「つみたてNISA」(積立NISA)は、投資で得られた利益(運用益)にかかる約20%の税金がゼロになるお得な制度……なのですが、すでに「つみたてNISA」をスタートさせた人の中には不安を感じている人もいるかもしれません。というのも、新型コロナウイルスの影響で世界的に株価が下落した結果、「つみたてNISA」で購入できる投資信託も大きく値下がりしたからです。
そこで今回は、こうした暴落の際に「つみたてNISA」でしてはいけないこと・するべきことをまとめてご紹介します。「つみたてNISA」の投資の考え方を思い出していただき、今後の行動につなげていただければ幸いです。
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現状、「つみたてNISA」は含み損の人が少なくない……
「つみたてNISA」は2018年からスタートした制度です。投資信託をコツコツと積立購入することで、投資した年から最長20年間、運用益にかかる約20.315%の税金が非課税になります。つみたてNISAで購入できる投資信託は、金融庁が定めた基準を満たす、長期の資産形成に適すると考えられる投資信託のみ。投資初心者でも手がけやすい制度だといえます。
しかし、2020年2月下旬ごろから新型コロナウイルスのリスクが表面化し、世界的に株価が下落しました。わずか1カ月で、2万4000円近くあった日経平均株価も1万6000円台まで、7000円以上も下落しました。また、ほぼ同時期に米国のダウ平均株価も、3万ドル近くから1万8000ドル台まで、1万1000ドル近く下落したのです。
これほどの大暴落で無傷でいられる投資信託はほとんどありません。仮に、2018年1月から2020年4月まで毎月1万円ずつ、米国の代表的な株価指数「S&P500」に投資する投資信託に投資していたとしたら、資産は次のグラフのようになっている計算です。
積立元本は2年4カ月分なので合計28万円です。それに対し、資産総額の赤色のグラフは、S&P500の急落に伴って下落し、28万1000円程度になっているのです。つまり、2018年からつみたてNISAを始めた人は現状、ややマイナス(含み損)、もしくはトントンの状態ではないかと思います。
つみたてNISAで一番やってはいけないのは
「“つみたてNISA”をやめること」
しかし、今やってはいけないのは、「つみたてNISAをやめること」です。つみたてNISAをやめるとは、積み立てている資産を売ることだけでなく、積み立てをストップしたり、積立金額を減らしたりすることも含みます。
もちろん、心配なことはわかります。しかし、せっかく2年ほど積立投資を続けてきたのに、今、「儲からないじゃないか」と売ってしまうと、いずれ回復する可能性もある含み損は「実現損」に変わり、大きくお金を減らすことになってしまいます。
そもそも、つみたてNISAに投資しているお金は、今すぐ必要なお金ではないはずです。10年、20年と長期にわたって投資することが前提の余裕資金でしょう。したがって、焦ってつみたてNISAをやめるのではなく、コツコツとつみたてNISAを続けることが大切です。
ここで一つ、問題を出したいと思います。先のS&P500に、もし2008年9月から2020年4月まで、月1万円ずつ投資をしていたとしたら、今、資産総額はどのくらいになっているでしょうか。
2008年9月といえば、「リーマン・ショック」と呼ばれる大暴落のあった月です。米国の大手投資銀行、リーマン・ブラザーズの破たんによって、世界同時株安が発生したのです。そこから、今まで投資した場合、どうなるかです。
その結果は、次のとおりです。
積立元本は11年8カ月分、合計140万円です。確かにリーマン・ショックの直後はS&P500も下落していますが、2年程度で回復し、その後はリーマン・ショック前よりも大きく上昇しています。資産総額の赤色のグラフは279万円。積立元本から139万円も利益を積み上げていることがわかります。
もちろん、この結果はあくまで試算で、新型コロナウイルスや、その他の下落から必ず回復することを示すものではありません。しかし、たとえ暴落があっても、淡々と積立投資を続けることで、暴落をカバーできる可能性があることを示しているといえるでしょう。
必見!「つみたてNISA」でこれからすべき5つのこと
つみたてNISAを続けていくにあたって、これからすべきことを5つにまとめました。
【つみたてNISAですべきこと①】「ドルコスト平均法」を思い出す
積立投資をすると、ドルコスト平均法の効果が期待できます。「ドルコスト平均法」は、定期的に金融商品(ここでは、投資信託)を一定額ずつ購入し続ける投資法です。こうすることで、投資信託の価格(基準価額)が安いときにはたくさん買い、投資信託の基準価額が高いときには少ししか買わないことになるため、平均購入単価を下げることができます。
上の「ドルコスト平均法」のイメージ図をご覧ください。毎月1万円など「一定額」ずつ積み立てた場合、基準価額が安いときはたくさん買えます。毎月1口など「一定量」ずつ積み立てた場合と比べると平均購入単価が抑えられることになります。平均購入単価が下がるということは、その分、基準価額が値上がりしたときに利益が出やすくなります。
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【つみたてNISAですべきこと②】積立金額の増額を検討する
