ロシアのラブロフ外相は、9月22日に、米国と北朝鮮間の非難の応酬を「幼稚園児のけんか」と表現し、「誰も止められない幼稚園児同士のけんかのように感情的な方法ではなく、理性的な方法」を追求するとしました。
しかしながら、9月23日、トランプ大統領は、金正恩朝鮮労働党委員長を再び「小さなロケットマン」と呼んで揶揄し、「彼らは長くないだろう」とツイッターで呟きました。
これを受け、9月25日、北朝鮮の李容浩外相は、「トランプ氏は宣戦布告をした」とした上で、「北朝鮮は、今後、米国の戦略爆撃機が我が国の領空に入っていなくても、撃墜を含むあらゆる自衛的な対応を取る権利がある」と述べました。
このように、「幼稚園児のけんか」は続き、且つ、エスカレートしています。
このけんかに対して、株式市場は、一時ほど動揺しなくはなっています。なぜなら、米朝の非難の応酬は口だけであり、実際には両国の軍事衝突は回避されるというのが大方の見方だからです。また、何回も非難の応酬が繰り返されたため、投資家が慣れたということもあるでしょう。
ですが、非難の内容が過激化していることも事実です。つまり、全く無視してもよいリスクではない状況が続いているし、これからもそれが継続するのでしょう。このため、折に触れ、この問題は上値抑制要因として存在し続ける見通しです。
北朝鮮リスクが高まるにつれ
「軍事・防衛関連」の銘柄が人気に
市場が北朝鮮リスクを嫌気した場面で、上がるのは軍事・防衛関連です。
正直、この関連銘柄が上がる相場はロクな相場ではありません。なぜなら、上がるのは軍事・防衛関連だけで、他の多くの銘柄はリスク回避の結果として、売られるからです。
同関連のリーディングストックは、やはり、世界初の複合誘導型追尾上昇機雷である「91式機雷」を開発した、石川製作所(6208)です。同社の年初来安値は、1月4日大発会の658円です。これが北朝鮮リスクの高まりを背景に、9月25日には3130円まで上昇する場面がありました。
なお、同社に関しては、9月22日受付で、世界有数の資産運用会社であるブラックロック・ジャパンが大量保有報告書を提出しました。保有目的は、純投資(投資一任契約に基づく顧客の資産運用および投資信託約款に基づく資産運用目的)で、保有株数は34万2500株(保有割合5.36%)です。
もちろん、発煙筒・信号灯大手の細谷火工(4274)や、防毒マスク製造の重松製作所(7980)と興研(7963)なども古くから馴染みのある軍事・防衛関連銘柄で、石川製作所と同じように動きます。
さらに、北朝鮮は、核爆弾を上空で爆発させて強力な電磁波を生み出し、電力や通信を無力化させる「EMP(核電磁パルス)攻撃」が可能だと主張しています。このため、ここ最近では、電磁波や放射線を防ぐシールドを開発・提供する技研興業(9764)や、電磁波シールドシートの提案を強化する阿波製紙(3896)なども軍事・防衛関連として人気化しています。
ちなみに、この手の軍事・防衛関連が上がるときは、日経平均株価などの株価指数や、その他銘柄が下がることが多いため、短期的な値上がりを期待する投機目的だけではなく、自分自身のポジションのヘッジ(保険)として買っている投資家も多いようです。
【注目の軍事・防衛関連銘柄】※クリックでチャートへ
・石川製作所(6208)
・細谷火工(4274)
・重松製作所(7980)
・興研(7963)
・技研興業(9764)
・阿波製紙(3896)
衆議院の解散総選挙により
「幼児教育関連」に注目が集まる
一方、平和的な物色テーマは「幼児教育関連」です。
安倍首相は、9月28日召集の臨時国会冒頭に衆院を解散すると表明しました。そして、2019年10月に予定する消費増税の使い道を広げ、幼児教育の無償化など新たな看板政策「人づくり革命」に充てる意向を示し、衆院選で国民の信を問うと訴えたからです。
この発言を受け、東京株式市場では、「幼児教育」は国策関連の最大テーマに浮上しつつあります。
具体的には、まず、保育サービス事業を手掛ける東海染工(3577)。企業や病院などの企業内託児所を順調に拡大し、2018年3月期第1四半期の保育サービス事業の売上高は55.4億円(前年同期比15.5%増)でした。
次に、京進(4735)は、総合教育企業として培ったノウハウをつめこんだ保育園「HOPPA(ホッパ)」を運営しています。「HOPPA」は、これからの子どもたちに必要な国際力・知力・人間力を養うオリジナルのプログラムを導入した、総合教育企業・京進ならではの保育園です。
また、東京都認証の保育園の「ビーフェア」は、2001年から東京都の東京都認証を受けた保育園の運営を行っています。
そして、幼児活動研究会(2152)は、正課体育指導をはじめとする幼児体育指導関連事業と、コンサルティング関連事業を手掛けています。正課体育指導の実施会場数は全事業年度末の1053園から31園増加し、2018年3月期第1四半期末は1084園となりました。
さらには、ライクキッズネクスト(6065)は、「事業所内保育施設(企業・病院・大学等)」の運営を受託する「受託保育サービス」と、認可保育園である「にじいろ保育園」をはじめ、小学生以下を対象とした「学童クラブ」や「児童館」など、様々な形態の保育施設も運営する、「公的保育サービス」を展開しています。同社は、親会社のライク株式会社の連結子会社の総合人材サービス事業を営むライクスタッフィング株式会社との連携により、保育士の採用力と定着率の向上を図り、認可保育園・学童クラブなどの公的保育施設の開設と、事業所内保育施設の受託の強化と収益性の改善に注力しています。
また、JPホールディングス(2749)は、保育園をはじめ、学童クラブや児童館の運営を 手掛ける子育て支援事業のリーディングカンパニーです。
これらの銘柄群が、幼児教育関連の代表格です。
正直、この銘柄群の中で、長期的にみて、どれが一番いい銘柄なのかは私にはわかりません。しかしながら、短期的に言うと、テーマ株物色で最も重要なことは、人気の高い、値動きの良好なものに乗るということだと考えています。
その意味では、9月25日、26日前場の値動きでみる限り、東海染工、京進、幼児活動研究会が「幼児教育関連の御三家」と言えそうです。
【注目の幼児教育関連銘柄】※クリックでチャートへ
・東海染工(3577)
・京進(4735)
・幼児活動研究会(2152)
・ライクキッズネクスト(6065)
・JPホールディングス(2749)
日経平均株価は2万円の大台を回復したものの
新興・小型株は振るわない状況に
ところで、足元の日経平均株価は2万円の大台を回復し強い動きなっています。大型株中心に投資をしている多くの個人投資家はそれなりに儲かっているはずです。
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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しかしながら、日経平均株価が上昇しても、儲かっていない、相場に乗れていない、苦戦している知り合いは結構いるんですよね。彼らの多くは新興・小型株が大好きです。おそらく、日経平均株価が上げ止まるまでは、新興・小型株に順番は回ってこないでしょう。
それでも、目先的には、前述の「軍事・防衛関連」や「幼児教育関連」などのテーマ性のある小型株には資金流入が期待できるでしょう。
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