日経平均株価は米・大統領選挙やドイツ銀行問題など海外の大きなイベントが目白押しの10月下旬~11月中旬にどう動くのか? 日経平均株価の値動きを、SBI証券、楽天証券、カブドットコム証券、松井証券のネット証券4社のエースアナリストがファンダメンタルズの面からズバリ予測!
米・大統領選挙やドイツ銀行の経営不安などの海外の大きなイベントのほか、国内企業の中間決算の発表もあり、どちらにしても日経平均株価が大きく動く可能性も高そうだが、その行方は
海外では米・大統領選挙、国内では中間決算の発表など
国内外のイベントラッシュで日経平均株価は今年最大のヤマ場に!
ひょっとすると、ダイヤモンドZAi(12月号)の発売日、10月21日前後に“Dショック”の再燃で株価が大きく動くかもしれない。というのも、10月20日にECB理事会とEU首脳会議が開催されるからだ。カブドットコム証券の河合達憲さんはこう警告する。
「“Dショック”とは、ドイツ銀行の経営不安。同行は住宅担保ローンの不正販売を巡り、米・司法省から140億ドルの支払いを求められている。これは同行の時価総額よりも大きい金額で、今後の動きには要注意です」
【カブドットコム証券・河合達憲さんの予測】 まず念頭に置きたいのは、日本株の年間アノマリー。過去30年間の日経平均の推移を検証すると、「5月高値・10月安値」というパターンが多い。あくまで確率論だが10月に買うのが年間で最高の勝率だ。 もう1つの注目点は、10月下旬から始まる中間決算の発表。大型ハイテク株の決算を消化する度に、相場は上向き基調となるだろう。第1四半期決算発表では多くのハイテク企業が想定為替レートを一気に円高へと変更し、通期予想の下方修正が相次いだ。“膿”を出し切っているので、中間決算でさらに下ブレする可能性は低い。 |
10月20日のECB理事会とEU首脳会議を無事に通過できれば、次に待つのは国内の上場企業の中間決算の発表だ。
河合さんは「第1四半期で円高は織り込み済み」と楽観的なのに対し、SBI証券の鈴木英之さんは「円高に伴う業績予想の下方修正増加が警戒される」と考えているようだ。
【SBI証券・鈴木英之さんの予測】 10月下旬は16年度上半期の決算発表がスタートする時期。円高を背景に業績予想の下方修正増加が警戒されるだけに、株価は弱含みとなりそう。また、米大統領選挙に向けて下落圧力が強まる可能性大。クリントン氏当選の場合、日経平均の予想PERは13.5倍(1万6000円程度)を下限と予想するが、トランプ氏なら一時的に13.0倍(1万5300円程度)と見る。原油価格の安定や中国経済の回復など明るい材料も出てきており、決算発表がピークを超え、米大統領選を「無事」通過できれば、11月中旬頃は堅調な相場になりそうだ。 |
鈴木さんと同じように「現状の株価水準は足元の為替などに対して割高」と判断するのが松井証券の窪田朋一郎さん。株価が割高になっている要因は日銀の金融緩和政策によるもので、この金融緩和政策の継続性と年間6兆円ものETFの買い入れが株価を下支えすると窪田さんは見る。
【松井証券・窪田朋一郎さんの予測】 日本経済は内需が低調に推移するほか、外需も円高や世界経済の不透明感から伸び悩んでいる。現状の株価水準は足元の為替レート等からすると割高だ。 しかしながら実際の株価は、ファンダメンタルズではなく中央銀行の金融政策に左右される展開が続いている。日本においては、日銀が9月に長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入したが、金融政策のターゲットが国債買い入れの量から金利にシフトしたことから、政策の継続性は高まったと言え、ETFの年間6兆円の買い入れとともに株価を下支えする効果は続くだろう。 |
しかし、10月下旬~11月中旬は「国内の金融政策よりも海外の材料のほうが株価の主導権を握る」と楽天証券の土信田雅之さんは語る。「11月1~2日のFOMC(連邦公開市場委員会)や11月8日の大統領選挙を通過すれば、米国ではある程度の方向性が見えてくる」と、具体的にはFOMCと米・大統領選挙をポイントに挙げた。
【楽天証券・土信田雅之さんの予測】 国内企業の決算とマクロ環境との「両にらみ」の展開。相場のムードは引き続きマクロ環境に左右されるが、前回の日銀決定会合の結果を受けた株式市場の反応が示すとおり、国内発の政策期待はあまり高くなく、海外の材料が主導権を握る。細かい悲観と楽観を繰り返す中、業績動向を背景に「買える株」が個別物色される構図がメインシナリオとなるだろう。 米国では11月のFOMCや大統領選を通過し、ある程度の方向性が見えてくる。アク抜け感が出れば上値トライもあるが、売買高低迷のままだと上値も追いにくい。 |
大きなイベントが相次いで開催される10月下旬~11月上旬は、日経平均株価にとって今年最大のヤマ場となりそうだ。
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