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日米株式市場とも、相変わらず強い動きを続けています。ただし、日経平均株価に関しては、2万4100円ラウンドでの上値の重さが目立ち、過去最高値を更新し続ける米国に比べると相対的に弱い動きではあります。
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日経平均株価は、昨年来高値を更新するものの、
主力企業の決算発表を控えて全般的に様子見ムードが強まる
1月20日の米国は、キング牧師誕生日の祝日のため全市場が休場でした。ですが、週末の17日の米3主要株価指数(NYダウ、ナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数)は、そろって過去最高値を更新しました。
この日は、1月17日に発表された中国の2019年12月の工業生産高や小売売上高が市場予想を上回ったことや、2019年12月の住宅着工件数が市場予想を大きく上回って増え、13年ぶりの高水準となったことが買い材料になりました。
一方、1月17日の日経平均株価は24115.95円を付け、昨年来高値を更新しました。しかしながら、20日の高値は2万4108.11円、21日前場の高値は2万4081.75円と、2万4100円アラウンドでの上値の重さが意識される動きとなっています。
1月21日前場に関しては、3月決算の主力企業の第3四半期決算発表の本格化を控え、全般的に様子見ムードが強まる中、海外ヘッジファンドをはじめとする短期筋などが株価指数先物に売りを出し、現物株を押し下げたと観測されていました。
中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染拡大により、
「新型肺炎」関連銘柄に注目が集まる
このように、現在の日本株については、相場全体が力強く押し上げられる状況ではありません。そんな状況下、足元の株式市場では、「新型肺炎関連」が人気化しています。これは、中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎です。このため、市場では、医療関係者向けの防護服やマスクのみならず、「赤外線サーモグラフィー」などを扱う企業の株価が“火柱高”になっています。
中国湖北省武漢市の衛生健康委員会によると、最初に患者が「新型肺炎」を発症したのは昨年12月12日で、今年1月5日には患者数が59人となり、このうち7人が重症となったと発表しました。また、中国政府が派遣した調査団が新型のコロナウイルスを検出したことを、中国国営中央テレビ(CCTV)が1月9日に報じました。一方、我が国では、厚生労働省が1月6日までに、武漢市で原因不明の肺炎が発生しているとして、渡航者などに注意を呼びかけました。
そしてついに、武漢市の衛生健康委員会は1月11日、「新型肺炎」により初めて死者が出たと発表しました。なお、武漢市衛生当局は21日未明、19日に4人目の感染者の死亡を発表しました。
日本でも厚生労働省が渡航者などに注意を呼びかけたことで、「これは“対岸の火事”ではない」との見方が強まりました。また、感染者から死者が続々と出たことで、「この新型のコロナウイルスによる肺炎が非常に危険な肺炎である」という認識が、東京株式市場に広がりました、さらに、2002年に発生したコロナウイルスの一種である重症急性呼吸器症候群(SARS)で、中国政府の情報開示が遅れて感染が拡大したことを、多くの投資家が思い出しました。
その後、市場が警戒した通り、この新型肺炎は中国内のみならず、近隣諸国に感染が拡大しました。
まず、タイの保健省は1月13日、武漢市から観光で訪れた中国人女性が、新型コロナウイルスによる肺炎に感染していたと発表しました。また、厚生労働省は16日、武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の国内初患者を確認したと明らかにしました。そして、韓国保健福祉省は20日、武漢市から19日に仁川国際空港に入国した中国国籍の女性が新型コロナウイルスによる肺炎に感染していたと発表したのです。
さらに、新型肺炎を調査する中国政府の専門家グループが1月20日、人から人への感染を確認したと明らかにしたのです。実際の隣国への感染拡大を受けて、市場はパンデミック(世界的な感染の流行)への警戒感を強めるにいたっています。
中国では、25日の春節(旧正月)期間の前後40日間で延べ約30億人が移動する見通しのため、中国国内でもウイルスの蔓延、感染拡大懸念が強まっています。もちろん、この時期、日本も中国からの多数の観光客を受け入れることでしょう。
このような切迫した事態のもと、WHO(世界保健機関)は1月20日、新型肺炎が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に相当するかの判断などを協議するため、専門家による緊急委員会を22日に開催すると発表しました。
「新型肺炎」関連として、「マスク」や「防護服」、
「赤外線サーモグラフィー」などを手掛ける銘柄が人気化!
