新興銘柄への投資で成功するコツを、新興市場日本株ファンドを運用するスゴ腕ファンドマネジャーが伝授!
ダイヤモンド・ザイ6月号では、特集「5年で2倍上昇の成績を叩き出す! 最強投信に学ぶ 日本株入門」を掲載。この特集では、好成績で人気の投資信託を運用するファンドマネジャーに、「高配当株」「割安株」「成長株」「新興市場&IPO株」「低位株」という5ジャンルの日本株で、きっちり勝つためのコツを聞いている。
今回は、その中の「新興市場&IPO」部門を抜粋して紹介。教えてくれたのは、「DIAM新興市場日本株ファンド」のファンドマネジャーである、アセットマネジメントOneの岩谷渉平さん。玉石混交のイメージも強い新興市場&IPOの中から、大幅上昇が期待できる銘柄の選び方を学ぼう!
多くのIPOが最初に上場する新興市場
「ジャスダック」と「マザーズ」の特徴とは?
最近のIPO(新規の株式上場)を振り返ってみると、「JR九州(9142)」や郵政3社のような大型株が上場したのは、東証1部や2部だが、時価総額が小さく、これから成長する銘柄が新規に上場するのは、ジャスダックやマザーズといった新興市場が基本だ。
ジャスダックは時価増額が50億円以上、マザーズは時価総額が10億円以上など、上場基準が違う。マザーズは、もともと10年以内に東証1部にステップアップするための市場としてスタートした経緯もあり、上場後10年経ったら、東証1部や2部への市場変更を考えねばならない(マザーズで継続の場合も成長性の点などで条件あり)。このため、若い会社が多く、銘柄数も200銘柄強と少ないのが特徴だ。
一方で、ジャスダックは、新興銘柄が多いが、「日本マクドナルドホールディングス(2702)」など、上場から数十年経った古い銘柄も滞留しており、上場銘柄数も約750社と多い。
新興市場の銘柄は、東証1部や2部と比べて発行済株数が少ないため、大口の売りや買いに影響を受け、値動きが大きいのが特徴だ。まだ成長途上の会社には、景気の浮き沈みの影響を受けやすく、業績が不安定という特徴もある。
決算数値や割安度だけでなく、本当の成長性を見抜こう
そんな新興市場で銘柄を選ぶには、どんな点に気をつけるべきか。
「まずは社長の人となりを確認することが重要です。新聞や雑誌のインタビューで、経営者にどんな志があるか、誰の役に立つビジネスができるのか、といった点をチェックしましょう。志を抜きに、ウマい儲け話ばかり話している経営者の会社の成長は長く続きません」(アセットマネジメントOneの岩谷渉平さん)
まだ上場して間もない会社は、業績が外部環境の影響を大きく受けてしまったり、まれに上場のために決算を盛っている会社もあり、決算の数字だけでは真の成長性を見抜くのが困難だ。このため、社長の志がしっかりしているかが重要になる。
岩谷さんが新興市場で注目するのは、2タイプの銘柄だという。1つは、「社会や事業で困っていることや、思うようにならないことなどの課題を解決するビジネス」を展開する会社だ。
たとえば、「アイスタイル(3660)」は、子育て中などで、都心のデパートの化粧品売り場まで買いに行く時間がない女性たち向けに、ネットで美容化粧品を販売する「アットコスメ」を展開し、急成長した。
「こうした、生活をよりよく快適にする技術やサービスを持つ会社かどうかが、投資先を選定する一つの基準です。加えて、『ゼロから1を生み出すビジネス』にも注目しています」(岩谷さん)
ゼロから1を生み出すビジネスとは、たとえば、インターネットの発明や全く新しい薬や素材の開発など、人々がまだ課題として認識していないアイデアを新たに事業化してしまうケースだ。
新興市場の銘柄を選ぶ上で重要な3つのポイントとは?
