つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2019年]
2018年5月8日 深野 康彦

「つみたてNISA」で「ETF」を買うメリットは?
「ネット証券」VS「対面証券」VS「銀行」で比較した
取扱商品の違いと金融機関の選び方も詳しく解説!

つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

 「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」がスタートして約4カ月がたちました。自分も始めようかと考えつつも、どの金融機関で口座を開けばいいのか、まだ迷っているという方もいるでしょう。そこで今回は、金融機関によって「つみたてNISA」で取り扱っている商品のラインナップにどのような違いがあるのか、どの金融機関を利用するのがいいのかをあらためて見ていきます。

 また、現状では3本のETF(上場株式投資信託)が「つみたてNISA」の対象商品に加わっていますが、「つみたてNISA」でETFを選ぶ意味があるのかどうかについても説明したいと思います。

ネット専業証券と対面型証券会社・銀行では
「つみたてNISA」の取扱商品数に10倍の差がある

 まず、ネット専業証券と対面型の大手証券、銀行が「つみたてNISA」の対象商品をどのくらい扱っているのか、そしてその違いを踏まえたうえで、金融機関をどう選べばいいのかについて見ていきましょう。

「つみたてNISA」対象の投信信託のラインナップが最も充実しているのは大手のネット証券です。たとえば、SBI証券は135本、楽天証券は132本、マネックス証券は122本、松井証券は104本(いずれも4月23日時点)と、「つみたてNISA」の対象商品の70~90%以上を扱っています。こうしたネット証券はもともと投資信託の取扱本数自体が多く、一部の商品を除いて、従来から扱っていた商品を「つみたてNISA」に対応させた形とも言えます。

 これに対して、対面型大手証券会社の「つみたてNISA」の取扱商品数は、ネット専業証券に比べると少なく、かなり絞り込んでいます。具体的には、野村證券が6本、大和証券は投資信託12本+ETF3本、みずほ証券はわずか3本です(4月23日時点)。なお、大和証券だけが「つみたてNISA」でETFを購入できますが、ETFについては後で詳しく説明します。

 銀行も、商品数を絞り込んでいるところがほとんどです。たとえば、みずほ銀行と三井住友銀行は、銘柄は異なりますが、両行とも国内・海外のインデックス型投資信託を1本ずつとバランス型投資信託1本の計3本です。りそな銀行は新興国に投資するインデックス型も加えて4本、大手銀行の中では取扱本数が多い三菱UFJ銀行でも、国内・海外のインデックス型投資信託を各3本、バランス型投資信託を3本、アクティブ型投資信託を3本の合計12本となっています(4月23日時点)。

初心者が始めやすいのは「銀行」
商品選びにこだわりたい人は「ネット証券」で!

 では、「つみたてNISA」を利用するにあたって、どのような金融機関を選べばいいでしょうか。これは投資初心者か、投資経験者かによっても違ってきます。

 投資初心者であれば、「つみたてNISA」を始める際の「ハードルの低さ」を重視することをおすすめします。たとえば、普段から給与振り込みなどで利用している銀行が「つみたてNISA」を扱っていれば、そこで口座を開くのが始めやすいと考えられます。

 前述のとおり、「つみたてNISA」で買える商品の数は、銀行が最も少なくなっています。そのほうが初心者にとって買いやすいという面もあります。“インデックス型投信の国内1本、海外1本、バランス型1本”のような形で絞り込まれているため、商品がたくさんあり過ぎて選べないといったこともありません。もともと金融庁は「つみたてNISA」では“選びやすさ”を重視しており、ある意味では銀行のラインナップこそが「つみたてNISA」の本来の目的に合致していると言えるかもしれません。

 一方、投資初心者でも、「つみたてNISA」からスタートして、いずれは株式などの取引もしたいという人は、ネット証券で口座を開いたほうがいいでしょう。銀行では、株式やETFなどの取引はできないからです。もちろん、すでに投資経験があって、「つみたてNISA」でも自分なりにこだわって商品を選びたい人は、取扱商品数の多いネット証券が選択肢になります。もっとも取扱商品の合計本数は多くても、たとえば「日経平均連動型」のような、同じタイプのインデックス型投資信託が何本もあったりします。同じ指数に連動するものなら、運用内容にはほとんど差はありません。それらの中では、なるべく信託報酬が低いものを選ぶのが重要です。

 投資に慣れる(自信を持てる)までは、銀行と同様に「つみたてNISA」で扱う商品数が絞り込まれている、大手対面型証券会社で投資を始めるという考え方もありえます。ただ、取扱商品数以外でも、ネット証券のほうが使い勝手がいい部分もあります。それは、多くの場合、ネット証券は積立日の設定の自由度が高いということです(すべてのネット証券が自由に積立日を設定できるわけではありません)。画一的に、その月の最初の営業日、あるいは毎月25日などと決まっているよりは、「給料日の2日後」など自分の都合に合う日を設定できるほうが利用しやすいでしょう。

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「つみたてNISA」ではETFを
あえて選ぶメリットはあるのか?

