「2022年の年末」までの値動きを、米国株に詳しい専門家4人が予測!
発売中のダイヤモンド・ザイ8月号は、特集「人気の【米国株】150診断」を掲載! この特集では、ストラテジストによる米国株の値動き予測や、伝説の投資家・バフェットが今の米国株市場をどのように見ているかを紹介。また、「GAFAM」を始めとする米国株の人気150銘柄の銘柄診断も掲載しているので、すでに米国株を保有している人、気になる株がある人は必見だ!
今回はこの特集から、ストラテジストなどプロ4人による「2022年・年末までの米国株の値動き予測」を公開!
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米国株の代表的な指数「S&P500」は、当面は弱い動きが続くものの、
米・中間選挙の直前から年末にかけて上昇して年初来高値を更新か
米国株は波乱相場が続いており、不安な日々を過ごしている投資家も多いだろう。そこで、今回は米国株に詳しいストラテジストなどのプロ4人(東海東京調査センターの長田清英さん、マネックス証券の岡元兵八郎さん、米国在住のストラテジストのポール・サイさん、楽天証券経済研究所の香川睦さん)に、多くの投資家が注目する指数「S&P500」の今年後半の値動き予測を聞いた。
結論から言うと、現状の反発力の弱い相場は、もうしばらく続く見通し。ただし、米国の中間選挙(11月8日)の直前にあたる10月下旬くらいから年末にかけて、昨年来の高値圏へ反騰するというのが、4人に共通する予想だ(下図参照)。
周知のとおり、米国の金融政策は段階的な利上げに踏み切った。新型コロナの景気対策で実施した大規模な金融緩和が終わり、過剰流動性相場(大幅な金融緩和で大量のマネーが市場に流入し、株価が割高な水準でも買われるバブル的状態)が収束する局面にある。
それによって、株式市場にも変化が見られる。「成長していれば赤字でもOK」と許されていたグロース銘柄や、「技術力があるから」と株価が割高でも買われていた高PER銘柄が売られているのだ。
目下、米国の利上げはインフレ退治が最大の目的になっており、インフレが落ち着けば、利上げは終了となりそうだ。そのインフレも、4月末の統計では伸び率が鈍化している。
東海東京調査センターの長田さんは「米国最大手スーパーのウォルマート(WMT)が、消費不振を主因に2~4月期決算で25%の減益となりました。このことが象徴するように、すでに需要の落ち込みによって、インフレのピークは過ぎたという見方が出ています」と指摘する。
ウクライナ紛争の影響など不確定要因は多いが「秋ごろにはインフレの沈静化とともに利上げペースも落ち着く」というのが、多くの市場参加者の見方。そして、それが株価反転の合図になると4人のプロも考えている。
株価反転までの停滞期間こそ米国株を買うチャンス!
業績がいいのに売られて、割高感が解消した株を狙え!
それでは、株価反転までの停滞期間はどうすればいいのか。ここでもプロの意見は一致しており、「この局面は買いチャンス」だという。
「去年のS&P500の予想PERは22~24倍でした。それが今は17倍台で、過去10年の平均PERの水準まで低下し、割高感が解消しました。アルファベット(GOOGL)は予想PERが16倍台、メタ・プラットフォームズ(FB)も15倍台にまで下がるなど、GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)も割高感が解消されています」(楽天証券の香川さん)
ストラテジストのポール・サイさんも「短期志向の投資家には向かないが、大手IT企業は金利の動向に関係なく、独自のテクノロジーによって成長を遂げる実力を持っているので、需給で売られた今は安く拾うチャンスです」と、ポジティブだ。
買いの理由は値ごろ感だけではない。S&P500の予想1株利益は、2022年が前期比プラス17%、2023年はプラス9%と、業績も好調なのだ。
ただし、これはあくまで500社の平均値。企業によっては、インフレが招くコスト高などで、増益シナリオが崩壊するリスクもある。
長田さんは「ナスダック銘柄は下方修正が進んでいるが、S&P500の銘柄は下方修正されていない銘柄も多い。これから下方修正する銘柄が続出するリスクはあります」と警戒する。
こうしたリスクを最小限にしたいのなら、金利動向や景気に左右されにくいディフェンシブ株(防衛、食品、医薬など)や、経営と業績の安定性が裏付けとなっている高配当割安株(エネルギー、通信、たばこなど)への投資が有効だ。
いずれにしても、過剰流動性相場が終われば、業績相場(好業績な個別企業が買われる状態)が開幕する。今まで以上に、個々の企業の業績を見極めることが資産を増やすカギとなるだろう。
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