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)」というETFでした。
今、大人気のこのETFは「ブル型」と呼ばれています。ブル型(2倍)ETFでは、指数が10%上昇するとETF価格は20%上昇、指数が10%下落するとETFは20%下落します。一方、逆の値動きをするETFがベア型です。ベア型(2倍)ETFの場合、指数が10%下落するとETF価格は20%上昇、逆に指数が10%上昇すると20%下落します。
最近では、原油価格や中国株の下落が話題になりました。下落局面でも信用取引やベア型ETFを利用すれば、利益をあげたり、リスクヘッジ(保有銘柄の損失と相殺させて、トータル資産の大きな損失を防ぐ)したりできるのです。
【メリット5】 “高値の花”銘柄に気軽に投資する方法!?少額から取引できる!
日経平均225銘柄全部を買わなくても、ETFなら日経平均株価と同様の値動きをしますから、かなり少額で取引ができます。たとえば、「日経225連動型上場投資信託(1321)」の場合、価格は日経平均株価とほぼ同様で、2015年末の現時点では1万9000円程度です。このETFの売買単位は1単元ずつ買えますから、約1万9000円から投資ができます。
さらに、価格が約10分の1程度の「上場インデックスファンド日経225(ミニ) (1578)」という商品もあります。現在1単元が1600円弱で買えます。
少額という意味では、業種別のETFも便利に使える場合があります。たとえば、「トヨタ自動車(7203)を買いたい」と思った時、1単元で約76万円の資金が必要です。
一方、トヨタ自動車と似た値動きをする「NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOIPX-17)上場投信 (1622)」というETFは、1単元で2万4000円程度ですから、価格面で取引がしやすいと言えます。このETFのファンド組み入れ銘柄のうち約35%がトヨタ自動車ですから、値動きが似ているのは当然なのです【図表5】。
【メリット6】 低コストで取引ができる~投資信託と比べてもお得!
積立など長期的に投資を継続する場合、コストは重要です。ETFは投資信託の一種ですが、一般的に公募投信に比べて低コストで取引できるメリットがあります。
投資信託では、年間何%という形で「信託報酬」と呼ばれる管理手数料がかかります。たとえば、日経平均のETF(1321)の場合、税込みで0.2376%、一方、公募投信の場合、安い商品を探せば0.2%台もありますが、0.4%、0.7%など商品によりばらつきがあり、全般的にETFより割高です。
公募投信では手数料が無料のノーロードファンドも増えています。一方、ETFは株と同様に、コストの安いネット証券を利用することで、かなり手数料が抑えられます。たとえば、少額ずつ購入するなら松井証券を利用すれば、約定金額が1日10万円以内ならば手数料が無料です。また、カブドットコム証券では、「フリーETF」という制度があり、対象のETF13銘柄に限り、取引手数料が無料となっています。
【メリット7】 逆指値も使える!立会時間中にリアルタイム取引が可能
公募投資信託では、1日1回公開される基準価額で取引を行います。一方、ETFは株式と同様に証券取引所で取引ができます。ネット証券を利用すれば最新の時価で、リアルタイムチャートなども見ながら売買ができるます。
注文方法も指値や成行のほか、証券会社によっては、逆指値などの条件をつけた注文も利用できます。
逆指値注文の使い方のひとつがリスクヘッジです。たとえば、日経平均ETFの保有時に「●円以下になったら損切り」と設定しておけば、まさかの急落時に大損失が防げます。
最近の日経平均株価は、「年に何度かは急落が起きるかもしれない」と想定しておいた方がいいでしょう。そんな日の値動きは急転直下、たったの1、2時間で1000円以上下落することもあります。そこで、逆指値で100円の損切り設定をしておけば、小さな損失で済むでしょう。ETFは、早めの対処=機動的な取引ができる点で優れているのです。
ところが、翌日に1000円以上の下落に気がついた場合、損切りする勇気が出ずに塩漬け株直行、となってしまう可能性があります。ちなみに、逆指値注文は長期間設定(例:SBI証券の場合、15営業日)ができますから、週末など、たまにパソコンで価格設定を見直す手続きをしておけばいいだけです(発注方法、設定可能期間は各証券会社でご確認ください)。
松井証券のツール「上場投信ガイド」を使って
ETFのリスクを避けつつ売買する方法とは?
ETFには、これまで述べてきたようなたくさんのメリットがありますが、価格変動のリスクは避けられません。また、銘柄によっては流動性(取引量が少なく思った価格で取引が成立しない)リスクもあります。
流動性なども踏まえたETF銘柄選びツールでおすすめしたいのが松井証券の「上場投信ガイド」です【図表6】。
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国内ETF探しのツールとしては、他社にない機能を備えています。このツールでは、投資対象が分類されており、分配金利回りや、平均売買代金、最低投資金額などで並べ替えができます【図表7】。
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また、ETFの組み合わせ例や比較チャートの表示も可能です。口座開設者ならば無料で利用できます【図表8】。
拡大画像表示
ところで、ETFは投資信託のような定額買付サービスを行っている証券会社はあまりないか、もしくは、コストがけっこうかかる場合もあるようです。
ただし、前述のとおり、少額から取引ができますから、定期積立をしたい場合には自分で毎月1回買い付けを行えばいいのです。ネット取引ならば、それほど手間はかかりません。
自分の大切な資産をほったらかしにしない、という意味でも、自動積立より自分で証券会社のサイトにアクセスして、買い付け手続きを行うことはいいことではないかと思います。その際に、証券会社が提供している投資レポートを読んでみるなど、定期的に相場のチェックを行えば、投資力のアップにもつながるでしょう。
※本文中に掲載した株価や数値は2015年12月時点のものです。
*前回までの「ネット証券を活用した株の初心者入門講座」記事一覧
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【関連記事】 ◆【松井証券のおすすめポイントは?】1日50万円以下の株取引は手数料0円(無料)! その他の無料サービスと個性派投資情報も紹介 ◆「株初心者」におすすめの証券会社を株主優待名人・桐谷広人さんに聞いてみた! 桐谷さんがおすすめする証券会社は「松井証券」と「SBI証券」! |
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