2021年7月までの日経平均株価の値動きを予想! 8月19日には一時2万7000円を割れたが、年末には3万円を回復し、2021年7月には3万3000円も!
発売中のダイヤモンド・ザイ10月号の大特集は「最強日本株【2021年・夏】」! この特集では「5万円株」「高配当株」「株主優待株」「脱コロナ株」「安定大型株」「大出世株」という6つのジャンル別に、アナリストが選んだ”最強”の日本株を紹介! また、ストラテジストによる「2021年8月~2022年7月までの日経平均株価の予測」や「今後の日本株市場で勝つための投資戦略」も取り上げているので、投資の参考になるだろう。今回はこの大特集から「2021年8月~2022年7月までの日経平均株価の予測」を公開!
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日経平均株価は2021年8月時点では低調なものの、
9月には底打ちし、年末には3万円台まで回復するという予想も!
新型コロナウイルスの感染が拡大した影響で、2020年2月下旬~3月中旬まで世界中で株価が急落した。しかし、世界各国の大規模な財政出動や金融緩和策によって、2020年3月下旬には株価は上昇トレンドに転換。日経平均株価も、2020年11月にはコロナ前の株価を上回り、2021年2月には30年ぶりに3万円台を回復した。
ところが、その後は軟調な展開が続いている。はたして、今の日本株は「買い」か「売り」か? 先読みに定評がある、4人のストラテジスト(SBI FXトレードのジョセフ・クラフトさん、ニッセイ基礎研究所の井出真吾さん、UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの居林通さん、楽天証券経済研究所の香川睦さん)に、今後の日本株を予測してもらった。
4人全員の意見が一致したのは「日経平均株価2万7000円台は買い」という点。ニッセイ基礎研究所の井出真吾さんは「米国株と比べて割安な日本株は買われやすい」とみている。
「米国株の主要指数であるS&P500指数の予想PERは、22倍を超えています。一方で、日経平均株価の予想PERは14倍台。業績好調が続いているとはいえ、米国株には過熱感があるので、相対的に割安な日本株が買われやすいでしょう」(井出さん)
SBI FXトレードのジョセフ・クラフトさんは「海外投資家は、日本株が割安だと認識している」と言う。「緊急事態宣言延長などの悪材料が多く、株価は割安でも買うための材料が乏しい。しかし、今から年末に向け、感染者の減少や、内需企業の業績回復などの好材料が出てくるはず。そうすれば、売買高の約7割を占める海外投資家が買い越しに転じ、年内に3万円程度まで上がるとみます」(クラフトさん)
とはいえ、当面は米国の金融緩和縮小への懸念などもあり、値動きが激しい展開が続きそうだ。なぜなら、金融緩和に関する観測や発言で、短期的に株価が下がりやすくなり、それを懸念して一部の投資家が売ってくるからだ。しかし「そこは買いチャンス」だと、UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの居林通さんはアドバイスする。
「実際の米国の金融緩和縮小は、市場予測だと来年1月頃です。それまでは、株式市場には資金が流入しやすい。さらに、日銀は大規模金融緩和策を維持する見通しなので、各国通貨に対して円安が進んでいます。上場企業には外需企業が多く、業績の上ブレ要因です。これも株価を押し上げる材料となるでしょう」(居林さん)
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ワクチン接種率の上昇などの好材料が出るタイミングで、
衆議院選挙&政権維持となれば株価上昇のシナリオも!
では、株価が底値をつけるのはいつ頃か? ストラテジスト4人の見立てによると、それは2021年の8~9月末になりそうだ。楽天証券経済研究所の香川睦さんは「夏枯れ相場と呼ばれるように、今年の夏も株価が下がりやすい」と分析する。
「“セルインメイ”という投資格言の本来の意味は『高値になりやすい5月に持ち株を売り、株価が下がりやすい9月までは株式市場に戻ってくるな』です。過去30年の月別の株価騰落率のデータでは、6~9月の平均騰落率はマイナス。今年も格言通りに9月末か10月に底打ちするでしょう。その頃には、株式市場で懸念されている悪材料が織り込まれているとみています」(香川さん)
今後、緊急事態宣言の解除や新型コロナウイルスワクチンの接種率の上昇といった好材料が出そろえば、絶好のタイミングで衆議院の総選挙が行われる可能性がある。
「秋口までに新型コロナの感染者が減小すれば、9月か10月はじめに菅政権は解散・総選挙を実施するでしょう。そのタイミングで選挙が行われれば、自民党が過半数割れする可能性は低い。現在の政権が維持され、“スガノミクス継続”という展開になれば、海外投資家によって日本株が買われるでしょう」(クラフトさん)
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先進国株の中で日本株は大きく出遅れているが、
ワクチン接種率が低い点などが影響している可能性が大!
