アップルの決算と10年債利回りの上昇により
先週の米国株式市場は後味の悪い1週間に
10月の急落の後、米国株式市場は底入れを模索する展開となっています。先週は3連騰し市場参加者のムードがかなり明るくなったのですが、木曜日の引け後に発表されたアップル(ティッカーシンボル:AAPL)の決算が冴えなかったこと、金曜日の雇用統計が強かったのを見て10年債利回りが再び3.2%を超えてきたことなどから、後味の悪い1週間の終わり方をしました。
週間ベースでは、S&P500指数が+2.4%、ダウ工業株価平均指数が+2.4%、ナスダック総合指数が+2.6%でした。
S&P500指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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特に金曜日は、ダウ工業株価平均指数が+198.24でスタートした後、大引けは-109.91となっており、市場が未だ「病み上がり」であることを痛感させました。
「FAANG」のスランプが
米国株式市場が振るわない大きな要因に
現在の米国株式市場に元気が無いひとつの理由は、これまで頼もしい存在だったFAANG(フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、アルファベット)の株価がいずれも下降線を辿っていることによります。
先週のアップルの決算をもってこれらの企業の9月期の決算が出揃ったわけですが、全部悪い決算でした。FAANGの決算が全滅することは珍しいので、もう少し詳しく見ることにします。
フェイスブックの決算では
売上高が今期も予想を下回る
フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)の第3四半期決算は、EPSが予想1.44ドルに対し1.76ドル、売上高が予想138.2億ドルに対し137.3億ドル、売上高成長率が前年同期比+32.9%でした。
| ■フェイスブックの第3四半期決算 | ||||||
| EPS | 予想1.44ドル⇒1.76ドル(↑) | |||||
| 売上高 | 予想138.2億ドル⇒137.3億ドル(↓) | |||||
| 売上高成長率(前年同期比) | +32.9% | |||||
EPSが予想より良かった一因は、税率が当初ガイダンスより低かったためです。売上高は第2四半期に引き続き、今回も予想を下回りました。
また、第4四半期の売上高成長率は+24〜28%になる、というガイダンスが示されました。これはコンセンサス予想の+27%を下回りました。
アマゾンの決算では
売上高が予想に届かないことが常態化
アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)の第3四半期決算は、EPSが予想3.09ドルに対し5.75ドル、売上高が予想570億ドルに対し566億ドル、売上高成長率が前年同期比+29.3%でした。
| ■アマゾンの第3四半期決算 | ||||||
| EPS | 予想3.09ドル⇒5.75ドル(↑) | |||||
| 売上高 | 予想570億ドル⇒566億ドル(↓) | |||||
| 売上高成長率(前年同期比) | +29.3% | |||||
アマゾンも、フェイスブック同様、売上高が予想を下回ったわけですが、第4四半期の売上高に関しても予想737.8億ドルに対し新ガイダンス665億〜725億ドルが提示されました。つまり売上高が予想に届かないことが常態化しているのです。
アマゾンは、先月、最低賃金を15ドルに引き上げると発表しています。これは今後のアマゾンの利益の圧迫要因になると思います。
アップルは
iPhoneの出荷台数が鈍化
アップル(ティッカーシンボル:AAPL)の第4四半期(9月期)決算は、EPSが予想2.78ドルに対し2.91ドル、売上高が予想615.5億ドルに対し629億ドル、売上高成長率が前年同期比+19.6%でした。
| ■アップルの第4四半期決算 | ||||||
| EPS | 予想2.78ドル⇒2.91ドル(↑) | |||||
| 売上高 | 予想615.5億ドル⇒629億ドル(↑) | |||||
| 売上高成長率(前年同期比) | +19.6% | |||||
iPhone出荷台数は、予想4800万台に対し4690万台(前年比±0%)でした。iPhone売上高は371.9億ドルでした。さらにiPhone平均販売単価は+28%の793ドルでした。これは予想より高かったです。
注目されたサービス売上高は、+17%の99.8億ドルでした。予想は103億ドルでしたので予想を下回ったことになります。
第1四半期の売上高は、予想928.8億ドルに対し新ガイダンス890億〜930億ドルが提示されました。グロスマージンは、予想38.6%に対し新ガイダンス38.0〜38.5%が提示されました。
