その証拠にフェドファンズ先物の動きを見ると、まだ5月(青)より高い水準にあり、今後景気が強含むにつれて政策金利が引き上げられることを市場が織り込んでいる様子が見て取れます。なおグラフ中、「t」とは「タイム」の意味で、「t+12」は12カ月先、「t+24」は2年先、「t+36」は3年先という風に読みます。
オバマ大統領はジャネット・イエレンを次期FRB議長に指名
先週、オバマ大統領は現在連邦準備制度理事会(FRB)副議長を務めているジャネット・イエレンをベン・バーナンキの後任に指名すると発表しました。なおこの指名は上院の投票で承認される必要があります。投票の時期に関しては、まだ明らかにされていません。
ジャネット・イエレンは現在FRBが実施中の非伝統的緩和政策の枠組みを考案した本人です。このため切り上げ時が話題になっている債券買い入れプログラムに関しても、彼女は誰よりも良く知っているし、現状の政策の維持を主張しています。それは債券買い入れプログラムの縮小は、当分無いということを意味します。議会が迷走しているにもかかわらず、アメリカ株が大きく崩れていないのは、このためです。
ジャネット・イエレンがベン・バーナンキの後を継ぐということは、FRBの政策の継続性という点では理想の展開です。なおバーナンキはFRB内部でコンセンサスを形成することに注力しましたが、イエレンはバーナンキほど全員一致にこだわらないと言われています。
株が高いうちは債務上限引き上げ交渉は進まない
現在のアメリカの議会政治を見ると、下院は共和党、上院は民主党が支配しています。法案や予算を成立させるためには両院での承認が必要です。今は下院案を上院が、上院案を下院が否決すると言う風に、お互いにキャンセルし合う構造になっています。
共和党は社会福祉政策などで政府予算が雪だるま式に膨張することを喰い止めることを主張しています。民主党はこれとは正反対に年金生活者、低所得者、老人などに対する手厚い保護を政策の柱とすることで有権者の支持を取り付けてきました。つまり両党の主張は根本的に真っ向から対立しているのです。
個々の議員は党からのサポートで選挙に勝ち、議席を守っているわけですから、ちょっとの事では党派主義(パルチザンシップ)を改めようとはしません。
この両党の頑な態度が崩れるためには、株式市場が急落するなどのショックが必要です。
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