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いま世界は、新型コロナウイルスの感染問題という大きな試練に直面しています。
新型コロナウイルスの感染は当初、中国で爆発的に広がりましたが、最近ではイタリアなど欧州において急拡大しており、すでに中国以外における感染者数は5割を超えました。WHOが「欧州はパンデミック(世界的な大流行)の中心となった」とコメントするように、欧州各国での感染拡大に歯止めがかからない状況です。
イタリアは、全国的な封鎖を開始。スペインは、仕事と生活必需品の買い出し以外の国民の外出を禁止。フランスは、すべてのレストランとカフェ、映画館、生活必需品以外を売る小売店を閉鎖しています。そして、国境封鎖に慎重であったドイツ政府も、各国との国境管理を始め、明確な理由がなければ出入国を禁じる方針へ転換しました。
各国の中央銀行による積極的な金融政策により、
金融市場が少しずつ落ち着きを見せることに期待
こうした混乱の中、米国のトランプ大統領は3月13日、国家非常事態を宣言しました。そして米連邦準備制度理事会(FRB)は15日に臨時会合を開き、政策金利を一気に1.0%引き下げて事実上の「ゼロ金利政策」に踏み切ることを決定。さらに、米国政府が1兆ドル規模の追加支援策を検討しているという報道がされるなど、米国の素早い対応には感心させられます。
一方、日本においても3月16日、日銀が金融政策決定会合を前倒しで開催し、ETF買い入れの年間目標額を現行の6兆円から「当面12兆円」に拡大する追加の金融緩和を決めるなど、各国中央銀行の協調姿勢が見られています。
この先、株式市場が明確な底入れをするには、新型コロナウイルスの封じ込めが必要です。ただ、各国中央銀行による積極的な金融政策により、徐々に金融市場が落ち着きを見せることも期待されます。
個人投資家主体の新興市場ではコロナショックの影響が大きく、
より激しい変動がともなうパニック的な値動きに
今回の世界経済のパニックでは、AIアルゴリズム売買などの機械的な商いが株価の暴落・暴騰を拡大させました。
日経平均株価は、3月に入ってからのわずか2週間程度で、約5000円も下落しました。しかし、よりパニック的な動きを見せたのは個人投資家主体の新興市場で、日経ジャスダック平均株価は1月22日の高値3967.50円から調整が強まり、3月13日には一時2724.39円まで下落。東証マザーズ指数は、800〜900のレンジ相場から527.30まで急落しました。どちらも、押し目買いが入りづらい需給状況の中、強制的なロスカットが下落幅を拡大させたと見られます。
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3月以降上場のIPOでは、初値公募割れが続出!
市況を鑑みてIPOの延期を発表する企業も
そんな市況において、これまでなかった動きを見せたのが、IPO銘柄です。
IPO投資では、ブックビルディングに参加して購入し、公開価格を上回る初値がついたら売却して大きな利益を得る、という手法が一般的でした。しかし、このところのIPOでは初値公募割れが相次いでおり、上場後も下落基調が継続する銘柄が多く見られます。
■2020年3月にIPOした銘柄の多くが初値公募割れに(※3月19日までに上場した分) | ||||||
銘柄名(コード) | 上場日 | 公開価格 | 初値(初値騰落率) | |||
カーブスホールディングス(7085) | 3/2 | 750円 | 670円(−10.7%) | |||
Kids Smile Holdings(7084) | 3/4 | 2260円 | 2732円(+20.9%) | |||
きずなホールディングス (7086) | 3/6 | 1200円 | 1200円(−4.3%) | |||
ウイルテック(7087) | 3/6 | 750円 | 670円(±0.0%) | |||
フォーラムエンジニアリング (7088) | 3/9 | 1310円 | 1030円(−10.7%) | |||
ビザスク(4490) | 3/10 | 1500円 | 1310円(−12.7%) | |||
コンピューターマネージメント(4491) | 3/11 | 2750円 | 4360円(+58.6%) | |||
フォースタートアップス (7089) | 3/13 | 1770円 | 1628円(−8.0%) | |||
木村工機 (6231) | 3/13 | 2400円 | 2050円(−14.6%) | |||
リグア(7090) | 3/13 | 1950円 | 1910円(−2.1%) | |||
ミクリード(7687) | 3/16 | 890円 | 818円(−8.1%) | |||
ミアヘルサ(7688) | 3/17 | 2330円 | 1748円(−25.0%) | |||
リビングプラットフォーム(7091) | 3/17 | 3900円 | 3550円(−9.0%) | |||
ドラフト(5070) | 3/17 | 1580円 | 1221円(−22.7%) | |||
Fast Fitness Japan(7092) | 3/18 | 上場延期 | ||||
ゼネテック(4492) | 3/19 | 1700円 | 1620円(−4.7%) | |||
関通(9326) | 3/19 | 490円 | 1032円(+110.6%) | |||
日本インシュレーション (5690) | 3/19 | 940円 | 869円(−7.6%) |
これまでのIPO銘柄では、公開規模や事業内容などから「初値公募割れをするべくしてした銘柄」というものはありました。具体的には「事業が地味で人気がない銘柄」「市場からの吸収金額が大きく需給が緩い銘柄」などで、そうしたIPO銘柄が初値公募割れをすることに驚きはありません。
反対に「テーマ性があり人気の高い銘柄」「吸収金額が小さい小型のIPOで需給がタイトな銘柄」などは、市況にもよりますが、公開価格の何倍といった初値形成が見られていました。
ところが、この3月以降、公開規模が10億円を下回る小型のIPOであっても初値が公開価格を割り込むケースが頻発しています。また、ウイングアーク1stやペルセウスプロテオミクス、Fast Fitness Japanなどのように、ここにきてIPOの延期を発表する企業も増えています。
【※IPOの初値形成についての解説記事はこちら!】
⇒IPO株の初値を予想するのは意外と簡単だった!? 公開規模や予想PER、仮条件などの公開情報を元にプロが実際にやっている初値予想の出し方を公開!
