2020年夏までの日経平均株価の予測と、2019年秋以降の株式市場のリスク要因や想定されるシナリオを、ストラテジストやエコノミストなど、相場のプロが分析!
発売中のダイヤモンド・ザイ10月号の大特集は「【最強日本株】2019年・夏の陣」! 米中貿易摩擦の影響などで、日本株は波乱相場が続くと予想されるが、こんなときこそ「絶好の買い時」と見ているプロも多い。そこで、この特集では「2019年後半に儲けるための投資戦略」を紹介するほか、「10万円株」「5万円株」「高配当株」「大型株」「新興株」「10倍株」などのジャンルで、今後注目すべき銘柄を取り上げている。
今回はその中から、ストラテジストやエコノミストなどによる2020年夏までの株価予測や、相場の不安要因の分析を抜粋。投資をするうえでは、今後の相場にどんな不安要因があるのか、さらに相場の方向感なども、ある程度認識しておくことが重要だ。記事では、4人のプロに聞いた、今後の相場で考えられるシナリオを詳しく紹介するので、投資の参考にしてほしい!
世界景気の回復に伴って、日本株も上昇の可能性大!
最大の懸念材料「米中貿易摩擦」も一時休戦が近い⁉
2019年の日本株は冴えない展開が続いているが、この先は期待できる。「これから日本株は上昇局面になる」というのが、ストラテジストやエコノミストといったプロたちの見方だからだ。
今回、ダイヤモンド・ザイは、ウィズダムツリー・インベストメンツ相談役のイェスパー・コールさん、楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジストの窪田真之さん、野村證券エクイティ・マーケット・ストラテジストの若生寿一さん、第一生命経済研究所・主任エコノミストの藤代宏一さんの4人に取材している。彼らの「今後1年の高値予測」は、日経平均株価2万4000円が中央値。さらに、状況次第では昨年の高値を超え、2万5000円もありうる、との意見で一致している。
2018年の秋以降に日本株が不調になった最大の要因は、米中貿易摩擦だ。これにより世界の景気に対する不安が高まり、“世界景気敏感株”である日本株は大きく下落することになった。つまり、「日本株の今後を考えるうえでは世界の景気が重要」(若生さん)であり、米中貿易摩擦の行方がカギを握る。
2019年8月1日にトランプ大統領が「対中制裁第4弾」の発動を発表し、さらに同月5日に中国を「為替操作国」に認定すると、不安はいっそう高まり、株価も下落。しかし、米中は早晩“一時休戦”する、というのがメインシナリオだ。なぜなら、これ以上の貿易摩擦激化は、米中の景気にも悪影響を与え、両国自身の首を絞めることになるからだ。特に、トランプ大統領は来年の大統領選も意識せざるをえない。
「トランプ大統領は非常に現実的な人物であり、貿易摩擦をこれ以上エスカレートさせることは考えにくい」(コールさん)。
そして、「本来ならITやAI、5Gなどが生み出す新たな需要が牽引し、世界の景気はいいはずが、貿易摩擦で抑え込まれている状況です。米中がいったん休戦となれば、2020年の景気は自然に回復する。株価は約半年先行するので、その織り込みが2019年後半に始まるでしょう」(窪田さん)と、プロも指摘する。
回復の時期については、多少の見方の違いがあるが、早ければ2019年の秋、遅くとも2020年の春には、世界景気の回復と日本株の上昇が見込めそうだ。
企業の“稼ぐ力”の強さが株価の下支えになるため、
「安値でも2万円程度まで。下値の余地は小さい」とプロは予想
今後1年の日本株を見通すうえで、もう一つ気がかりなのが、10月に予定されている消費税の増税だ。これについては、「軽減税率」や「キャッシュレス払いでのポイント還元」などの対策が用意されていることもあり、前回(2014年の5%⇒8%への増税時)に比べれば、影響は軽いのではないかという見方が多い。
消費税の増税が景気と株価にとって、マイナス材料であることは間違いなく、「消費者の心理的な面での影響が大きく、想定より深刻になる恐れがある」(藤代さん)という意見もある。
ただ、相場への影響度としては世界景気の動向のほうがずっと大きいというのが、藤代さんも含めプロたちの共通見解だ。また、日本企業の“稼ぐ力”が格段に向上していることも、逆風への抵抗力になるという。
「為替次第のところはありますが、主要企業の経常利益は、バブル時を超えて過去最長の9期連続増益となる見通しです。“選択と集中”を進め、得意な分野に集中するなどの経営改革を進めてきた成果です。日本企業の稼ぐ力は強い。そこは自信を持っていいと思います」(若生さん)
もちろん、想定外の展開で、安値となるリスクはある。窪田さんと若生さんが予測する安値リスクは、米中貿易摩擦が激化して企業業績が悪化する場合で、「あるとすれば年内」との見方だ。一方、コールさんが警戒するのは、米大統領選で企業に厳しい政策を取ることが予想される民主党が優勢となるケースで、来年の夏が最も危ないとみる。藤代さんは先述のとおり消費税の増税の悪影響が想定以上の場合を懸念、2019年11月~2020年2月頃に株価が下落する可能性が高いとする。
もっとも、いずれにしても安値予測は約2万円、瞬間風速で2万円割れがありうるという程度で、下値の余地は小さいと言えそうだ。
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