世界の株式・為替・商品市場では、「英国ショック」の余波が続いています。
確かに、週明け6月27日の日経平均株価は前週末比357.19円高の1万5309.21円と、大幅反発しました。27日は受け渡しベースでは6月の最終売買日でした。24日の急落で時価ベースの株式組み入れ比率が下がったため、4~6月期四半期末での組み入れ比率の調整のための買いが年金などの機関投資家から入ったと観測されます。また、政府と日銀が午前8時から緊急会合を開き、出席した安倍首相は日銀と連携して金融市場の安定へ流動性確保などを指示しました。これで政策発動期待が芽生えたことも、買い材料になったようです。
しかし、27日のNYダウは大幅続落し、前週末比260.51ドル安の1万7140.24ドルでした。
また、NY外国為替市場では、対英ポンド、ユーロのドル高が進みました。そして、NY原油先物相場は続落し、WTI期近の8月物は前週末比1.31ドル安の1バレル46.33ドルでした。英国のEU離脱で欧州経済が減速すれば、主な貿易相手の中国景気にネガティブに作用するとの思惑や、ドル高を受けドル建てで取引される原油先物価格に割高感が出ていることが売り材料になったためです。
ちなみに、英国、欧州では銀行株の下落が顕著です。27日はRBS、バークレイズが急落し、銀行株指数は2011年以来の低水準に落ち込み、「ストックス600」の銀行株指数は11年11月下旬以来の低水準に落ち込んでいます。そして、米国でも利ざや縮小や欧州信用収縮懸念から金融株の軟調さが目立っています。
現在の日経平均株価のPERは12倍台
最後の狼狽売りのタイミングを待ってから買え!
ところで、日経平均株価をひとつの企業に見立てて、経験則上、PER12倍台は割安、PBR1倍は底値サポートとよく言われます。実際、27日時点の日経225の予想PERは12.82倍、PBRは1.04倍です。つまり、経験則上では、現在の水準は割安であり、底値付近でしょう。
しかしながら、それは「平時」の場合であり、現在のように、予想外の「英国EU離脱」というイベントが発生した「非常時」に、それが当てはまるのかどうか・・・。それは疑問です。
現時点において、私は、「平時」の経験則が通じない状況が続き、多くの投資家が下値メドを想定することが難しくなり、彼らがパニックに陥り、相場急落への恐怖がピークを打つまでは、相場の下落が続くことを危惧しています。
現在、市場で下値メドと意識されているのは、PBR1倍水準の1万4720.39円(27日現在)と60カ月移動平均線(27日現在1万4006.60円)があります。とりあえず、この2つのメドは瞬間的にも割り込むような瞬間がないと、多くの投資家がパニックに陥り、狼狽売りをすることはないでしょう。その一方で、最後の狼狽売りが出たタイミングが、「大底」になるとみています。
テクニカル的には、日経平均株価の25日移動平均ベースのボリンジャーバンドはエクステンションし、下落トレンドが明確に発生中です。
このため、当面のメインシナリオはマイナス2σ(28日前場現在1万5154.91円)を中心線に、マイナス3σ(同1万4587.39円)~マイナス1シグマ(同1万5722.43円)の間の「バンドウォーク」をするというものです。そして、この「弱気」シナリオの放棄は、日経平均株価が明確にマイナス1σを上回ることです。それまでは、強烈な下落トレンドの継続を意識しておくべきでしょう。
明らかな底打ちサインが出るまでは様子見かデイトレ
宵越しの株を持ってはいけない
ちなみに、2008年9月15日、あの「リーマン・ショック」が起きました。「リーマン・ショック」発生直前の9月12日の日経平均株価終値は1万2214.76円でした。その後、日経平均株価が1番底を付けるのはおよそ1カ月半経過した、10月28日の6994.90円です。
今回の英国のEU離脱が「リーマン・ショック」程度のインパクトがあるのかは、現時点では不明です。しかし、明らかな底打ちを示唆するサインが出るまでは、あなたは様子見に徹するか、または、宵越しの株は持たずにデイトレだけ行うかにしておくべきでしょう。
また、現在、信用取引を行い追証が発生しつつある、または、発生している投資家は信用維持率を100%以内にする、または、現引いて嵐が過ぎ去るのを待つ、もしくは、勇気ある撤退で代用有価も買い建玉もすべて決済し「オールキャッシュ」にするべきです。逆に、値ごろ感からの「ナンピン」や、追証の差し入れは行うべきではないと考えます。現時点では、買い方は潔く「負けを認める」べきです。そして、可能な限り体力を温存し、次のチャンスを虎視眈々と狙うべきでしょう。
「あせるな相場は明日もある」
急落の損失をすぐに取り戻そうと思うな
日経平均株価が想定通り、25日移動平均ベースのマイナス3σ~マイナス1シグマの間の「バンドウォーク」を継続した場合、どこで下げ止まるかは、「神のみぞ知る」です。
だからこそ、その下落トレンドが明らかに終わったと、あなたが認識するまでは、「宵越しを前提にした買い」は控えましょう。また、下落相場が続いた場合、信用維持率を100%超にしている投資家は「ケツの毛まで抜かれる」可能性が高いのです。そうなると、市場から強制退場ということになってしまいます。だからこそ、現在のような局面では、多くの個人投資家は、リスク管理を厳格にして相場に臨むべきなのです。
とにかく、今回の急落に巻き込まれてしまった方は、まずは「生き残ること」を第一優先にして、潔く「負けを認めること」が重要です。そして、今回の負けをすぐに取り返そうと「焦らないこと」も肝要です。ましてや、負け分を一気に取り返そうと、取引ロットを引き上げようなんて考えるべきではないでしょう。「あせるな相場は明日もある」です。
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