【今回のまとめ】
1.米国株式市場は調整局面から抜け出した
2.米国経済は消費に下支えされているものの、低空飛行を余儀なくされている
3.欧州経済は再び悪化の兆候を見せている
4.緩和的金融政策は当分の間維持される
5.今週も決算発表が続く
米国株式市場のチャートに心強い動き
先週(4月23日~27日)の米国株式市場は、ダウ工業株価平均指数が+1.9%、S&P500指数が+1.8%、ナスダック総合指数が+2.3%でした。
先週はチャート面で心強い動きが見られました。
S&P500指数は4月10日に1357.38の安値をつけ、23日に再びザラバ1366.94まで下げました。その後、いくぶんもどしたため、この日は「下ひげ」のチャートになりました。
次に4月25日に大きな陽線を引き、いわゆるダブル(W)ボトムを形成しています。さらにその後のフォロースルー(一段高)で4月初めに始まった調整局面が終わったことが確認されました。

米国経済の勢いは失われたのか?
4月27日に発表された、米国の第1四半期のGDP成長率(速報値)は+2.2%でした。これは市場予想の+2.5%より低く、米国の景気が少し勢いを失っているのではないかという投資家の不安を裏付ける結果になりました。

この米国経済の内容を、もう少し詳しく見ていきます。(次のページへ)
米国経済が、市場の予想よりは少ないながらも成長している内訳をもう少し詳しく見ると、個人消費が成長の原動力になっていることがわかります。第1四半期の個人消費は市場予想の+2.3%に比べて+2.9%とかなり強かったです。これは自動車(+29%)の売れ行き好調に助けられています。

半面、民間の非住宅関連の固定資産投資は低調でした。このカテゴリーには例えば企業が買うコンピュータなどが入ります。つまり企業の投資意欲は未だ低迷しているということです。また去年、企業の設備投資を促進するために実施された税の優遇措置が切れたことも影響していると思われます。

このように米国経済は最悪期こそ脱したものの、好景気からは程遠い、低空飛行を続けているのです。
一方、欧州経済は、再び深刻な事態に陥ろうとしています。(次のページへ)
スペインの失業率は24.4%に悪化!
一方、欧州経済は再び深刻な景気後退のリスクをはらみ始めています。4月23日に発表されたドイツの製造業購買担当者指数速報値は、市場予想の49.0を下回る46.3にとどまりました。

またスペインの第1四半期の失業率は、去年の第4四半期の22.85%から一層悪化し、24.44%になりました。
このように欧州経済の状態は、米国よりずっと深刻です。
世界的に景気が悪いということは、インフレ懸念が少ないことを意味します。FRBが米国財務省証券を買い入れて債券価格を支えるまでもなく、安全資産としての米国財務省証券への需要は十分にあります。したがって、FRBが何もせず静観する状態がしばらく続きそうです。
アップル、アマゾンの好決算に続く企業は?
先週はアップル(ティッカー:AAPL)とアマゾン(ティッカー:AMZN)が市場予想を上回る好決算を発表し、人気化しました。
アップルのEPS(1株あたり純利益)ですが、11.31ドルのウィスパーに対して、結果は12.30ドルでした。売上高は380億ドルのウィスパーに対して392億ドルでした。なお「ウィスパー」というのは「ささやき」の意味で、直前の投資家の期待値を示しています。またアマゾン(ティッカー:AMZN)のEPSは、8セントの市場予想に対して28セントでした。売上高は128億ドルの市場予想に対して131.9億ドルでした。
今週(4月30日~5月4日)の米国株式市場では、次の企業の決算発表が控えています。

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