先週末(9月13日)の日経平均株価は、9日続伸、前日比228.68円高の2万1988.29円と、終値ベースでは4月26日以来4カ月半ぶりの高値となり、令和入り後の最高値を付けました。その日は一時2万2019.66円まで上昇し、5月7日以来4カ月ぶりに心理的な節目の2万2000円を回復する場面がありました。
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また、3連休明けの9月17日前場にも2万2041.08円を付けるなど、足元の日経平均株価は非常に強い動きを続けています。
米中貿易協議の進展期待、米国での新たな景気刺激策の浮上、そして、ECB(欧州中央銀行)による金融緩和強化策実施など、外部環境の改善が日経平均株価上昇の背景です。
トランプ大統領が打ち出した減税案は、
実現性こそ低いものの市場はポジティブに評価
まず、米中貿易協議に関しては、トランプ米大統領が9月12日、「暫定合意をたぶん検討している」とホワイトハウスで記者団に述べたそうです。その一方で、中国は対米報復関税の対象から大豆や豚肉を除外すると13日に伝わりました。これら一連の流れから、市場では米中貿易摩擦が和らぐとの期待が高まっています。
ちなみに、10月上旬にワシントンで開く閣僚級協議に向けて、事務レベルで地ならしを進めるべく、米中両政府は9月19日から貿易問題で次官級協議をワシントンで開く予定です。
また、トランプ大統領は9月12日、「中間所得層を対象とする減税を計画しており、今後1年間に公表するだろう」と述べたそうです。憲法上、税制法案はまず下院で提出される必要があり、下院は現在民主党が制していることを考慮すると、実現可能性は「???」ですが、大統領のこのような姿勢を市場はポジティブに評価しているようです。
そして、ECBは9月12日に、金融緩和の強化策を決めました。具体的には、中銀預金金利をマイナス0.4%からマイナス0.5%に引き下げる(マイナス金利の深堀り)と同時に、昨年12月に打ち切ったばかりの量的緩和を11月に再開すると決めました。
特に、量的緩和の再開については、ドイツやオランダだけでなくフランスの中銀総裁も過度な緩和に消極的な姿勢を示していたことから、これが今回の理事会で実現したことは非常にポジティブでした。
サウジアラビアの油田テロで原油価格が一時急騰するも、
株式市場における動揺は少ない
このように外部環境が改善してきているため、海外投資家が日本株の買い越しに転じてきています。9月第1週(2~6日)、海外投資家は6週ぶりに買い越しました。買い越し額は1284億円でした。また、日経平均先物とTOPIX先物を合算した買い越し額は2278億円と、3月第3週(18~22日)以来、5カ月ぶりの大きさでした。
この海外投資家の現物・先物の買いが、日経平均株価の急上昇の牽引役となっています。
ところで、今週は、9月18~19日に日銀が金融政策決定会合、FRB(米連邦準備理事会)が17~18日にFOMC(連邦公開市場委員会)を開く予定です。これらについては、日銀は現状の政策を維持し、FOMCについては、0.25%の利下げが実施されるというのが市場の大方の見方です。
そして、このECB、FRB,日銀といった主要中銀の緩和が続くとの観測が、世界的な株式の買い材料になっています。
なお、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの石油施設が、9月14日、無人機の攻撃を受け、日量570万バレルの石油生産が停止しました。これはサウジの産油量の約半分で、世界の石油供給量の5%を超えるそうです。
これを受け、9月16日のWTI期近の10月物は、前週末比8.05ドル(14.7%)高の1バレル62.90ドルに急騰しました。
ただし、トランプ米大統領は9月15日、「必要に応じ、石油の戦略備蓄を放出することを承認した」と発表しました。た、菅原一秀経済産業相も16日、「必要があれば備蓄の協調放出などを通じて必要な供給量をしっかり確保していく」との談話を発表しました。このため、多くの投資家は動揺せず、株式市場は落ち着いています。
日経平均株価は、8月6日の2万110.76円が2番底!
売買代金の増加も先高観を強める一因に
ここまでの値動きをみる限り、やはり、日経平均株価は、昨年10月2日の2万4448.07円が1番天井、同年12月26日の1万8948.58円が1番底、今年4月24日の2万2362.92円が2番天井、8月6日の2万110.76円が2番底となったようです。このため、日経平均株価は、まず4月24日の2万2362.92円方向を目指すでしょう。
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また、ECBによる量的緩和政策(QE)の再開が決まったため、ジャブジャブに溢れ返ったマネーが、消費増税による内需低迷は危惧される日本にも、流入してくるはずです。このため、上値余地は最大で1番天井の2万4448.07円まで拡大したとみています。
なお、低迷していた東証1部の売買代金が、ここにきて回復してきています。9月5日(2.4兆円)以降、13日まで、9日を除いて活況の目安となる2兆円を上回っています。市場に投資家が徐々に戻り、新規資金の流入が加速し、投資家の活性度が高まったことが主因です。
このボリュームの増加(市場エネルギーの回復)も日経平均株価の先高観を強めている根拠です。
もちろん、8月初旬に日経平均株価が2万円に接近した場面で押し目買いした投資家からの「利食い売り」や、2万2000円オーバーで高値掴みをしていた投資家からの「ヤレヤレ売り」が、ここからの上値では出てくる見通しです。その一方で、ここ最近までの日経平均株価の急上昇を受け、売り方の多くが評価損を抱えていることでしょう。
確かに、9月13日の東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は124.04%と、短期的な過熱ゾーンとされる120%を超えてきました。しかし、私は、この騰落レシオは「底値発見機能には優れているものの、天井発見機能は微妙」と認識しています。
このため、今後の日経平均株価については、多少の調整局面はあるにしても、押し目形成場面では、評価損に苦しむ売り方からの旺盛な買い戻しニーズが、強力に下支えする見通しです。
物色の流れは「グロース」から「バリュー」へ、
「小型」から「大型」へと変化した可能性が高い!
それにしても、9月9~13日のTOPIXの週間上昇率は4.73%と、2016年7月11日~15日の8.86%以来、ほぼ3年2カ月ぶりの大きさとなりました。 これは、PER、PBR、そして、配当利回りなど投資尺度でみて割安感のある銀行、自動車、素材関連などの大型のバリュー株が買われた結果です。
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ここにきて、物色の流れが「グロース」から「バリュー」へ、「小型」から「大型」へと変化した可能性が高いと考えます。あなたが今後も高いパフォーマンスを実現したいのなら、資金の流れに素直についていくようにしましょう。
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