日米株式市場共に非常に強い値動きが続いています。10月2日の日経平均株価は、前週末比44.50円高の2万400.78円と、9月25日以来、1週間ぶりに終値ベースで年初来高値を更新しました。そして、3日前場の日経平均株価は続伸し、ザラ場中としては2015年8月19日以来、約2年1ヵ月ぶりに心理的節目の2万500円を上回りました。
一方、10月2日のNYダウは4日続伸、前週末比152.51ドル高の2万2557.60ドルと、9月20日以来ほぼ1週間半ぶりに過去最高値を更新しました。ナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数も揃って最高値を更新しました。
日米共に経済指標が良好なため、株式市場は高値推移となっています。
まず日本では、10月2日発表の日銀短観9月調査では、大企業、中堅、中小を合わせた全規模全産業の業況判断DIは、前回6月調査から3ポイント改善のプラス15と、1991年以来の高さでした。
一方、米国では、ハリケーンの復興需要が出始めたこともあり、9月のISM製造業景況感指数が60.8と、2004年5月以来、13年ぶりの高水準となりました。経験則では、ISM指数は日米の株価指数に3ヵ月ほど先行することが多いとされているそうです。なお、米国については、トランプ大統領が9月27日発表した法人税率の20%への引き下げ案も、株式市場にとって強烈な追い風になったことでしょう。実現すれば、減税規模は10年で約2兆ドルに達する見込みだそうです。
注目テーマは「電気自動車」「仮想通貨」
仮想通貨交換業者に11社登録で人気に拍車
このような好環境下で、市場の関心が高まっているテーマは「電気自動車(EV)」と「仮想通貨」の2つです。北朝鮮リスクへの感応度が低下したため、軍事・防衛関連への関心は一服しています。
また、衆院は9月28日午後の本会議で解散し、事実上の選挙戦に突入しましたが、小池百合子都知事の立ち上げた新党「希望の党」の躍進が見込まれるため、安倍晋三首相の主要政策である「教育無償化」関連人気もやや落ち着いています。
EV関連人気化のきっかけは、9月28日に、マツダ(7261)とデンソー(6902)およびトヨタ自動車(7203)が、電気自動車の基本構想に関する共同技術開発に向けた契約を締結したことを発表したことです。本共同技術開発を効率的に進めるために新会社「EV C.A. Spirit 株式会社」を設立し、3社のエンジニアが一堂に会して活動を実施します。
そして、9月30日、スズキ(7269)が新会社に参加する検討に入ったことや、トヨタ子会社の日野自動車(7205)や資本関係にあるSUBARU(7270)も参加を検討すると伝わりました。このニュースフローを受け、EV関連が人気化しました。
ちなみに、中国政府は9月28日、2019年に自動車メーカーに10%の新エネルギー車(NEV)の製造・販売を義務付ける規則を導入すると発表しました。また、英仏政府は今夏、2040年までにガソリン車とディーゼル車の国内販売を禁じる方針を打ち出しました。これを受け、自動車業界のEVシフトが加速しています。
一方、仮想通貨人気は、金融庁が9月29日、仮想通貨と法定通貨との交換サービスを行うことができる仮想通貨交換業者として11社を登録したと発表したことがきっかけでした。今回登録された11社は、マネーパートナーズ、QUOINE、bitFlyer、ビットバンク、SBIバーチャル・カレンシーズ、GMOコイン、ビットトレード、BTCボックス、ビットポイントジャパン、フィスコ仮想通貨取引所、テックビューロです。
また、このほかに17社が継続審査中だそうです。また、国内大型トークンセールであるCOMSA(コムサ)が初日の10月2日時点で50億円の資金調達を達成していることや、3日に、ゴールドマン・サックスがビットコインなど仮想通貨の関連業務への参入を検討していると伝わったことも、仮想通貨関連人気に拍車をかけました。
このEVや仮想通貨というテーマは、今に始まったものではありませんが、今後も折に触れ人気化し、息の長いテーマとして株式市場に存在し続けることでしょう。
海外投資家の買い越し姿勢が続く限り、
日経平均株価は上昇トレンドに
ところで、全体相場ですが、海外投資家が株価指数先物を買い越しているため、非常に強い動きが続くとみています。9月第3週(19~22日)における、日経平均先物とTOPIX先物を合算した買越額は8792億円でした。前週は1兆125億円の買い越しでした。確かに、海外投資家は9月第3週まで現物は9週連続で売り越しています。
しかし、これは9月末の配当への課税の関係上、金融機関が海外拠点から国内拠点に保有株式の勘定を移したことが影響しているためと観測されています。このため、季節要因がなくなる10月からは、海外投資家は先物だけでなく、現物も買い越してくるとみています。
海外投資家が買い越し姿勢を続ける限り、日経平均株価は力強い上昇トレンドを描き続けることでしょう。一方、逆張りが大好きな個人投資家や、時価で組み入れ比率を調節する年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行も継続的に売り越してくるでしょう。このため、高水準の国内勢の利益確定売りを吸収しながら、海外勢の買いで日経平均株価は徐々に押し上げられると考えます。
当面の日経平均株価については、25日移動平均ベースのボリンジャーバンドプラス1σと同プラス2σとの「バンドウォーク」(バンドに沿った値動き)がメインシナリオです。そして、今後、同プラス1σを割り込むと、25日移動平均線付近までの調整が訪れるでしょう。逆にいえば、同プラス1σを割り込むまでは、「上がり易く下がり難い相場」が続くでしょう。なぜならここまでの相場上昇で需給は買い方が圧倒的に優位だからです。
売り方は非常に厳しい状況が続いているはずです。つまり、下がれば買い戻したいという、売り方の強いニーズが存在し続けます。また、ここまでの相場上昇では、押し目らしい押し目は形成されていません。このため、「押し目待ちに押し目なし」の相場格言がぴったり当てはまる展開となり、押し目で買いたい投資家が思ったように買えていません。つまり、出遅れた投資家が多数存在しています。彼らの買いニーズも相当強いでしょう。
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このような需給関係が一転して悪化するには、日経平均株価が25日移動平均線を割り込むことが必要です。それまでは、買い方の時代が続くでしょう。
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