積立投資では、基準価額が下がったときこそ多く買い付けられます。今回の新型コロナウイルス相場では、明らかに基準価額は下がっていますから、表現はよくないのですが「絶好の買いチャンス」だとも捉えられるのです。
こうした大きな値下がりのタイミングで資金に余裕がある場合に限り、一時的に購入金額を増やすというのも一つの手でしょう。今後値上がりした際に、利益をより大きくできる期待が持てます。
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【つみたてNISAですべきこと③】株・債券・不動産の分散投資の実践
投資信託は1本で数十から数百の投資先に分散投資できる便利な金融商品です。とはいえ、例えば「国内株式型」の投資信託しか持っていない、「外国株式型」の投資信託しか持っていないというのでは、万が一、その投資先が大きく下落すれば損失も大きくなってしまいます。
ですから、国内外の株式・債券・不動産など、1つの投資信託で複数の資産にまとめて投資する「バランス型」の投資信託を組み入れるなどして、できるだけいろいろな資産に国際分散投資を行いましょう。
「バランス型」の投資信託は、保有している資産の比率が崩れたときに資産の一部を売買するなどして元の比率に戻す「リバランス」という作業を自動的にしてくれるので、“ほったらかし”にするのにも向いています。
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【つみたてNISAですべきこと④】自分の資産全体を見て「無リスク資産」と「リスク資産」のバランスをとる
つみたてNISA内だけでリバランスにこだわるのはあまり得策ではありません。つみたてNISAの非課税投資枠は売却したからといって戻らない上に、毎年40万円までしか投資できないからです。
リバランスをする場合は、「つみたてNISA内」ではなく「自分の資産全体」でリバランスをしましょう。つまり、自分の資産全体で見て、「リスク資産」と「無リスク資産(現金・預金・個人向け国債)」とのバランスを調整するということです。つみたてNISAはあくまで一つの制度。自分の資産全体から見れば一部でしかないはずです。
例えば、資産全体で「無リスク資産50:リスク資産(つみたてNISA含む)50」という配分比率で資産運用していたところ、株などのリスク資産が順調に増えて「無リスク資産30:リスク資産70」になったとします。
この場合、今後、リスク資産が値下がりした場合、自分の資産全体が受けるダメージが相対的に高まることになります。そこで、つみたてNISA以外のリスク資産を一部現金化して、無リスク資産とリスク資産の比率をを元の「50:50」に戻したほうがいいかもしれない、というわけです。
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今回の新型コロナウイルス問題は、投資環境を冷え込ませるだけでなく、家計や今後の勤労収入にも暗い影を落としかねない状況です。リバランスによって一部のリスク資産を現金化することで、給料の手取り6カ月分から1年分の現金が用意できれば、なんとか暮らしていけるという安心材料にもなるかと思います。
【つみたてNISAですべきこと⑤】「つみたてNISA」内でリバランスしたい場合は、毎月の積立金額の見直しで時間をかけて調整
どうしてもつみたてNISA内の資産をリバランスしたい場合には、毎月の積立金額を見直してみましょう。運用の結果、当初の資産配分の比率から増えた投資信託の積立金額を減らし、逆に減った投資信託の積立金額を増やします。
ただし、ドルコスト平均法の効果を得るためには、今まで購入していた商品の積み立ての停止はしないほうがいいでしょう。毎月の積立金額は多少減らしてでも、コツコツ積み立てを続けるのが基本です。
20年後の解約時に暴落があっても
課税口座に移して運用しよう
つみたてNISAの非課税投資期間は20年ですから、2018年に投資した分は2037年まで非課税で運用できます。とはいえ、2037年にまた今回のような暴落があって、資産が減る可能性もないとはいえません。
しかし、もし、20年後に暴落があっても、つみたてNISAの資産は売らずに運用を続けましょう。つみたてNISAの資産は、20年経過後に課税口座に移されます。そうすると非課税ではなくなってしまいますが、運用し続けることができます。あとは頃合いを見計らって、値を戻したところで売ればいいのです。
相場の波で一喜一憂せず、投資を長期で捉えて資産形成を進めていきましょう。
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(株)Money&You代表取締役、マネーコンサルタント。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職。女性のための、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場『FP Cafe』を運営。メディアなどで投資に関するコラム執筆、書籍の執筆・監修、講演など日本人のマネーリテラシー向上に努めている。著書は『やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)、 『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)。twitter→@yorifujitaiki








