米国次期大統領のドナルド・トランプ氏の経済政策である、「トランプノミクス(trumpnomics)」または「トラポノミクス(trumponomics)」を背景に、米国では「株式買い+債券売り」の「トランプ・ラリー」が発生し、足元でも継続しています。
実際、11月14日のNYダウは6日続伸し、前週末比21.03ドル高の1万8868.69ドルと、3日連続で過去最高値を更新しました。
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また、米10年物国債利回りが11月14日早朝の時間外取引では2.30%と、2015年12月31日以来ほぼ11カ月ぶりの高水準を付けました。トランプ氏が掲げる大規模減税とインフラ投資で米財政支出が拡大し、米国債が増発されるとの懸念から、米国債が売られて利回りが上昇しているのです。
米国株式市場は、「金融株」「建設株」「製薬株」が上昇
為替も5カ月ぶりの円安ドル高水準に!
米国株式市場を見ると、物色面では、トランプ氏は2010年成立した資本規制などを定めた「ドッド・フランク法(金融規制改革法)」を見直すとしていることに加え、長期金利の上昇・利ザヤ拡大での収益拡大期待から、金融関連が上昇しています。
また、トランプ氏は「就任100日行動計画」で米国内の交通や発電などインフラ分野での1兆ドル投資などを掲げています。この大規模、且つ、積極的なインフラ投資の恩恵を受ける、キャタピラー(CAT)のような建機株も強い動きを続けています。
さらに、大統領選で敗北したクリントン氏が提唱していた薬価の引き下げ圧力が緩和することへの期待から、製薬関連にも買い戻されています。
一方、米長期金利上昇を主因に、11月14日のNY外国為替市場では、円相場は6日続落し、3連休前の10日終値比1円60銭円安・ドル高の1ドル=108円35~45銭でした。一時は108円54銭と、6月3日以来ほぼ5カ月ぶりの円安水準を付けました。
日本の株式市場も堅調に推移する中
三菱UFJFGや三井住友FGなどのメガバンクが大人気!
このような米国株式市場、米国債券市場、外国為替市場の動向を受け、足元の日経平均株価も非常に強い動きを続けています。
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東京株式市場での「トランプ・ラリー」のリーディング・ストックはこれまでのところ、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)(8306)とみています。なお、MUFGに関しては、MUFGユニオン・バンクを傘下に持ち、モルガン・スタンレーを持分法関連会社としているため、一部外資系証券が11月11日付けレポートで、「トランプ氏勝利はMUFGに最も恩恵」としています。
確かに、MUFGが11月14日発表した2016年4~9月期の連結決算では、日銀のマイナス金利政策の影響で、純利益は前年同期比18%減の4905億円でした。金利低下の影響で国内の融資業務で利ざやが縮小した上に、円高の影響で米モルガン・スタンレーの収益が目減りした結果です。
しかしながら、米国債利回り上昇に連れ高する格好で、足元で日本国債も売られて利回りが上昇基調に転じている上、為替市場では急激にドル高・円安に振れています。つまり事業環境が改善傾向を示しています。さらにMUFGは、11月14日、1000億円を上限(発行済み株式の1.69%に当たる2億3000万株を上限)に自社株買いを発表しました。
これを受け、11月15日前場のMUFGの株価は前日比26.7円(4.33%)高の643.7円と、4日続伸しました。また、前場の東証1部の売買代金ランキングでは第2位に膨らんでいます。
ちなみに、第3位は三井住友フィナンシャルG(8316)、第4位はみずほフィナンシャルG(8411)です。このように、メガバンクが大人気です。
メガバンクは長期スタンスの個人投資家が多く保有し、人気の高いセクターです。これまではマイナス金利の影響で人気圏外に放置されていましたが、ここにきて株価が持ち直してきたことで、短期売買を好むアクティブ個人ではなく、長期スタンスで株式を保有する多くの個人投資家の手の内、マインドの大幅な改善が見込めます。
また、11月14日の日経平均株価は2月2日以来の高値となり、強い動きを続けています。つまりメガバンクのみならず、主力の輸出関連株などの「時価総額上位のど真ん中の大型株」を買っている投資家の手の内が順調に改善しているようです。
東証マザーズ市場が復活するかどうかは
そーせいグループが試金石に
しかしながら、11月14日取引終了後の市場関係者へのヒアリングベースでは、信用取引を積極的に活用し、小型株中心に売り買いするアクティブ個人の多くの手の内の改善は遅々として進んでいないようです。
確かに、資金力に余裕があり、「トランプショック」以降の日経平均株価上昇局面で新規資金を投入できた一部の金持ち個人投資家や、10月の早い段階で小型株を見切って損切りし、大型株に乗り換えることを実行した一部のアクティブ個人も、そこそこいるそうです。ですが、現時点では「保有する小型株の評価損に苦しみ、動くに動けない状況に陥っている、アクティブ個人の方が人数的には多い」とのことです。
ですが、15日前場のそーせいグループ(4565)は、前日比880円(6.15%)高の1万5180円でした。
11月14日発表の17年3月期第2四半期決算では、売上収益が前第2四半期連結累計期間に比べ132.98億円増加し、158.39億円となりました。これは、子会社であるHeptares社のパイプライン(開発品群)を他社に供与したことで入ってきた一時金、及びマイルストーン収入(開発過程で一定の成果が出るたびに支払われる収入)が大きく寄与しています。
また、四半期損益は、前第2四半期連結累計期間に比べ117.68億円増加し、105.92億円の利益でした。連結業績予想については、5月13日の公表予想から変更しませんでした。このように決算を無事に通過したことで、買いが入っています。
また、同社の年初来高値は5月9日の2万6180円です。信用取引の高値絶対期日の11月9日を通過したことも、需給面での買い材料になっていることでしょう。ちなみに、直近安値は11月9日の1万2510円です。
私は、そーせいグループ株が底打ちしリバウンド色を本格化させるようなら、東証マザーズ市場全体のムードが劇的に改善し、それは小型株全体に波及するとみています。そして、その実現確度は高いと考えています。
つまり、保有する小型株の評価損に苦しんでいるアクティブ個人の手の内の改善が十分見込める状況になったと同時に、これまで小型株投資を見送っていた個人にとっても「仕込みタイミング」に入ったと認識しています。先行した大型株のみならず、出遅れている小型株のクリスマス&年末ラリーの発生が期待できる投資環境になったということです。
ただし、日経平均株価の週末終値が26週移動平均線(11月14日現在16545.13円)を割り込んだら、現時点でのシナリオは白紙撤回します。そのケースでは、日本株から撤収するべきだと思いますが、その確度は非常に低く、いわゆる「テールリスク」と考えています。
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