新NISAで大人気の「オルカン(オール・カントリー:全世界株型の投資信託)」の基礎知識&初心者が勘違いしやすい“3つの罠”を解説!
発売中のダイヤモンド・ザイ8月号は、特集「新NISAで勝つ!【オルカン】入門」を掲載!「オルカン」とは、全世界株(オール・カントリー)型の投資信託のこと。このところ人気が高く、新NISAでも多くの人に買われている。なかには、2024年1~5月で1兆円超の資金が流入した投資信託もあったほどだ。しかし、人気があるからといって何も考えずに買うのはNG。この特集では、オルカンを買うにあたって知っておくべきことを紹介しているので、投資の参考になるはずだ。
今回はこの特集から、投資初心者が陥りやすい“オルカンの3つの罠”とともに、オルカンの基礎知識を解説した記事を公開!
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オルカンに投資するなら3つの勘違いにご用心!
過去の値動きや投資対象の内訳、為替の影響について知っておこう!
長期的には世界経済は成長し続け、それに伴って世界の株も上昇していくと見られる。そこで注目されているのが全世界株(オール・カントリー)型の投資信託(オルカン)だ。2024年1月から始まった新NISAでも、オルカンに人気が集中。オルカン1銘柄だけで世界中の株に分散投資ができるため、初心者でも買いやすいのがその理由だ。
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そんなオルカンだが、当然ながら、まったくリスクがないわけではない。「みんな買ってるし、安心だろう」と過信していると、後々「こんなはずじゃなかった」と思う日が来るかもしれない。そこで、以下では初心者が勘違いしやすいオルカンの”3つの罠“を解説していこう。
【オルカンの罠①】オルカンはこの先も順調に上がる!
⇒実際は株100%でリスクは高め。値動きは大きいと心得よ!
1つめのよくある勘違いは「オルカンは安定的に上昇する」というもの。実際には、オルカンが組み入れているのは国内、先進国、新興国の「株」だけなので、債券を組み入れた投資信託などに比べると、上下の変動は激しくなる。
以下は、全世界株型投資信託の代表的指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」の過去20年の推移。下の棒グラフは1年ごとの上昇幅・下落幅だ。右肩上がりの推移になっているものの、振れ幅を見ると、上にも下にも大きく動いていることがわかるだろう。1年で50%以上も値上がりした年もあれば、逆に50%以上も値下がりした年もあるのだ。
ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦さんは「オルカンを低リスクな商品だと思っている人が多く、心配」と話す。
「最近投資を始めた人は、上がる相場、または下がってもすぐ回復する相場しか体験していません。しかし過去には、リーマン・ショックのように回復に5年以上かかる下落もあったのです。あくまで投資しているのは株。リスクを負っていることを忘れないように。定年など自分が定めたゴールで、運用額が最大になっていると信じるのも危険です。タイミングによってはマイナスになる可能性もあります」(深野さん)
【オルカンの罠②】オルカンは世界中の株に幅広く分散しているから安心!
⇒実際は、オルカンの投資先の“6割が米国株に集中”している!
2つ目のよくある勘違いは、オルカンならおよそ50カ国の株に投資しており、分散効果が高いと見なすこと。分散投資をしていることは事実だが、すべての国に均等に投資していたり、先進国と新興国で半々に投資していたりするわけではない。
実際には投資対象の6割を米国株が占めており、先進国株と新興国株の比率は9:1。全世界株型の投資信託であれば連動する指数はどれも同じなので、どの投資信託を買ってもこの比率は変わらない。全世界株の指数は「時価総額加重平均型」といって、時価総額の大きさに応じて、指数に組み入れる割合が決められる。時価総額が大きい=大企業なので、必然的に世界一の経済大国である米国の株が多くなる。
この点を理解していないと、投資先の分散のため、いくつかの投資信託を組み合わせて買いたいときに失敗する恐れがある。たとえば、全世界株型を複数組み合わせて買っても、分散にはならない。また、オルカンと米国株型の投資信託の2本を買ったとすると、米国株を組み入れた投資信託に資金を集中させていることになるので、こちらもあまり組み合わせて買う意味がないのだ。
【オルカンの罠③】オルカンの儲けは企業の成長次第!
⇒実際は、直近の運用結果が好成績なのは“歴史的な円安”のおかげ!
オルカンが連動する指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」は、過去20年で約7倍になった。そう聞くと「世界の企業の成長はすごい!」「今すぐオルカンに投資して、最速でお金持ちになりたい」と気持ちがはやるかもしれない。
しかし、実際にはここ数年のオルカンの好成績は、世界企業の成長によるものだけではない。以下は、MSCIの指数の円建てとドル建ての推移を比較したもの。過去20年で円建てが約7倍なのに対し、ドル建ては約4.5倍にとどまっている。
同じ指数なのに差が出る原因は為替にある。特に差が開いた直近3年半は、円安(ドル高)が急ピッチで進んだ。円安には「実力以上の値上がりに見せる」効果がある。普段、私たちが目にしているのは円建ての成績なので、オルカンの成績は非常に伸びているように見えるのだ。
SBI証券投資情報部の川上雅人さんは「オルカンの約94%は海外、つまり外貨での運用になるため、為替の影響は大きい」と注意する。
「円で成績をチェックする私たちにとって、ここ数年の円安はプラスでした。しかし今後、円高(ドル安)に動いたら、儲けが思うように出なくなる可能性もあるでしょう」(川上さん)
とはいえ、そこで焦ってしまうようでは、損をするリスクが高くなる。為替の動向は読みづらいので、一時的な下落に焦らずに長期で付き合う心構えを持つのが成功のカギだ。
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※「オルカン」は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称として商標登録されているが、ここでは全世界株型インデックス投資信託の総称として使っている。
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