 さて、「つみたてNISA」で買える商品は、一定の条件を満たした投資信託とETF(上場株式投資信託)ですが、現状では対象となっているETFは「ダイワ上場投信-トピックス」「ダイワ上場投信-日経225」「ダイワ上場投信-JPX日経400」の3本しかありません。また、「つみたてNISA」でそれらのETFを購入できる金融機関は大和証券のみです。

 では、「つみたてNISA」で投資信託ではなくETFを選ぶ必要はあるでしょうか。結論から言うと、私はあえてETFを選ばなくていいと考えています。

 その理由を説明する前に、ETFとはどのようなものなのか、簡単におさらいしておきましょう。ETFとは、証券取引所に上場している投資信託のことです。インデックス型の投資信託と同じく、多くの銘柄に分散投資して日経平均株価やTOPIXなどの指数に連動する投資成果を目指しますが、株式のように市場で売買できます。投信と株の特徴を併せ持つ金融商品とも言えます。

 ETFは、運用時のコスト(信託報酬)が通常の投資信託より低いという特徴があります。たとえば、「つみたてNISA」の国内インデックス型投資信託の平均信託報酬は0.27%ですが、前述の3本のETFは0.11~0.18%で、いずれも平均を下回っています。一方、大和証券ではETFを売買する際、個別株と同様に取引手数料がかかるため、すべてノーロード(購入時手数料ゼロ)となっている「つみたてNISA」の投資信託に比べると、購入時は負担が大きくなります。

 また、長期投資を考える上で重要な点は、ETFは仕組み上、利益(配当など)を内部に貯めておくことができず、決算時に分配金として支払ってしまうということです。そのため、利益が利益を生む複利効果を期待することができません(「つみたてNISA」の対象となっているインデックス型投信では、分配金は自動的に再投資されます)。

 確かに、運用時のコストではETFのほうが投資信託よりメリットがあるものの、その差は徐々に小さくなっています。たとえば「つみたてNISA」の対象商品のうち、日経平均連動型で比較すると、最も低コストのインデックス投信「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」の信託報酬は0.17172%で、ETF「ダイワ上場投信-日経225」の信託報酬0.1728%よりむしろ安くなっています。そのうえ、取引コストがかかることや複利効果が期待できないことを考えると、「つみたてNISA」でわざわざETFを選ぶ必要はないでしょう。

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 ちなみに、今後「つみたてNISA」でETFを取り扱う金融機関が出てくるかというと、私はその可能性は低いと考えます。なぜなら、ETFを積立で購入するには「るいとう(株式累積投資)」(※)を利用する必要がありますが、「るいとう」に対応しているのは野村證券など一部の証券会社に限られるためです。さらに、「るいとう」でのETF購入は仕組み上、証券会社のコスト増につながることもあり、積極的に導入しようという動きは出にくいと思われます。

※1単元未満の少額で株の積み立て購入ができる仕組み

金融機関選びは今後ますます重要に
ただし悩みすぎずにまずは始めること!

 これまで国が主導するような制度やサービスが導入されると、どの金融機関も“横並び”で実施するケースがほとんどでした。しかし「つみたてNISA」では、今回見たように扱っている商品数や商品内容に差があります。これは、そうした状況に変化が出てきた表れなのかもしれません。横並びからの脱却が進んでいけば、今後は「つみたてNISA」に限らず、さまざまなシーンでの金融機関選びの重要性が高まる可能性があります。

 ただ、今のところ「つみたてNISA」の金融機関選びでそこまで悩む必要はないと私は考えます。「つみたてNISA」を始めた後でも、1年に一度ですが、金融機関を変更することも可能です。いつまでも悩んでいて始めないよりは、「思い立ったが吉日」でまずは自分が利用している、あるいは利用しやすい金融機関で、「つみたてNISA」を始めてみればいいのではないでしょうか。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。