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いったんは新型コロナウイルスへの警戒感が和らぐ局面も見られた株式市場でしたが、足元では再び不安定な値動きとなっています。今後、感染者数がピークアウトしたタイミングで、ヘッジファンドなどが押し目買いの好機と見て、買いポジションを積み上げてくる可能性はありますが、一方で新型コロナウイルスの企業業績への影響が顕在化してきたことが警戒されます。
2月17日に内閣府から発表された10~12月期の国内総生産(GDP)速報値では、実質GDPが季節調整値で前期比1.6%減、年率換算で6.3%減でした。コンセンサスが年率で3.9%減だったので、予想以上の悪化と言えます。新型コロナウイルスの経済への影響が警戒されている中、日本経済が5四半期ぶりのマイナス成長に沈んだことで、さらなる景気悪化が不安視されています。
また、米国のアップル(AAPL)が1~3月期の売上高目標を達成できないとの見通しを示したことも、警戒感を高める一因になりました。さらに、中国進出している企業の生産活動が長期にわたって全面的に停止するリスクは低いと考えますが、サプライチェーンなどは、これから影響が表面化してくることが考えられます。
日経平均株価をけん引してきたハイテク株は利益確定の流れ!
「マスク」や「検査薬」以外の新型コロナ関連銘柄に脚光
先週は決算発表シーズンを通過しましたが、通期計画の下方修正が目立ったものの、新型コロナウイルスの影響を織り込めていない企業が少なくありませんでした。アップルの報道をきっかけに、今後、通期計画および来期見込みの下方修正を出してくる企業が増加する可能性もあります。目先的には、そうした下方修正に備えた相場になるでしょう。
これまで日経平均株価をけん引してきた「5G」関連などのハイテク株は、利益確定の流れに向かいやすくなると思います。一方で、「マスク」「検査薬」などの直接的な「新型コロナウイルス」関連銘柄では、値幅取りの短期的な売買が続きそうですが、連日の急伸で過熱感が警戒されているため資金の逃げ足も速いでしょう。
そうした状況の中で、新型コロナウイルスの感染拡大によって需要が見込まれる新たな関連銘柄に物色が広がっています。
例えば、このところ企業では、通勤ラッシュや人混みでの感染を防ぐため「テレワーク」の導入に向けた取組みが増えています。そのため、株式市場でも「テレワーク」に関連する銘柄が強い値動きをみせています。
【※「テレワーク」関連銘柄についての詳細はこちら!】
⇒「テレワーク」の関連銘柄を紹介! 東京オリンピック期間の混雑緩和策、新型コロナウイルスの感染予防策として注目される「テレワーク」関連のおすすめ5銘柄
政府が不要な外出を控えるよう要請している中、
注目が集まる「巣ごもり消費」関連銘柄をピックアップ!
新型インフルエンザの感染拡大を防ぐため、政府が不要な外出を控えるように要請していることもあり、東京マラソンで一般参加が中止になるなど多くのイベントが中止に追い込まれています。そういった状況を踏まえ、今回は「巣ごもり消費」に関連する銘柄に注目しました。
「巣ごもり消費」とは、旅行や外食、実店舗での買い物といった「外出をともなう消費」に対して、ゲームやケータリングサービス、ネットショッピングといった「自宅の中で楽しむための消費」のことを指し、リーマンショック後の2009年頃から一般的に広まってきた言葉です。具体的には、「ゲーム」「動画配信サービス」「マンガ配信サービス」「ケータリング・デリバリー」「ネットショッピング」などの、自宅で楽しむ娯楽やサービスが該当します。
それらの中から、特に「ゲーム」「マンガ」の関連銘柄をピックアップしました。2020年1月に「イマドキ男子の実態調査 -大学生の男女比較-」という意識調査の結果が発表されましたが、その中の男子が「お金をかけていること」という質問に対して、1位「旅行」、2位「漫画・アニメ」、3位「TVゲーム・スマホゲーム」という回答が上位に入りました。そこから、「巣ごもり消費」関連として、ゲーム株やマンガ株に関心が集まりやすいと考えました。
具体的な銘柄としては、足元の決算が良好だったゲーム株やマンガ株を挙げています。
【ネクソン(3659)】
中国市場向けゲーム「アラド戦記」が3月にアップデート予定
ネクソン(3659)は、2019年12月期の決算が、売上収益で2485億円(前年同期比2.0%減)、営業利益で945億円(同3.9%減)、税引前利益で1219億円(同3.9%増)、最終利益で1156億円(同7.4%増)と好調でした。また、10~12月期においては、売上収益が前年同期比6.9%増の492億円、営業利益が同15.6%増の45億円となりました。韓国市場において、ゲーム「メイプルストーリー」と「FIFA ONLINE 4」が好調だったこと加え、新作のモバイルMMORPG「V4」が想定を上回る結果を出したことが増収につながりました。さらに、中国市場向けの主力タイトル「アラド戦記」が、足元でユーザー数が低下しているものの、2020年3月に大型アップデートを実施する予定のためユーザー数の回復が期待できます。
