2022年12月に新規上場した「IPO株」25銘柄の中で、アナリストが特に注目したのは「コーチ・エィ」と「スカイマーク」!
ダイヤモンド・ザイ2023年3月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2022年12月に新規上場した「IPO株」全25銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。今回は、その中でも小林さんが特に注目する2銘柄を公開!
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12月に新規上場した「IPO株」は全部で25銘柄!
「大栄環境」や「スカイマーク」などの大型IPOも複数実現!
2022年12月には25社が新規上場。2021年12月の32社と比べると件数は減っているが、2021年は東証再編前の駆け込み上場が多かったことを考えると、2022年も例年並みのIPOラッシュと言える。
上場中止が1件あったものの(AnyMind Group、2022年3月に続き2度目)、大型IPO株も複数登場。たとえば、12月14日に東証プライム市場に上場した大栄環境(9336)の公募・売出規模は、2022年10月に新規上場したソシオネクスト(6526)に次いで、2022年で2番目の大きさ。また、やはり12月14日に、こちらは東証グロース市場に上場したスカイマーク(9204)は、2022年で3番目の規模だった。
「こうした大型IPOの実現は、2022年後半からの環境改善をあらためて感じさせます」(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さん)
公募・売出規模が大きいと、株式需給面で不利になるにもかかわらず、大栄環境とスカイマークは公開価格を上回る初値に。小型IPOでも、公開価格比2倍以上の初値を付ける銘柄が散見され、全般に堅調だった。個人投資家のIPO銘柄に対する物色意欲は根強く、スカイマークなどに対しては海外勢の投資家需要も見られた。
ただ、12月26日に上場した3銘柄は、そろって公開価格割れ。日銀による金融緩和政策の変更発表後の日本をはじめ、世界的な相場下落の影響も少なからずあったようだ。
「2023年は、投資家の意欲と市場環境をめぐる懸念との間で綱引きとなりそうです。特に年前半は要注意です」(小林さん)
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また、小林さんは「日本でも金利上昇となれば、最近増えている”赤字段階での上場の企業”に逆風」と指摘する。
「近い将来での黒字化のメドが立っていればいいのですが、翌期~翌々期に黒字化見込みといった、収益化までの期間が長い銘柄は、慎重に見るべきでしょう。そうした株は人気も高い半面、どこまで市場の評価を維持できるか不透明です。ある程度、利益成長を見込めることが重要です」(小林さん)
もっとも、先述のとおりIPO市場の環境は改善してきており、悲観する必要はないだろう。ちなみに、2022年中のIPO件数は91社で、2021年の125社からは減ったが、2020年(93社)以前と同水準。公開価格に対する初値の平均騰落率はプラス51.8%で、2021年(プラス56.2%)並みをキープした。
「2023年は、すでに上場申請済みの楽天銀行や住信SBIネット銀行を含め、90~100社程度の上場が期待できる」と小林さん。今後も有望な銘柄を見極め、狙っていきたい。
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2022年12月の【IPO株】で”買い”&”強気”診断の4銘柄を公開 |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (1/4) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
14日 | ◆スカイマーク(9204・東G) | |||||
1170円 | 1272円 (+8.7%) |
1440円 | 9.6倍 (8.23倍) |
1700円 (1200円) |
強気 | |
【分析コメント】羽田空港を拠点とするエアライン。経営破綻から8年ぶりの再上場で注目された。初日の買いは、同日上場の大栄環境に向いた印象があるが、今後の旅行需要回復に期待。 | ||||||
15日 | ◆スマートドライブ(5137・東G) | |||||
1320円 | 1630円 (+23.5%) |
1404円 | ー (223.21倍) |
2200円 (1000円) |
強気 | |
【分析コメント】商用車を利用する企業などに向け、モビリティデータを活用した事業を国内外で展開。急成長企業として注目度が高い。売上成長が続き黒字化への期待が持てる。 | ||||||
16日 | ◆オープンワーク(5139・東G) | |||||
3150円 | 3500円 (+11.1%) |
3900円 | 52.8倍 (6.40倍) |
6000円 (3300円) |
強気 | |
【分析コメント】転職・就職情報サービス「OpenWork」を運営。日本最大級の社員クチコミ情報が特徴。第2の柱の採用サービスへの先行投資期が終わり、利益率も上向き。 | ||||||
22日 | ◆コーチ・エィ(9339・東S) | |||||
1840円 | 2500円 (+35.9%) |
1880円 | 10.8倍 (1.96倍) |
2600円 (1700円) |
買い | |
【分析コメント】組織開発・人材育成のコーチング事業。人的資本への投資機運の高まりもあり業績は堅調で、年10~15%の業績成長を期待。株価上昇の余地は大きそう。 | ||||||
※データは2023年1月4日時点。 |
アナリストが注目するのは「コーチ・エィ」と「スカイマーク」!
「コーチ・エィ」は唯一の”買い”診断で、株価上昇の余地は大!
12月は多数の銘柄が上場したものの、すでに過熱感がある銘柄や、懸念材料を抱えた銘柄も多く、”買い”または”強気”と高く評価された銘柄は、上記の4銘柄にとどまった。以下では、その中の2銘柄について、さらに掘り下げていこう。
最初に紹介するのは、小林さんが”買い”と診断したコーチ・エィ(9339)だ。
コーチ・エィは、経営層や管理職向けのコーチングを手掛ける企業。株価の下値リスクが小さい一方で、上値余地が大きいと見て「買い」に。足元のPER水準は、2022年10月上場の類似企業・ビジネスコーチ(9562)と同等だが、人材サービス各社の中では割安。政府が“人への投資”を推進しているだけに、物色人気が高まる場面も十分見込めそうだ。
続いて紹介するのは、”強気”診断の大型IPO株・スカイマーク(9204)だ。
スカイマークは国内3位の航空会社。競争激化も指摘されるなか、フルサービスキャリアやLCCと異なる独自のポジションで成長を図る。今期の純利益は、税制措置による押し上げがあるものの、経済活動の正常化に伴い業績回復へ。米国の運用大手が大量保有報告書を提出するなど、海外投資家の買い需要も旺盛だ。
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