今回はあえて、そんな直近で新規上場したIPO銘柄に注目してみました。
IPO前の人気は高かったものの、コロナショックにより
上場後の株価がふるわない「直近IPO銘柄」に注目!
3月以降にIPOした銘柄の中には、これまでIPO投資の主流だった「初値で売って大きな利益を狙う」という手法が通用せず、さらに公開後も投資家の目も向かない中で、ずるずると株価を下げているものが数多く見られます。そうした直近IPO銘柄は、公開価格から半値近くまで下落している状況の中で、かえって見直し余地があると考えられます。
特に今回の相場急落局面においてIPOした銘柄は、初値をつけた後に業績面や成長期待など考えて買いが入るタイミングさえもなく、ずるずると下落する状況が目立ちました。当然、投資家の関心も集まりづらく、投資対象外と見なされていました。
IPOしたばかりの銘柄は、既存銘柄のように多くの売買を繰り返された訳ではないため、そのほとんどが単純な換金売りによって株価が形成されています。俗に言う“シコリ”がない状態です。そのため換金売りが一巡すると、速い段階で需給が改善し、株価上昇が期待できます。
今回の銘柄選定では、3月以降に新規上場したIPO銘柄から、中長期的に仕込んでおきたい銘柄をピックアップしました。具体的には、新型コロナウイルスの影響を相対的に受けづらい事業内容であることに加え、IPOを発表した時点で市場の評価が高く、投資家に人気のあった銘柄を選びました。
【Kids Smile Holdings(7084)】
認可保育所の運営や幼児教育に関する事業を展開
Kids Smile Holdings(7084)は、東京都、神奈川県、愛知県で、認可保育所や認可外保育施設の運営、さらに幼児教育に関する事業を展開しています。3月4日に上場し、初値は公開価格(2260円)を20.88%上回る2732円でしたが、3月19日時点で1788円まで急落しています。
【※Kids Smile HoldingsのIPO情報や事業内容などの詳細はこちら!】
⇒「Kids Smile Holdings(キッズスマイルホールディングス)」のIPO情報総まとめ!
⇒Kids Smile Holdings(7084)の最新の株価はこちら!
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【フォーラムエンジニアリング(7088)】
機電系エンジニアの派遣やエンジニア紹介などのサービスを提供
フォーラムエンジニアリング(7088)は、機電系エンジニアの派遣を行う企業で、2020年1月1日時点で1429事業所に4352名の技術社員を派遣しているほか、エンジニア紹介などのサービスを提供しています。3月9日に上場し、初値は公開価格(1310円)を21.37%下回る1030円。3月19日時点で651円まで急落しています。
【※フォーラムエンジニアリングのIPO情報や事業内容などの詳細はこちら!】
⇒「フォーラムエンジニアリング」のIPO情報総まとめ!
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【ビザスク(4490)】
多様なバックグラウンドを持つアドバイザーを顧客に紹介
ビザスク(4490)は、ビジネス分野に特化したナレッジ・シェアリング・プラットフォームの運営。現役世代からフリーランス・企業OBなど多様なバックグラウンドを持つアドバイザーを顧客にマッチングします。3月10日に上場し、初値は公開価格(1500円)を12.67%下回る1310円。3月13日には、一時1121円まで下げる局面がありました。
【※ビザスクのIPO情報や事業内容などの詳細はこちら!】
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【コンピューターマネージメント(4491)】
西日本を中心とした製造業向けを主力とした独立系SIベンダー
コンピューターマネージメント(4491)は、西日本を中心とした製造業向けを主力とした独立系SIベンダーです。こちらはIPO前から人気が高く、3月11日に上場した際の初値は公開価格(2750円)を58.55%上回る4360円でしたが、その後急落。3月19日時点で2448円まで下がっています。
【※コンピューターマネージメントのIPO情報や事業内容などの詳細はこちら!】
⇒「コンピューターマネージメント」のIPO情報総まとめ!
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【ミアヘルサ(7688)】
調剤薬局が主力であり、保育園や介護サービスも手掛ける
ミアヘルサ(7688)は、調剤薬局が主力であり、保育園や介護サービスも手掛けています。3月17日に上場し、初値は公開価格(2330円)を24.98%上回る1748円でしたが、3月18日時点で1300円まで急落しています。
【※ミアヘルサのIPO情報や事業内容などの詳細はこちら!】
⇒「ミアヘルサ」のIPO情報総まとめ!
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今回は3月以降に新規上場した「直近IPO銘柄」をピックアップしましたが、今後IPOする銘柄についても初値公募割れが警戒されます。特にマーケット全体の環境悪化により、早めに現金化する動きが影響していると考えられます。
そうした状況もあり、今後はIPOする会社側が公開価格を割安に抑えてくることも考えられますので、さらに下落する局面においては、より割安感が意識されやすいでしょう。
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