つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2019年]
2018年4月17日 深野 康彦

「つみたてNISA」でのポートフォリオの組み方と
リスク管理の考え方を投資初心者にもやさしく解説!
バランス型投信など分散投資できる商品の選び方は?

つみたてNISAのおすすめ証券会社はココ!

 投資をする際には、一点集中投資より分散投資のほうがリスクを抑えられると言われます。では、「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」を利用する際には、どの商品を選んで、どのような割合で保有し、どのようにリスクを管理すればいいのでしょうか。

 今回は、「つみたてNISA」を利用する際におさえておきたい、ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ方や資産配分)の考え方と気を付けたいポイントについて説明します。

投資初心者や「リスク管理が面倒」な人には、
1本で分散投資ができる「バランス型投資信託」がおすすめ

 最初に、「つみたてNISA」で購入できる金融商品についておさらいしておきましょう。「つみたてNISA」で購入できるのは、「株式だけに投資する投資信託」と「ETF(上場投資信託)」、もしくは株式を含む複数の資産を組み合わせたものに投資する「バランス型の投資信託」のみです。

 そのため、「つみたてNISA」だけで教科書的な“国際分散投資”をしたいと思えば、選択肢は必然的に「バランス型の投資信託」になります。投資初心者で自分では複数の商品を購入してポートフォリオを組むのは難しいという方や、分散投資はしたいけれどいろいろ考えるのは面倒という方は、「バランス型投資信託」を選べばいいでしょう。バランス型投資信託なら、1本で国内や海外の株式、債券など複数の資産・地域に分散投資ができ、自分でポートフォリオを考える必要がありません。

 ただし、「バランス型投資信託」なら何でもいいかというと、そうではありません。「つみたてNISA」の対象となっているバランス型投資信託は、2018年4月3日時点で57本あります。その中には、国内の株式や債券、リートにのみ投資する商品もありますが、分散によるリスク低減と成長期待という2つの点から、国内だけではなく必ず海外の資産にも投資する商品を選んで欲しいと思います。

 また、バランス型投資信託を選ぶ際には、リスク管理を考える上で株式の組み入れ比率を確認することが重要です。株式の比率が高ければ高いほど、値動きは大きくなる、言い換えると高いリターンが期待できる反面、リスクも高くなるということです。値下がりリスクができるだけ低いもので運用したいと考えるなら、株式の組み入れ比率が低めの商品を選びましょう

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「つみたてNISA」で株式のみに投資する商品を選ぶなら、
相対的に成長が期待できる「海外株」に投資する商品を!

 ここまで「バランス型投資信託」に投資するケースを紹介してきましたが、「つみたてNISA」で「株式だけに投資する投資信託」を運用する場合には、ポートフォリオやリスク管理をどのように考えればいいでしょうか。ここではまず、どの商品を選ぶかという話からしたいと思います。

 「つみたてNISA」で株式だけに投資する投資信託の中には、国内の株式に投資するもの、全世界の株式に投資するもの、先進国の株式のみ、新興国の株式のみなど、さまざまなタイプがあります。わかりやすさと馴染み深さから、どうしても国内株式、それも日経平均株価に連動する商品を選ぶ人が多いのではないでしょうか。

 しかし、「つみたてNISA」という制度を導入する背景に「世界経済の成長を享受して資産を増やしていく」という考え方があるように、国内だけではなく海外の株式にもぜひ投資したほうがいいと、私も考えます。日本は潜在成長率が諸外国に比べて低く、国内株にだけ投資していても、なかなか資産が増えていかないからです。

ですから、たとえば「つみたてNISA」に月3万円投資するのであれば、まずは国内株式と海外株式に投資する投資信託を1万5000円ずつ購入するといった配分で、ポートフォリオを考えればいいのではないでしょうか。

 なお、国内株の場合、前述のとおり日経平均株価に連動する商品を選びがちですが、日経平均採用銘柄は東証1部に上場する企業の約10分の1に過ぎません。国内株であれば、より広く投資する「TOPIX(東証株価指数、東証1部の全銘柄を対象とする株価指数)」に連動するものを選ぶことを強くおすすめします。

 また海外株の場合は、先進国と新興国の両方に投資できる全世界の株価指数(MSCI ACWI Indexなど)に連動する商品を選びましょう。ただし、「MSCI ACWI Index」に連動する商品は、「つみたてNISA」の対象商品となっているものの、取り扱っている金融機関がかなり限られるので、その場合は先進国の株価指数(MSCIコクサイ・インデックスなど)に連動する商品を選べばいいでしょう。

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最初から完璧なポートフォリオを組む必要はない
「つみたてNISA」の株式のみ投資信託+預貯金でもOK!

