<9342> スマサポ 946 +6
不動産管理会社向けソリューション提供事業の「スマサポサンキューコール」と「totono(入居者と不動産管理会社のコミュニケーションを円滑にし、入居中に快適なサービスを届けるプラットフォーム)」が主力サービスであるスマサポ<9342>は、1月6日に台湾政府機関「国家住宅及都市更新中心」の開発プロジェクトに参画を発表した。
同プロジェクトは、国家住宅及都市更新中心の委託を受けて現地のIT企業である曜發科技股份有限公司(EFA Technology Inc、以下、EFA)が開発を担当する。スマサポは、日本国内での入居者アプリ「totono」の実績やノウハウを活かし、デザインや機能設計の監修を全面的に行うようだ。
台湾では急速な都市化と住宅需要の増加に伴って住宅管理効率化へのニーズが高まっており、特に台湾政府が管理する国家住宅では、入居者情報や賃貸管理業務のデジタル化が求められている。スマサポは、EFAとの協業を通じて、国家住宅及都市更新中心のプロジェクトに参画するが、設計思想やUX/UIデザインを監修する重要な役割を担う。これは、同社の住宅管理アプリに関する専門性と実績が、国家住宅及都市更新中心からの信頼に繋がったと考えられる。
また、本プロジェクトへの参加により、アジア地域を中心としたグローバル展開への第一歩となった。今後も、「totono」を軸にしたサービス設計や新たなソリューションの提供を通じて、より多くの地域で不動産管理業界の課題解決に貢献していく。
業績面では、2024年9月期は売上高が前期比37.2%増の2,674百万円、営業利益が108百万円(前期は133百万円の赤字)となり、事前予想(売上高2,600百万円、営業利益100百万円)を上回り、かつ黒字転換を果たしての着地となった。「スマサポサンキューコール」のコンタクト数は301,787件(前年比+47,555件)、単価は6,552円(同+1,119円)となり、入居者アプリ「totono」Phase1.0の導入社数(累計)は89社(同+26社)、MRR(Monthly Recurring Revenue=月間経常収入)/ARR(Annual Recurring Revenue=年間経常収入)は34,322千円/411,864千円(2024年9月時点で同+18.1%)と好調。「totono」は累計25万ダウンロードを突破している。2025年9月期は利益の成長局面に入り、売上高で前期比12.1%増の3,000百万円、営業利益で同84.5%増の200百万円が見込まれている。
スマサポは「不動産管理会社」と「賃貸入居者」の一方向のコミュニケーションをデジタルの力でスムーズにすべく、まずは「スマサポサンキューコール」で安定的な収益基盤を作り、「totono」で大きな飛躍を目指している。
「スマサポサンキューコール」は、不動産管理会社の先にいる入居者に対して生活サポートを提供するサービス。入居者に新生活をスタートするにあたって必要不可欠となる付帯商品の販売を行っている。具体的には、インターネット回線やウォーターサーバーなどを入居者に案内し、商品を提供する企業から顧客紹介料を得るビジネスモデルとなっている。不動産管理会社に加えて、不動産管理会社が抱えている入居者がターゲットになるため、主要KPIは入居者とのコンタクト数となる。なお、現在は、「スマサポサンキューコール」が同社の収益の柱で、安定収益に位置付けられている。
「totono」は入居者と不動産管理会社のコミュニケーションを円滑にし、入居中に快適なサービスを届けるプラットフォーム。電話が主になっている不動産管理会社と入居者のアナログなコミュニケーションを「totono」でデジタル化した。経営陣の不動産管理会社勤務時代の苦労から生まれたサービスであり、不動産管理会社は業務コストの削減ができ、入居者もアプリの中で必要な情報が網羅できる。同サービスは、不動産管理会社に月額のサブスクモデルで提供しており、チャットなどの問い合わせ代行などBPOとしてのアップセルも強化している。その他の機能としては契約情報の連携、スマートロックなどIoT機器連携なども備えている。2024年9月期上期時点のアプリダウンロード数は、20万8,714ダウンロードだったが、足もと8月2日発表で25万ダウンロードを突破。UIUXデザインを大幅リニューアルしたことに加え、管理戸数8万戸超、東証プライム上場のジェイ・エス・ビー社に導入が決まり、ハイスピードでのダウンロード数上積みが進んでいる。今まで、解約率はほぼゼロで、解約は1社だけとなっている。ただ、この1社も会社の体制に変化があり、やむなく解約となったようだ。
不動産管理会社と入居者のコミュニケーションを活発化させ、不動産管理会社がこれまで得られなかった収益を得ることや、コミュニケーションをデジタル化することで業務負担を改善させる道筋が明確化、スマサポがアップセルを強化できる局面にも移行しつつある。これまでが「totono」Phase1.0であとしたら、「totono」Phase2.0ではスマサポが業務プロセスごと巻き取り、その裏でSaaS(→BPaaS= SaaS+BPO)サービスを使いこなすことで、DXを推進させ、不動産管理会社がコアビジネスに集中できる環境を提供していく。DXによるデータの蓄積でスマサポがチャット返信できる件数も大幅に増加、AIによるアンサーも可能になるなど、売上高の拡大と同時に原価削減も進めることができる。将来的には、AI活用による非連続的成長も視野に入ろう。
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