繰り返しになるが、日経平均株価は2021年2月中旬に、これまでの上昇トレンドから下落に転換した。一方で、米国とドイツの主要株式指数であるS&P500指数とDAX指数は、上昇トレンドが続いている。
「外国人投資家が大きく売り越しているため、日本株は出遅れています。これは新型コロナウイルスのワクチン接種が、他の先進国に比べて進んでいないから。さらに、緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置の延長などで、日本の景気回復が後ずれするのでは、と懸念されている」(クラフトさん)
ただ、外出自粛によって業績がダメージを受けるのは、サービス業などの内需企業だ。一方で、日経平均株価やTOPIXの組み入れ比率は、製造業などの外需企業が大半を占めている。しかも、製造業の今期の業績は、6~7割がコロナ前の業績を上回る見通し。にもかかわらず、なぜ日経平均株価はここまで弱いのだろうか?
「各種の資産や各地域への投資配分を考える、運用会社のアセットアロケーターが、ワクチン接種率が一定の水準まで達していない国への投資比率を減らしていると聞きます。それが、日本株が売られている理由のひとつでしょう」(井出さん)
また、日本の政治に詳しい海外の機関投資家が減っていて「度重なる緊急事態宣言や、菅政権の支持率の低さが悲観され過ぎている」と居林さんは指摘する。「緊急事態宣言はロックダウンよりも厳しい内容ではありませんし、衆議院選挙で与党が大敗する可能性は小さい。こういった過度な懸念は徐々に解消されるはず」(居林さん)
企業業績の回復が続き、米国株などと比べて割安感があるため、
今後はワクチン接種率の上昇に伴い、株価も上がる見通し
4人のプロは、これから海外投資家が日本株を買ってくるようになり、日経平均株価は3万円台を回復すると考えている。その理由は3つある。1つ目は「ワクチン接種の進展」だ。
「7月末現在、日本の人口に対する1回目のワクチン接種率は約40%になりました。米国では接種率が約5割に達すると感染者数が減り、外食などのサービス業の業績が急回復した。日本でも、8月中には5割を超えるとみています」(居林さん)
(※8月19日追記:8月17日時点で、日本国内において、少なくとも1回目のワクチン接種をした人の割合は50%を超え、2回目を接種した人の割合も約40%に達した)
米国ではGDPをはじめ、さまざまな経済指標がV字回復している。4月末には外食売上高もコロナ前の水準を上回った。
「もちろんデルタ株への警戒は必要ですが、私は秋口までには新規感染者数が減少すると予測しています。そのため、サービス業などの業績回復期待で日本株が買われやすくなります」(クラフトさん)
2つ目の理由が「企業業績は今後も成長が続く」という点だ。
「サービス業などの回復によって、2022年3月期はもちろん、2023年3月期も企業の利益は高い伸びとなる見通しです」(香川さん)
さらに「下値リスクが低い」という3つ目の理由は心強い。
「株価は調整していますが、利益は改善しているので予想PERが低下し、下値メドの水準である14倍台になっています。この株価水準なら、下値リスクが小さい。私も日経平均株価が2万7400円をつけたときにETFを買いました」(井出さん)
ただし、米中対立問題が激化したときは様子見がおすすめ。なぜなら、株価の下落幅が大きくなる可能性があるからだ。「中国に生産拠点がある日本企業は多い。そういった企業が米国の輸出規制などで問題になるケースが出てくるかもしれません。そうなると、日本企業へのダメージは大きいでしょう」(井出さん)
過去に、米中対立問題が株式市場にどれだけのダメージを与えたかを振り返ってみよう。たとえば、2018年10月4日に当時のペンス副大統領がハドソン研究所で講演した際、その内容が中国の政策を批判するものだったことから米中の対立が激化した。日経平均株価は2018年の年末までの約3カ月で約5000円も下落した。
こういった長期的に企業業績にマイナスになりかねない問題には注意が必要。しかし、株価に過熱感がある米国株の下落などに連動して日経平均株価が下げたときは「買い」でOKだ。
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