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アフリカ大陸でeコマースを展開する「ジュミア・テクノロジーズ」がNYにIPO! 「アフリカ大陸のアリババ」と呼ばれるIT企業の新規上場に注目せよ!

2019年4月8日公開(2022年3月29日更新)
広瀬 隆雄
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ジュミア・テクノロジーズは、eコマースから少額決済まで
アフリカ大陸14カ国で幅広いビジネスを展開!

 アフリカ大陸でeコマースならびにマイクロペイメント(少額決済)・サービスを展開しているジュミア・テクノロジーズ(ティッカーシンボル:JIMA)が、近々、ニューヨーク証券取引所にIPO(新規上場)します。値決め日は流動的ですが、おそらく今週中かと思われます。

 ジュミア・テクノロジーズは、ナイジェリア、モロッコ、エジプト、南アフリカなど、アフリカ大陸の14カ国で事業展開しています。

 ジュミア・テクノロジーズのビジネス・モデルは、中国のアリババにそっくりです

 アリババがやっているように、eコマースのマーケットプレースを運営していますし、独自のロジスティックス網を構築しています。アリババのアリペイに相当する「ジュミア・ペイ」という決済システムも展開しています。マスターカードは、ジュミア・ペイの将来性に目をつけ、戦略的投資家としてジュミアへの投資を決めています。

 ジュミア・テクノロジーズの場合、それらに加えて、モバイルのエアタイム(通話時間)を追加購入する際のマイクロペイメント、フード・デリバリー(Uber Eatsと同じ)、旅行代理店も展開しています。

アフリカ大陸の潜在力は高く、
1人当たりGDPはすでにインドを凌駕!

 アフリカ大陸は、ほぼインドと同じ規模だと考えれば良いでしょう。人口は12億人で、インターネット・ユーザーは4.3億人います。1700万のスモール・ビジネスが存在し、4兆ドルの消費市場があります。

 アフリカ大陸におけるネット通販の普及率は、僅か0.6%です。これは、中国の20.4%より大幅に遅れています。しかし、アフリカ大陸にもスマホが普及し始めており、状況は急速に改善しています。

 アフリカ大陸の年齢の中央値は19.4歳であり、たいへん若いです。したがって、時間が経つにつれてインドを凌駕する人口になると予想されます。1人当たりGDPと1人当たり消費額では、すでにインドより少し大きいです

 ジュミア・テクノロジーズは、54カ国あるアフリカ大陸の国のうち、人口が大きい順から14か国で事業展開しています。それで、アフリカ大陸の総人口の72%、ネットユーザーの77%をカバーすることになります

 下は、ジュミア・テクノロジーズが事業展開している国の中で比較的人口の大きい国のGDPの推移です。

 アフリカ大陸全体では、5%前後のGDP成長を記録しています。

 次に、インフレ率は下のチャートのようになっています。

 エジプトは、「アラブの春」以降、経済の立て直しに苦しんでいます。最近は、ハイパー・インフレに悩まされています。

 ジュミア・テクノロジーズのような決済サービスをやっている企業にとって、インフレは決してマイナスなことばかりではありません。マーチャントは、決済のサイクルをなるべく早くしようと考えるため、ジュミア・ペイのような決済システムはたいへん重宝します。

 アフリカは、一般的に失業率が高いです。

 これも、消費市場の力強さを考える上で重要なポイントです。高失業率は、消費にとってマイナスです。

 このように、アフリカ大陸の経済状況は良い事ばかりではありません。したがって、eコマース企業もそういう現地の事情をよくわきまえ、上手く立ち回ることが要求されます。

2018年のGMV(取扱高)は前年比+63%!
運転資金が極めて少なくて済むビジネスモデルもメリット

 ジュミア・テクノロジーズは、マッキンゼー、アクセンチュアなど戦略コンサルタント出身者が設立しました。その関係で、トップダウンかつ理詰めでよく練られたビジネス・モデルを持っています。

 もうひとつの特色は、国際色豊かだということです。ジュミア・テクノロジーズ幹部の国籍は、カナダ、ドイツ、ナイジェリア、エジプト、その他アフリカ各国です。その関係で、社内では現地語に加え、英語、フランス語などが飛び交っています。

 ジュミア・テクノロジーズの本社は、ドイツのベルリンにあります。株式の上場は、ニューヨーク証券取引所になります。

 ジュミア・テクノロジーズは、いわゆるアセット・ライト・モデル、すなわち「持たない経営」をしています。現地の倉庫業者を戦略パートナーとし、彼らにITシステムを提供することで効率良いフルフィルメント(商品の受注から決済、配送までの業務全般)を指導します。

 決済に関しては、ジュミア・テクノロジーズは独自のジュミア・ペイを展開しています。これは、アリババのアリペイに相当します。ちょうどペイパルのように、消費者の銀行口座に連動しており、ウォレットのように使う事が出来ます。現在のところ、ジュミア・ペイはナイジェリアとエジプトのみで導入されていますが、すでに同国の顧客の54%がジュミア・ペイで決済しています

 今後は、アリババのアントファイナンシャル(アリペイの運営会社)に相当するフィナンシャル・サービスも開始する計画です。

 ジュミア・テクノロジーズの業績を考える場合、アリババのケースとおなじように、まず取扱高、すなわちGMVが指標となります。そして売上自体は、セラー向け付加価値サービス、コミッション、フルフィルメント・フィーなどになります。

 ジュミア・テクノロジーズは、在庫を取らないため、ワーキング・キャピタル(運転資金)は極めて少なくて済みます。

 2018年のGMVは、前年比+63%の8.28億ユーロでした。これは、ユーザー1人当たり210ユーロに相当しますが、中国の5分の1程度です

 売上の内容は、ホーム用品14%、男性アパレル14%、携帯電話14%、サービス14%、化粧品香水13%、女性アパレル11%、電化製品10%などとなっています。

 顧客数は400万人です。マーチャント数は8.1万社です。

【今週のまとめ】
「アフリカ大陸のアリババ」と呼ばれる企業が
世界の投資家にどう評価されるのか要注目!

 ジュミア・テクノロジーズは、「アフリカ大陸のアリババ」とでも言うべき事業を展開しています。アフリカ大陸は、今後成長が期待できる市場です。ジュミア・テクノロジーズはマッキンゼーなどのコンサルティング会社の出身者を中心に創業された関係で、良く練られたビジネス・プランを持っています。「持たない経営」を貫いており、資本効率は良いです。国際色豊かな社員構成となっており真のグローバル企業と言えます。

 そんなジュミア・テクノロジーズのIPOの行方には、注目したいところです。

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