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【エクストリーム(6033)】
「ラングリッサー」のロイヤルティ収益が堅調に推移
エクストリーム(6033)の第3四半期決算は、売上高が53億4300万円(前年同期比19.8%増)、営業利益が11億1100万円(同113.1%増)、経常利益が10億1100万円(同132.7%増)、四半期利益が7億4700万円(同191.0%増)でした。中国で配信開始したスマホ用ゲームアプリ「ラングリッサー」のロイヤルティ収益が堅調だったことが主因です。さらに、2020年3月通期の業績予想が、売上高を従来の70億2000万円から70億9700万円、営業利益を10億5000万円から13億6300万円に上方修正しています。
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【ビーグリー(3981)】
コミック配信サービス「まんが王国」が好調
ビーグリー(3981)の2019年12月期の決算は、売上高が104億0100万円(前期比13.2%増)、営業利益が8億1700万円(同58.1%増)、経常利益が8億1200万円(同63.8%増)、最終利益が4億9600万円(同90.4%増)と大幅増益となりました。事業としては、主力のコミック配信サービス「まんが王国」が好調。また、オリジナルコンテンツの配信や独占先行配信作品を含んだオリジナルレーベルの配信などコンテンツを拡充しており、基本無料で読める作品数は1100作品、3万話以上に拡大しています。
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【KADOKAWA(9468)】
北米、中国を中心としたアニメが好調!
KADOKAWA(9468)は、第3四半期決算が売上高で1501億7700万円(前年同期比1.3%減)、営業利益で84億6000万円(同165.7%増)、経常利益で91億9100万円(同110.3%増)、四半期利益で78億8200万円(前年同期は最終赤字) となりました。そのうち、映像・ゲーム事業の売上高は349億22百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は38億94百万円(同54.6%増)でした。映像事業は、北米、中国を中心としてアニメ「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」「オーバーロード3」「盾の勇者の成り上がり」などの海外権利許諾による収入が好調に推移。ゲーム事業は、「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」が、国内外共に好調でした。
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【サイバーエージェント(4751)】
Cygamesの新作タイトルなど好調、新作リリース控える
サイバーエージェント(4751)の第1四半期決算は、売上高が1156億8100万円(前年同期比4.4%増)、営業利益が77億3200万円(同44.6%増)、経常利益が77億2400万円(同49.5%増)、四半期利益が14億5600万円(同58.9%増)でした。そのうち、ゲーム事業の売上高は352億5100万円(同3.1%減)、営業利益が51億1800万円(同60.3%増)でした。グループ会社であるCygamesの新作タイトル「ワールドフリッパー」と、同じくアプリボットの「ブレイドエクスロード」が利益に貢献。2月に入り、「グランブルーファンタジー ヴァーサス」をリリースしたほか、今後も「この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ」や「キックフライト」など、新作ゲームのリリースを控えています。
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なお、ゲーム大手のスクウェア・エニックス(9684)は、第3四半期の営業利益が124.3%増の277億円と好調でしたが、外出して楽しむゲーム「ドラゴンクエストウォーク」の印象が強いため、今回の対象から外しました。コロプラ(3668)についても、第1四半期決算が好調でしたが、同じく「ドラゴンクエストウォーク」の寄与が大きいため対象外としました。また、セガサミーホールディングス(6460)の決算も好調でしたが、パチスロ・パチンコなどの遊技機事業の収益が要因なので、こちらも外しています。
新型コロナウイルスに関して依然として収束の見通しが立たない状況の中、相場の物色は次第に広がりを見せています。外出規制によって需要が見込まれる「巣ごもり消費」の関連銘柄を探る動きは、今後も要注目です。
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