闇株新聞[2018年]
2016年5月13日 闇株新聞編集部

「パナマ文書」の日本人情報も公開も、
貴重な情報が“報道の闇”に葬られる懸念も

闇株新聞が懸念する「パナマ文書」の情報管理

タックスヘイブン(租税回避地)の法律事務所から漏洩した顧客情報「パナマ文書」の存在が明らかになってから約9カ月。2.6テラバイトにも及ぶ膨大なデータの分析が進み、先ごろICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)のHPに公開されました。日本企業や日本人の名前も見つかり今後の進展が注目されていますが、市場経済の闇に精通した金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が、事態の状況と憂慮すべき問題について解説しています。

日本の24社と延べ400人の名前もあった!
「パナマ文書」の公開情報から何がわかるか

 ICIJは日本時間5月10日未明、「パナマ文書」に関しタックスヘイブンに設立された21万4000件のオフショア・カンパニーと36万件の関連する個人/法人の情報をHP上で公開しました。

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 そこには、オフショア・カンパニーの社名、住所、Nominee(名目的な)代表者、株主はもちろん、実質所有者(Beneficial Owner)氏名とその住所、パスポートのコピー、Nominee代表者への指示書や契約書、解説している銀行口座明細と残高の推移、送金指示書(送金先の銀行名、口座番号、口座名義まで)ありとあらゆる情報が含まれています。 

 データの分析には世界約400名のICIJ会員ジャーナリストが動員され、日本からは朝日新聞の奥山俊宏編集委員と共同通信の澤康臣記者が参加、24の日本企業と延べ400人の個人の実名(?)を探し出したということです。

 奥山俊宏氏が文芸春秋に寄稿した特集記事によると、ICIJ会員ジャーナリストは「パナマ文書」に含まれるすべてのデータにアクセスでき、かつ自由に自分のパソコンにダウンロードできるということです。

 今後、元データのすべてが公開されるとは限りませんが、問題は奥山氏らICIJの会員ジャーナリストだけが自由にアクセスでき、さらに取り込んだデータの二次使用に制限が加えられていない可能性があることです。

 これは「パナマ文書」の存在が露見した直後から本紙が最も懸念していたところですが、先述の文芸春秋の特集記事を読んで「どうやら元データは最も憂慮すべき状態にあるようだ」と感じました。

闇に隠れた犯罪行為を捜査できる宝の山だが
判断はたった2人の記者に委ねられている!

 一体、何が問題なのか!? 今後、元データを精査すれば、オフショア・カンパニーが誰の指示で何をやっていたか、取引の詳細や活動の実態が詳らかにできます。その中には犯罪や資金の隠匿、悪質な脱税などの反社会行為が含まれているはずです。いわば「闇に隠れた犯罪を白日の下にして不正を質すことのできる宝の山である」とも言えます。

 しかしながら、元データを見て「これは犯罪」「これは脱税」と見極められるのは、熟練した捜査関係者と税務関係者、それに国際金融ビジネスの専門家に限られます。ジャーナリストの目で判断できるものばかりではないでしょう。

 闇株新聞も公開された限りで日本企業関連リストを通覧しましたが、レセプト債への投資として集めた資金を消滅させたアーツ証券の名前を見つけました。元データにはその具体的な手口や経緯が凝縮されているはずです。

 当然ながら操作当局は元データの提供を求めるはずですが、そこは「ジャーナリストのプライド」とやらで拒否されてしまう可能性が高い。そうなると、犯罪かそうでないかの見極めはもちろん、どれを当局に通報し/どれを公開して批判に晒し/どれを見逃すかの判断が、世界でたった400人(日本には2人しかいない)ジャーナリストに委ねられてしまったことになります。これは大変に気持ちが悪い憂慮すべき状態です。

 やはり「パナマ文書」はジャーナリズムを前面に出しているものの、その実態は国家が絡む諜報戦争の一環と考えられます。その基本的構造と日本が取るべき行動については、来週月曜日の金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」で緊急特集を組み、解説・提言していきます。興味のある方は是非、購読をご検討ください。