NYダウは6日続けて過去最高値を更新し
原油先物相場は大きく上昇
「トランプノミクス」への期待の高まりを背景に、米国株高、米国長期金利上昇、ドル高傾向が継続しています。また、12月10日、OPECとロシアなど非加盟の産油国が15年ぶりに協調減産で合意したことで、原油先物価格も上昇しています。このように、日本株を取り巻く環境は非常に良好です。
ちなみに、12月12日のNYダウは、6日続伸、前週末比39.58ドル高の1万9796.43ドルと、6日続けて過去最高値を更新しました。原油先物相場が大きく上昇し、エクソンモービル(XOM)やシェブロン(CVX)といった石油株が買われ、NYダウを押し上げた結果です。
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また、12月12日の米10年物国債利回りは、前週末比0.01%上昇し2.47%でした。一時2.52%と、2014年9月29日以来、ほぼ2年2カ月ぶりの高水準を付けました。そして、12月12日の外国為替市場で一時1ドル=116円12銭近辺と、2月8日の117円53銭以来、ほぼ10カ月ぶりの安値を付けました。さらに、12日のNY原油先物相場は3日続伸し、WTI期近の1月物は前週末比1.33ドル高の1バレル52.83ドルでした。
日経平均株価が昨年末の終値を更新!
順張りスタンスの外国人が買い支える
このように外部環境が良好なため、足元の日経平均株価は非常に強い動きを続けています。
12月12日の日経平均株価は、前週末比158.66円高の1万9155.03円と、5日続伸し1万9000円大台を終値でも回復しました。同時に、昨年12月30日の終値の1万9033.71円を上回り、年間で上昇に転じました。
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このけん引役はやはり、外国人投資家です。トランプ次期米大統領が当選して以降、11月第5週(11月28日~12月2日)までの過去4週間、外国人は合計で1兆6085億円買い越しました。
一方、個人は、4週間で累計1兆5964億円売り越しました。相変わらず、逆張り大好き個人の売り物を、順張りスタンスの外国人が全て買い上げている、という状態が継続しています。
前回当コラムで指摘しましたが、外国人の買い越し額が急激に細ったり、売り越しに転じない限り、日本株については「強気」維持でいいでしょう。
米国に加えて中国の経済も良好
世界的に景気悪化懸念は後退へ?
また、足元の中国の経済も良好です。
11月の小売売上高は前年同月比10.8%増え、増加率は10月の10.0%から拡大して、昨年12月以来11カ月ぶりの高水準でした。また、11月の工業生産者出荷価格指数(PPI)の伸びは3.3%に達し、上昇率は10月の1.2%から大幅に拡大しました。11年10月の5.0%以来5年1カ月ぶりの上昇率で、PPIは9月から3カ月連続の上昇となりました。
そして、11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7と、前月より0.5ポイント上昇し、2014年7月以来2年4カ月ぶりの高水準となり、11月の米ドルベースの輸出額は、前年同月比0.1%増と、3月以来8カ月ぶりに前年同月の水準を上回りました。
米国に加え、中国経済も順調に回復していくようなら、世界景気敏感株の日本株には、相当強烈な追い風になるはずです。
ちなみに、明日12月14日発表予定の日銀短観12月調査では、大企業・製造業DIがプラス10と前回調査のプラス6から4ポイントの改善する見通しです。事前予想通り改善するならば、昨年6月調査以来6四半期ぶりの改善です。また、大企業非製造業はプラス19と前回の18から1ポイントの改善する見通しです。
「トランプノミクス」を背景に、ドル高・円安が実現し、輸出企業の採算改善期待の高まりました。さらに、原油先物高による国際商品市況の回復効果が加わり、世界的に景気悪化懸念は後退しているため、経営者のマインドが改善しているのでしょう。そして、期待通り短観が改善を示すようなら、それは、日本株の先高観に直結するはずです。
日経平均株価の想定レンジは
ボリンジャーバンドで判断
以上の状況を踏まえ、当面の日経平均株価の想定レンジは、26週移動平均ベースのボリンジャーバンドで、プラス1σ(12日現在1万7854.18円)~同プラス3σ(同1万9715.46円)です。同プラス2σ(同1万8784.82円)を上回っているならそれは「強烈な上昇トレンド発生状況」であり、同プラス2σと同プラス3σの間を行き来する「バンド・ウォーク」を続けるとみています。
しかし、同プラス2σを下回ったら、レンジは同プラス1σと同プラス2σとの間での「バンド・ウォーク」に移行する見通しです。
また、株価指数先物・オプション12月物のSQ値は1万8867.45円でした。このSQ値を下回ると、短期的に株式需給が悪化します。よって、同プラス2σとSQ値(1万8867.45円)を共に下回ったら、いったん下方向への動きに注意が必要です。
アクティブ個人投資家が待ち望んでいた
東証マザーズ市場も改善の動きが!
ところで、日経平均株価やTOPIXに比べて、出遅れが顕著だったのが東証マザーズ指数です。しかしながら、ここにきてチャートが改善してきています。
12月13日前引けは、前日比5.40ポイント高の927.44ポイントでした。この結果、12日まで上回っていた5日移動平均線(12日現在902.48ポイント)、25日移動平均線(同900.74ポイント)に加え、13日に入り、75日移動平均線(同922.42ポイント)も超えてきました。これは中期の上昇トレンド発生のサインとみています。
東証マザーズ市場は、東証1部に比べて個人投資家の関与率が非常に高いので、東証マザーズ指数が期待通り上がるようなら、多くのアクティブ個人の相場の体感温度は一気に上昇するでしょう。
米国がクリスマス休暇に入った後
大納会に向けての相場上昇を期待!
なお、米国では、12月の第3金曜日が、「個別株式オプション」、「株価指数オプション」、「個別株式先物」、「株価指数先物」の4つの満期日が重なる「クアドラプル・ウィッチング(Quadruple Witching)」です。これは、日本のメジャーSQのようなものです。これが、今週末の16日です。これを通過したら、米国勢中心に本格的にクリスマス休暇入りする見通しです。
そうなると、19日から大納会の30日まで、東京株式市場での投資主体の主役は個人になるはず。その結果、「正月の餅代稼ぎ」の物色動向が顕著になると考えます。
具体的には、東証1部の低位材料株や、東証マザーズ市場に代表される小型株物色が加速するでしょう。一方、日経平均株価に関しても、年内最後の取引日である大納会に向けて相場が上昇する「年末に起きる株高」である「掉尾の一振(とうびのいっしん)」が実現する可能性が高いとみています。
本当に今年は多くの投資家にとって、勝つのが難しい相場でした。しかし、米大統領選挙以降、環境は劇的に改善しました。ぜひ、多くの投資家に「終わりよければ全てよし!」を実感してもらいたい。心底、そう思っています。
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