上記をまとめると、岩谷さんが新興市場を選ぶ3つのポイントは、以下のとおりとなる。
【ポイント1】社会をよりよくするビジネスで、社長に志がある。
社長や経営陣に、「社会の課題を解決する」志があることが重要。生活をよりよく快適にする、技術やサービスを持つ会社かどうかが、投資先を選定する上でのポイントになる。
【ポイント2】業績はまだ不安定。実力以上に盛られた決算を鵜呑みにしない。
新規上場株には決算を盛って実力以上に見せる銘柄もまれにある。いい業績見通ししか言わない企業には注意。本当にいい経営者は、個人投資家に損をさせないよう正直に予想を出す。
【ポイント3】多くの投資家がまだ注目しておらず割安な水準であること!
多くの人がすでに注目している銘柄は、株価が実力以上に買われている可能性が高い。儲かっている人をうらやましいと思って買うと、損をしてしまうので注意しよう。
買うときにどこまで成長するかをイメージし、上昇するのを待つ!
ここからは、新興市場やIPO銘柄の売買のタイミングについて見ていこう。
人間に例えるなら、東証1部の大型株はすでに成長しきった大人で、新興市場の多くはこれから成長する子どもだ。今後の成長力は大きいが、子どもから大人になるまでには反抗期があったり、思春期で心が揺れ動いたり、不安定な時期もあるだろう。
そこで心がけたいのは、IPO株はいくら人気でも初心者は上場後すぐに買わないこと。若い会社は、まだ成長段階なので、景気に業績が左右されたり、事業投資にお金がかかるなど業績が不安定だ。また、上場のために決算を盛っている可能性もある。
「上場後2~3年経ち、期待が大きかった投資家も冷静になってきて、株価に割高感もなくなり、業績が順調に成長する見通しが出てきた時でも遅くはありません」(岩谷さん)
上は、スマホアプリを開発する「gumi(3903)」のチャート。最初から東証1部への上場だったが、上場後の決算で赤字予想を発表し、株価は初値(新規上場して最初についた値段)の4分の1の安値をつけた。上場から2年経った今期に、ようやく黒字転換の見込みとなっている。
「解消する社会の課題が大きいほど、成果が出て株価に反映されるまで時間がかかります。経営陣の志が真っ当で成長すると思ったら、株価が横ばいのときも保有し続けます。ある日、好決算が出るなど良い材料が出たら、注目を浴び、株価は大きく上昇するのです」(岩谷さん)
買ってはいけないのは、注目を浴びてすでに大きく上昇した株だ。みんながいいと思っている銘柄を買うと高値掴みになる可能性が高い。買うときにどれくらい成長しそうかをイメージしておくことも大切だ。
日経平均株価は横ばいでも、全銘柄のうち2割は株価が1年で2~3倍になっており、そのほとんどが新興市場銘柄。経営者の姿勢や業績の変化をチェックし、資産の一部で、そうした大化け期待株を探してみよう。
最強投信の上位組入銘柄から、注目の2銘柄を紹介!
新興市場の日本株を投資対象とする主要な投資信託の上位組入銘柄は、以下のとおり(※投資信託の組み入れ銘柄上位は2月末~3月末時点のもので、運用レポートから抜粋)。
このうち、特に注目したい2つの銘柄を、マーケットコメンテーターの岡村友哉さんに教えてもらった(※銘柄のデータは4月5日現在)。
まずは、先ほど解説してくれた岩谷さんが運用する「DIAM新興市場日本株ファンド」で、上位に組み入れられる「グレイステクノロジー(6541)」。製品マニュアルの作成が主力で、大型案件となったファナック向けの売上比率が高い。日本の製造系企業はマニュアルに予算をとっている。工作機械メーカー以外の大口受注を手にする可能性も高く、驚くような業績変化率が期待できる。
続いては、独自のAI技術で注目される「Gunosy(6047)」。四半期ごとに上方修正し続けており、現状の新興株では業績信頼度でトップクラス。「グノシー」の新規ダウンロード数、ユーザー継続率など会社想定を超過。独自のAI技術を使った広告配信システムが、ネット広告市場の進化に一役買う展望も。
【※関連記事はこちら!】
⇒IPOスケジュール一覧[2017年]
⇒大化けしそうな「成長株」からおすすめ2銘柄を紹介! 成長株ファンドを運用するプロが伝授する、長期的に成長する企業の見極め方と投資のコツとは?
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