<9450> ファイバーゲート 667 +2
2021年2,500円を上回る株価から、足もとで665円まで調整しているファイバーゲート<9450>の株価は、反転上昇の時期を迎えつつある。配当利回りも4%となっており、高いインカムゲインを得ながら、その時期を待つことができる。再成長が時価総額に反映されれば、現状137億円の時価総額は300~450億円程度まで上昇する可能性もある。
前期は売上高で前期比3.6%の増収、同18.0%の減益、初めて利益が減益となった状況に対して、今期2026年6月期は売上高で前期比7.5%増の14,050百万円、営業利益で同2.1%増の2,000百万円と利益面で反転が予想されている。11月14日に発表された第1四半期決算は、売上高で前年同期比13.2%増の3,456百万円、営業利益で同11.1%減の412百万円となっている。ホームユース事業は売上高で前年同期比4.1%増の2,752百万円、営業利益で同11.6%減の591百万円、ビジネスユース事業は売上高で同4.1%減の389百万円、営業利益で同13.3%増の82百万円、不動産/再生エネルギー/他事業は売上高で同65.6倍の315百万円、営業損益で16百万円の赤字(前年同期は8百万円の赤字)である。ホームユース事業の採算低下は、ホームユース機器売切方式契約の本格化による契約初年度の損益悪化が原因。売切方式においてはその後の利益増もあり、契約期間累計損益では従来方式とそもそも差異がないものの(むしろストック売上高として積み上がっていくものの)、クロスセルやB2Cの推進、値上げなど付加価値引上げ策の加速・強化を推進する。ホームユース事業も、受注残積み上げが進展しており、下期に向けて売上が加速する見込み。非通信領域では、不動産で特に案件増は見込まないものの、再生エネルギー関連での貢献が想定されている。
2026年6月期は、「中期的に経常利益50億円を目指す」ことのできる体制を構築するための、仕掛けづくりの1年と位置付けられている。今後2年で取り組むべき2つの課題は、期間損益成長ピッチの回復、構内インフラ・インテグレーターとしての地歩固めとなる。前者は既述のクロスセルやB2Cの推進、値上げなど付加価値引上げ策の加速・強化に加え、AI活用による生産性向上、営業体制の再構築を進めた。後者は、従来ターゲットとしていなかった分譲マンション(持家共同住宅)もサービスの対象に加え、ホームユース事業のTAM規模を従来の1.5倍に拡大する。
経常利益50億円を達成した際、PER15倍で評価されれば、時価総額は450億円程度となる(現状137億円)。今後2030年にかけての利益CAGRが+25%強に加速し、それに応じて今期予想PERも20倍半ばまで上昇する場合、時価総額は300億円を上回る。
なお、ファイバーゲートは、マンション・アパート等の賃貸物件オーナー向けに全戸一括で入居者が「インターネット無料使い放題」となるインターネット接続サービスを提供するホームユース事業、観光施設や各種店舗・商店街、商業施設の施設運営者向けにフリーWi-Fiサービス「Wi-Fi Nex」を提供するビジネスユース事業を展開するほか、新規領域として再生可能エネルギー・不動産事業を展開している。
マンション・アパートのオーナーが入居者に無料で利用できるインターネット設備を有することで、保有賃貸物件の機能強化を図ることができ、主に単身者向け物件における入居促進や退去防止のための有効なサービスと認知されている。また、観光施設や各種店舗・商店街、商業施設の施設運営者向けに提供することで、通信機器開発からWi-Fi環境の構築、運用、顧客サポートまで一貫してサービスを提供できるノウハウを有する垂直統合型のビジネスモデルを構築している。ネットワーク整備を求める潜在顧客数が圧倒的な中堅・中小規模法人をターゲットとしており、規模的に大手が手をつけにくいところをカバーする。
同社のホームユース事業は、MM総研による全戸一括型マンションISPシェア調査の直近シェアで9.3%に相当、シェアランキングで前年の3位から2位に浮上した。また、ホームユース事業・ビジネスユース事業の2つの事業を実施している上場企業はおらず、企業全体で見たときの競合は存在しない。直近は、主力のホームユース事業で監視カメラ、スマートコールや宅配BOX、FGTVなどの製品をクロスセルで販売しており、この施策も好調に推移している。
今後、ホームユース事業では特定販路に依存しない多様かつ強力なパートナー企業の開拓と対応する営業人員の強化、IoT等クロスセル商材による利益の底上げによって2026年6月期に契約戸数(累計)74万戸超(25年6月期68万戸)を掲げる。また、ビジネスユース事業では病室向け、介護DX、観光、イベントの需要が強いようで、要となる営業強化とニーズに応えるための専門性を高める。さらに、非通信インフラ(再エネ・不動産)事業については、第3の柱としてホームユース事業、ビジネスユース事業と共通の顧客基盤にて事業を展開していく。再エネは通信サービスの既存販路との親和性が高く、通信サービスと再エネ(電気)サービス同士のクロスセルも見込んでいる。
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