このような一連の発表・報道を受け、東京株式市場では、新型肺炎関連の一角が人気化し、その人気が継続、過熱しているのです。そこで、今回はこのテーマで人気化している銘柄をいくつかピックアップしておきます。
●アゼアス(3161)
デュポンタイベック製防護服や、マスク、ゴーグル、グローブ、デュポンタイベックソフトウェア防護服、シューズカバーをひとつのセットにした、非常時などに利用しやすいパッケージできたことである「感染症防護対策キット ICK-3」を手掛けています。
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●川本産業(3604)
医療・衛生材料のサプライヤーとして、海外の安全衛生保護具・機器を厳選し、安心、安全な高機能商品を使用者に提供しています。また、川本産業も保護メガネ、保護服、保護手袋などを手掛けています。
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●日本エアーテック(6291)
感染症対策機器を手掛けています。例えば、感染症患者を収容する病室は、病原性により第1種、第2種に分けられます。患者の居住性を考慮し、かつ病室面積、設備内容など所定の要件を満たした「第一種感染症病室」の設計を行います。また、「バイオセーフティカプセル」は、患者搬送用の陰圧ストレッチャーカプセルです。カプセル内は、陰圧に維持され、患者からの咳などは封じ込められます。
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●マナック(4364)
「イータック(Etak)抗菌化スプレーα(エーザイ株式会社)」の主成分である「Etak」を供給しています。「Etak」は、例えば、マスクに用いると、容易に抗インフルエンザ加工ができ、空気感染や接触感染による感染拡大のリスクを下げることが期待できます。
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●大幸薬品(4574)
2013年11月10~12日に開催された「第61回 日本ウイルス学会学術集会 」において、「コロナウイルスに対する二酸化塩素溶存液の抗ウイルス活性の検討」について発表しました。研究の結果、クレベリン(二酸化塩素ガス溶存液)が、コロナウイルスを99.9% 不活化することが確認できたということです。
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●興研(7963)
感染対策のスタンダードマスク「ハイラック350」を展開しています。ハイラック350型は、米国の「N95」や日本の「DS2」の規格に合格したマスクであり、フィルター性能の高さは折り紙つきだそうです。空気感染の代表例である「結核」感染対策として、保健所、感染症指定医療機関など多くの施設でもハイラック350型が選ばれているようです。
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●重松製作所(7980)
重松製作所の「N95マスク」が、NIOSH(米国労働安全衛生研究所)規格に合格。厚生労働省では、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)などの対策指定品の一つとしています。これは、ウイルスを含んだ飛沫の侵入を防ぐことができる高性能なマスクで、医療施設等における日常業務での感染の可能性も最小限に抑えるということです。
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●帝国繊維(3302)
パンデミック(新型感染症)対策製品として、各種体温計や、体表面温度チェッカーを用意しています。「ユニット型体表面温度チェッカーサーモピクスアイ」は、発熱者の発見に役立つ体表面温度を簡単にチェックできます。標準付属の「体表面温度チェック用アプリケーションソフトを使えば、パソコンの画面上の各種設定、熱画面表示ができます。
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●日本アビオニクス(6946)
人体の皮膚(体表)温度をリアルタイムに計測し、発熱者をチェックし、発熱者のスクリーニングと、ゲート機構などの制御を連動させることが可能な「赤外線サーモグラフィー製品」を手掛けています。この製品は、リアルタイムの体表温計測により、スクリーニングの無人化を実現し、対人接触による感染の危険性を低減できるというメリットがあります。なお、「赤外線サーモグラフィー」に関しては、空港、公共施設、宿泊施設における感染症(流行性ウイルスなどのパンデミック)への警戒レベルが上がり、水際での 早期検出や二次感染拡大防止/予防など危機管理対策の強化が求められるかどうか重要な鍵となっています。
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なお、これら「新型肺炎」の関連銘柄は、感染者数の増加や死亡者の数が増える限り、基本的には人気が続く見通しです。しかしながら、逆に、多くの国民が望む事態沈静化の流れがみえてくれば、これら銘柄群は一気に急落し、あちこちでナイアガラが発生する見通しです。もし、これからこの手の銘柄群を売り買いするつもりならば、関連ニュースに対して今まで以上に注意を払っておきましょう。
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