 さて、「つみたてNISA」で「株式のみに投資する投資信託」を運用する場合、株式以外への分散投資を考えるのであれば、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や一般の証券口座など「つみたてNISA」以外の口座を活用してポートフォリオを組むことになります。

 とは言え、最初から完璧なポートフォリオを目指す必要はまったくありません。「つみたてNISA」では株式のみに投資する投資信託を買ったから、ほかでは債券に投資する投資信託を買って、国際分散投資もしないと……などと考え始めると、初心者にとってはハードルが高くなってしまうからです。特に若年層では、資金的にも複数の金融商品に投資するのは厳しいという事情もあるでしょう。

 たとえば、預貯金や現金をある程度持っていれば、それが債券の役目を果たしてくれる面もあるので、あとは「つみたてNISA」で「株式のみに投資する投資信託」だけを買うということでも問題ありません。要は、「資産全体でリスクを取ること」ができていればいいのです。

 まずは始めやすい形でスタートして、途中で「やはり債券も入れて分散投資したい」と考えれば、そこで「iDeCo」や課税口座で新たに債券に投資する投資信託を買ったり、自分で分散投資してポートフォリオを考えるのは面倒だと思えば、バランス型投資信託に移行したりといった方法を考えて、徐々にポートフォリオを整えていけばいいと考えます。

大切なことはポートフォリオを整えることではなく、
リスクを取り過ぎないように管理すること

 ここまで、「つみたてNISA」でのポートフォリオの考え方を説明してきましたが、最も大切なことは、完璧なポートフォリオを組むことよりも「つみたてNISA」を含む資産全体でどのようにリスクを管理するかということです。別の言い方をすると、「リスクを取り過ぎていないか」を考えることです。

 リスク管理を怠っていると、たとえば「リーマン・ショック」のような株価の大暴落が起こると、せっかく増やした資産を大きく失ってしまうこともありえます。

 「つみたてNISA」で株のみに投資する投資信託を購入し、「iDeCo」や課税口座などいくつもの口座でさまざまな資産に分散投資していると、リスクを取り過ぎていても気づきにくくなる可能性があります。また、運用がうまくいっていると、知らないうちにリスク資産が増えていて、自分が思っている以上にリスクを取っていることもあります。

 ですから、折に触れて、自分の保有しているすべての資産の「棚卸」をして、リスク資産と安全資産の割合を常に意識しておくようにしてください。「つみたてNISA」は、60歳まで引き出すことができない「iDeCo」と違い、売りたいときにいつでも売れることがメリットの一つです。リスク資産が増えすぎたと思ったら、一部を利益確定したり、売りたくなければ積立額を減らしたりして、リスク管理をしていけばいいのです。

 特に、年齢が高い方はリスクの取り過ぎに注意してください。たとえば、50代半ばから20年間、「つみたてNISA」で株式100%の商品を年額40万円ずつ積み立てて後期高齢時代に備えた資産形成をしていくと、最終的には資産全体に占める株式のウェイトが高くなり過ぎる可能性があります。なぜなら、リタイア後は資産全体が徐々に減っていくのに、逆に「つみたてNISA」では投資をしている株式の割合が高くなってしまうからです。「リスク過多」にならないよう、一部を利益確定していくことも検討したほうがいいでしょう。

 バランス型投資信託の場合も、年齢が高くなったら一度見直したほういいでしょう。一般的に年齢が上がるとリスク許容度は下がっていきますが、一般的なバランス型投資信託(目標とする年を決めておけば、リスクが高いポートフォリオからリスクが低いポートフォリオに自動的に資産配分を変更してくれる「ターゲットイヤー型」を除く)では常に株式のウェイトは一定のため、商品が変わらなくても自分にとってはリスクが高くなり過ぎる可能性があるためです。

 投資のポートフォリオは一度組んだら終わり、というものではありません。定期的に見直すことで、予期できないリスクに備え、ぜひ「つみたてNISA」を将来の資金づくりに役立ててみてください。

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(構成:肥後紀子)

深野康彦(ふかの・やすひこ)[ファイナンシャルプランナー]
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現職。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。主な著書に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない』『ジュニアNISA入門』(ダイヤモンド社)など多数。