またアップルは、次回の決算発表からiPhoneなどの出荷台数データの公表を取りやめると発表しました。
今回の決算を見ると、iPhoneの出荷台数は予想を大きく下回っているものの、高価な新機種の投入により平均販売単価が跳ね上がったことで何とか売上高予想を達成したことがわかります。
しかし、来期からiPhone出荷台数の数字の公表をやめるということは、「今後もiPhone販売台数は低迷すると会社側が見ているからでは?」という疑惑の念を投資家に抱かせています。
もちろん、アップルは「単なるハードウェアの会社からサービスの会社へ脱皮中だ」と論ずることが出来ると思います。その意味でハードウェアの出荷台数データの公表を取りやめるのは自然な流れだと主張することもできます。
ただ、肝心のサービス収入は、今回アナリスト予想を下回っているわけで、投資家が不安に思うのも当然だと思います。
ネットフリックスは
EPSの予想が立てにくい状況に
ネットフリックス(ティッカーシンボル:NFLX)の第3四半期決算は、EPSが予想68セントに対し89セント、売上高が予想39.9億ドルに対し40億ドル、売上高成長率が前年同期比+34.0%でした。
| ■ネットフリックスの第3四半期決算 | ||||||
| EPS | 予想68セント⇒89セント(↑) | |||||
| 売上高 | 予想39.9億ドル⇒40億ドル(↑) | |||||
| 売上高成長率(前年同期比) | +34.0% | |||||
新規加入者数は、ガイダンス500万人に対し696万人でした。その内訳は、米国がガイダンス65万人に対し109万人、海外がガイダンス435万人に対し587万人でした。
今回、EPSが予想より大きく上振れした理由は、大型テレビドラマ制作費用ならびにマーケティング費用の一部の計上のタイミングが、第4四半期にズレ込んだことによります。
この関係で、第4四半期のEPSガイダンスは予想49セントに対し僅か23セントに下がりました。一方、売上高は、予想42.3億ドルに対し新ガイダンス42億ドルが提示されました。
一方、第4四半期の新規加入者数は、予想750万人に対し新ガイダンス940万人が提示されました。内訳は米国が180万人、海外が760万人です。
ネットフリックスは、新規加入者を増やすことに注力した経営を行っています。その点、今期ならびに来期の加入者が良い感じで伸びているのは心強いです。
その反面、EPSはドラマ製作費の計上タイミングに大きく左右されており、予想が立てにくくなっています。
アルファベットの決算では
EPSは予想を上回ったものの売上高が未達
グーグルの運営会社アルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)の第3四半期決算は、EPSが予想10.41ドルに対し13.06ドル、売上高が予想340億ドルに対し337.4億ドル、売上高成長率が前年同期比+21.4%でした。
| ■アルファベットの第3四半期決算 | ||||||
| EPS | 予想10.41ドル⇒13.06ドル(↑) | |||||
| 売上高 | 予想340億ドル⇒337.4億ドル(↓) | |||||
| 売上高成長率(前年同期比) | +21.4% | |||||
アルファベットは、前回の決算こそちゃんとした数字を出したものの、その前は予想に未達でした。今回、売上高が再び予想に届かなかったことで、「アルファベットはコンスタントに良い決算を出せない会社になりつつある」という投資家の疑いが確認されたカタチになりました。
とりわけ今期の税率は僅か9%であり、これがEPSが予想を上回った主因でした。
盲目的に「FAANG」を持っていれば
儲かる時代は終わった!
各社の来年にかけての売上高ならびにEPSの成長率をみると、いずれも今年より大幅に鈍化しています。一般に、成長が鈍化する局面でその株がこれまでの株価評価、つまり株価収益率(PER)を維持することはかなり困難です。
このことから、何も考えずFAANGを持っておけば儲かる時代は終わったと考えて良いでしょう。
その場合、問題になるのはFAANGがS&P500指数の13%を占めていることで、これらの銘柄にブレーキがかかると米国株式市場の指数そのものも上昇しにくくなる懸念があります。
それに加えて、金曜日の非農業部門雇用者数が+25万人と強かったことで、再び長期金利には上昇プレッシャーが働いています。
つまり、全体として米国株は今が買いチャンスであると思いますが、いろいろ障害もあるということです。
【今週のまとめ】
相場は上向きを予想しているが
一筋縄では行かない相場に
先週の米国株式市場は、値ごろ感からバーゲンハンティングの買いが入りました。しかし長期金利の上昇、アップルの悪決算で週末の引け味は悪かったです。基本、相場は上を予想していますが一筋縄では行かないかもしれません。
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