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日本時間3月16日の朝6時に、FRBが1.0%の緊急利下げを発表!
さらに合計7000億ドルの量的緩和政策も実施へ
米国時間3月15日(日曜日)の17時(日本時間3月16日の朝6時)、連邦準備制度理事会(FRB)が再び緊急利下げを発表しました。今回の利下げ幅は1.0%で、新しいフェデラルファンズ・レートのターゲット(米国の政策金利)は0〜0.25%になります。
これに加え、FRBは7000億ドルの量的緩和政策を行います。内訳は、財務省証券を5000億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を2000億ドル購入します。
なお、3月18日(水)に予定されていた連邦公開市場委員会(FOMC)は、今日の繰上発表で代えることになります。今回、経済予想サマリー(SEP)は発表されないとのことです。
FOMCメンバーは先週、米国債のマーケットがギクシャクした動きになったことを憂慮し、急遽発表を繰り上げる決断をしたそうです。投票の内訳は、賛成9、反対1(ロレッタ・メスターはFFレート0.5〜0.75%を主張)でした。
なお、今回の声明文には、インプリメンテーション・ノート(実行指示書)としてFRBがディスカウント・ウインドウを開設しており、銀行は必要に応じて0.25%の金利で直接FRBからお金を借りることができることがリマインドされました。
またFRBは、オーバーナイトよりももっと短い時間である日中(イントラデー)の一時資金の貸借にも積極的に応じると述べました。
これらの一連の措置は、金融システムがフリーズしないようにするためのものです。
米国株式は高値から−20%以上下落して「ベアマーケット」入りしたが、
必ずしも「リセッション(景気後退)」を招くとは限らない
米国株式市場は先週も続落し、2月19日の高値から一時-20%以上の下げ幅となり、ウォール街のベアマーケット(弱気相場)の条件を満たしました。
年初来のS&P500指数の下落率は、3月13日(金)時点で-16.8%です。
S&P500指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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第二次世界大戦以降、米国ではS&P500指数が-20%以上の調整をするベアマーケットを11回経験しました。下落期間は短くて2.1か月、長くて20.7か月でした。今回はとても速いスピードで株価が下落しており、わずか16日でベアマーケット入りが達成されてしまったのです。
過去のベアマーケットの調整幅は小さいもので-21.63%、大きいもので-51.93%でした。今回は瞬間風速で-27%の調整でした。その意味では、今後もう少しダウンサイドがあってもおかしくありません。
一方、ベアマーケットがリセッション(=景気後退)をともなう確率は63%であり、ベアマーケットになったからといって必ずリセッションが襲うというわけではないことがわかります。
2008年の「リーマンショック」のときは、
「流動性リスク」「信用リスク」「市場リスク」の3つが複合的に増大
前回、アメリカが景気後退に見舞われたのは、今から12年前のリーマンショックのときでした。あのときは、折からの住宅ブームを背景に住宅ローンの融資基準が大幅に緩み、誰でもローンを組める状況となりました。
ローン返済能力が危ぶまれるような信用力の低い借り手でも「どうせ住宅は転売するのだからローンが返せなくても大丈夫!」という判断から、どんどん融資が実行されました。しかし、住宅価格が下落に転じると、これらの借り手はローンも返せず、かといって住宅を転売しようにも買い手がないという状態になり破産しました。
ローンが返せない人が続出した結果、住宅ローンを証券化した住宅ローン担保証券も急落し、それらの在庫をたくさん抱えていたベアスターンズやリーマンブラザーズが経営危機に陥りました。
あの当時は、債券市場での価格下落(=市場リスク)が金融機関の倒産リスク(=信用リスク)となり、最後には取引停止リスク(=流動性リスク)へと伝染しました。
このように異質なリスクが折り重なり、複合化することで、金融システム全体が崩壊しかねない状況になることを「システミック・リスク」と言います。
新型コロナウイルスに端を発する今回の市場急落局面でも、一時的にニューヨーク証券取引所にサーキットブレーカーが発動されたり、本来流動性が高いはずの財務省証券の取引が成立しにくくなったりなどの流動性リスクが発生しました。しかし、これまでのところ、それが金融機関の経営危機などには発展していません。つまり、上の図の信用リスクは未だ表面化していないのです。
もちろん、先週までにあれほど荒々しく様々な資産の価格が乱高下したので、逆を突かれたヘッジファンドなどの中には今経営危機に瀕しているところが存在するかも知れません。それが表面化するのは、時間の問題だと考えることもできるでしょう。
ただ、金融サービス・セクター全体として見れば、今回はリーマンショックのときのように「足元をすくわれた」印象はありません。なぜなら、リーマンショック以降、ドッドフランク法などにより投資銀行やメガバンクはトレーディングを抑え込み、レバレッジを落としてきたからです。
もし懸念材料があるとすれば、それは事業会社の借り入れだと思います。
近年、米国の事業会社は、自社株の買戻しや買収のために負債比率を高めて来ました。特に、高利回り債で最も大きな割合を占めている資源関連企業、もっと言えば、シェール企業の借り入れは不健全であり、最近の原油価格の下落で一部の企業はリスクに晒されていると思います。
このまま「信用リスク」が噴出しないのであれば、
1年後を見据えて「買い出動」すべき!
話をまとめると、今回の米国株式の下落率は-20%を超えたので、すでにベアマーケット入りが確定しました。しかし、ベアマーケットが景気後退を招く確率は63%に過ぎず、リセッションを回避できる可能性も未だ残っています。
今回は、ドッドフランク法などの金融機関に対する監視強化の影響で、これまでのところ市場の乱高下が投資銀行やメガバンクの信用不安には発展していません。唯一不安があるとすれば、近年借り入れを増やしてきた事業会社、とりわけシェール企業でしょう。
もし信用リスクが噴出しないのであれば、株価のダウンサイドは限定的だと思います。したがって、1年後を見据えて買い出動すべきだと思います。
具体的な銘柄のアイデアとしては、新型コロナウイルスで家に籠る人が増えているので生鮮食料品の宅配のビジネスが注目されています。この分野でのリーダー企業は、ウォルマート(ティッカーシンボル:WMT)で、圧倒的なシェアを誇っています。
ウォルマート(WMT)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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次にウエットティッシュを作っているクロラックス(ティッカーシンボル:CLX)も新型コロナウイルスで需要が増えています。
クロラックス(CLX)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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また、非常事態に備えて缶スープを買い込むアメリカ人が多いので、キャンベルスープ(ティッカーシンボル:CPB)も注目です。
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