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急落する米国株のチャートに現れた
「陽線のカラカサ」が底打ちをシグナルに!
先週のニューヨーク市場は、リーマンショックがあった2008年10月以来最大の週間下げ幅を記録しました。S&P500指数は-11.5%でした。
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2月28日(金)の大引け1時間半前に、FRBが「経済を支援するため適切な行動に出る」という声明を出し、利下げをほのめかしました。このためマーケットでは、上のチャートのように下ヒゲの長い陽線、いわゆる「陽線のカラカサ」と呼ばれる日足が至現しています。
米国の株式市場におけるETFの売買代金が急増!
先週金曜日には、株式出来高の43%占める空前の高水準に
先週の下げは、出来高をともないながら展開してゆきました。例えば28日、アメリカを代表する株価指数であるS&P500指数に連動するETFで短期トレーディングに利用されることが多いSPDR S&P500 ETF(ティッカーシンボル:SPY)は、売買代金が13.8兆円でした。これは、すべての個別株やETFにおける1日の売買代金の記録を塗り替えました。
一方、同じ28日のETF全体の売買代金は、44兆円でした。こちらも通常の4倍で、空前の商いだったと言えます。ETFの出来高は、通常ならすべての株式出来高の25%程度ですが、この日は43%を占めました。
28日は特別出来高が多かったのですが、先週は、それ以外の日の出来高も高水準でした。
株の売買高全体の4割を占めるETFが、
先週、米国株が急落した元凶だった!?
そこで疑問が生じるのは「ひょっとしてETFが今回の下げの元凶では?」ということです。
ETFが全体の売買高の4割を占めるということは、ETFではない現物株の売買の少なからぬ部分も、ETFの「設定(クリエイション)」と「償還(リデンプション)」絡みの需要によって引き起こされている可能性があります。
このメカニズムを説明すると、ETFは通常の投資信託と違い、ファンドマネージャーやバイサイド・トレーダーがいません。その代わりというわけではありませんが、AP(指定参加者)と呼ばれるサヤ取り業者(投資銀行やヘッジファンド)が、ETFが連動する指数と市場でついているETF価格の乖離をコンピュータでモニターしています。
ETFは、それぞれベンチマークとする指数があります。その指数がETF価格より低くなると、APはETFを空売りすると同時に、指数を構成する個々の株を市場で拾ってくることで指数とまったく同じバスケットを揃え、それを信託銀行に持ち込みます。信託銀行は。それを受け取る代わりにETFを作ってくれるわけです。これが設定(クリエイション)です。つまり、割安になっていた指数(個々の株を集めたバスケット)と割高になっていたETFのサヤ(差額)がAPの儲けになります。
逆に、指数がETFの価格より高くなった場合、個別株を空売りし、同時にETFを買います。そして信託銀行にETFを持ち込み「これを個別株に換えてください!」とリクエストすればそのETFをキャンセルし、代わり個別株が渡されます。これが償還(リデンプション)です。
このようなアービトラージ(サヤ取り)の売買を繰り返すことで、ETFの価格は指数を追いかけているのです。
先週は、新型コロナウイルスの影響で利益警告をしたアップル(ティッカーシンボル:AAPL)が下げを先導しました。アップルは、S&P500指数に占めるウエイトが最も高い銘柄です。その筆頭銘柄が急に下がったので指数も大きく引きずられました。すると「アップルが下がるから指数も下がる。指数が下がるからETFも大きな出来高をともなって下がり、それがまた指数の下げを呼ぶ……」そういう負のスパイラルが生じてしまうのです。
先週、マーケットが一直線に下落した理由のひとつはこれに違いない、と考えるトレーダーは多かったです。
幸い、そのような怒涛の売買の中でも「フラッシュ・クラッシュ」のようなマーケットの機能不全は起こりませんでした。つまり、取引は終始整然としていたのです。
結論的には、ETFのような株価指数に連動する投資対象が、上に説明したようにニューヨーク市場の出来高のかなりの部分を支配する場合、相場が一方向へ走り出すとそのトレンドがどんどん補強されるリスクがあるのです。
今週の注目点としては、「そのような傾向は、ダウンサイドだけでなくアップサイドにも働くのか?」という点だと思います。
先週の急落により、米国株のバリュエーションは
過去5年の平均よりも割安な水準に!
先週マーケットが下げた関係で、S&P500指数の向こう12カ月の予想1株当たり利益(EPS)に基づいた株価収益率(PER)は、16.7倍に下がりました。これは過去5年間の平均とまったく同じです。つまり、EPSの上では米国株はまったく割高ではありません。
また、米国10年債利回りは過去最低の1.156%まで低下しており、昨年末の1.92%に比べると-40%近く低下しました。株式バリュエーションは市中金利とシーソーの関係にあり、市中金利が低下すると株式の理論価値は上昇します。
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これらのことを考え合わせると、実際には米国株のバリュエーションは過去5年の平均よりも割安だと思います。つまり、今後、反発局面が来ることは十分に期待できます。
米国市場の反発が期待できる局面では、
素直に決算の良かった企業を買っていこう!
最後に「反発局面で何を買う?」という問題ですが、今回の決算が良かった企業を買うのがいいでしょう。具体的には、大型株では以下の銘柄が良いと思います。
・アプライド・マテリアルズ(AMAT)
・インテル(INTC)
・エヌビディア(NVDA)
・ウォルト・ディズニー(DIS)
・メルク(MRK)
・マイクロソフト(MSFT)
・アマゾン(AMZN)
・JPモルガンチェース(JPM)
急成長株では、以下の銘柄がおすすめです。
・アトラシアン(TEAM)
・オクタ(OKTA)
・ズーム(ZM)
・テスラ(TSLA)
・ドキュサイン(DOCU)
・モンゴDB(MDB)
・トレードデスク(TTD)
・リフト(LYFT)
・クラウドストライク(CRWD)
・スラック(WORK)
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