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“年金額”を予測する「財政検証(2019年版)」によると、
所得代替率の低下で、生活水準も低下するのは確実!?
[60歳ザイ編集部員・定年退職までのロードマップ(9)]

2019年9月30日公開(2022年3月29日更新)
ザイ編集部
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今後の“年金支給額”はどうなる? 将来の年金の給付水準を示した「財政検証(2019年版)」の中身を徹底検証すると、「年金支給額」はそれほど変わらなくても「生活水準」は低下する可能性が! 

今回は発売中のダイヤモンド・ザイ11月号から、連載「本誌60歳部員の同時進行ドキュメント 定年退職までのロードマップ」の第9回<特別編>を紹介!

この連載では、2020年3月に定年退職となるダイヤモンド・ザイ編集部の「ハラダ部員(2020年3月末に定年を迎える60歳)」が、老後のお金の不安を解消すべく奔走する様子を同時進行で赤裸々に公開している。第9回は「『2019年財政検証』を検証! オレらの年金どうなっちゃうの?」。将来の年金の給付水準を示した「財政検証」を、 法政大学教授の小黒一正さんとハラダ部員が徹底検証する!
【※関連記事はこちら!】
⇒老齢年金は「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」ではどっちが得か? メリット&デメリットをFPが解説![60歳ザイ編集部員・定年退職までのロードマップ(8)]

厚生労働省の「悪条件での試算」でも、将来もらえる年金額は
今とそれほど変わらないが、35年後はお金の価値が違うはず!

編集部員・ハラダ

 この10月4日から始まる臨時国会で、争点の一つになりそうなのが厚生労働省がまとめた「財政検証(2019年版)」だ。「財政検証」とはカンタンに言うと、5年ごとに発表される「将来の年金の給付水準」を示したもの。ただ、今年8月に発表された「財政検証」はけっこう評判が悪い。8月27日の発表の翌日、新聞各紙は大きく報じた。その記事の大見出しだが、「年金 68歳まで働く必要が」(日本経済新聞)、「年金水準 見通し改善せず」(朝日新聞)はまだいいほう。なかには「欲しけりゃ死ぬまで働けのショック療法」(日刊ゲンダイ)とボロクソにこき下ろすものもあった。

 上に示した表は今回の見通しである「経済前提」の一つで、「経済成長率が低い」場合など、悪条件下での年金受給額の試算(「経済情勢が厳しいケース5」の場合)。

 これだと、今の30歳が65歳になるときにもらう年金は「20.6万円」。今の65歳の人がもらっている年金「22万円」よりは少ないけど、大騒ぎするほどの差ではない。あれ? 見通し、そんなに暗くねーじゃん。

 「ダメですよ、金額に惑わされちゃ、本当のことが見えなくなる」

 と言うのは、今回の「財政検証」でも、経済前提に関する専門委員会のメンバーとして加わっている法政大学の小黒一正教授。

 小黒センセイ、それはどういうことですか?

(※下の画像をクリックすると拡大できます)

今の20万円と35年後の20万円とでは、価値がぜんぜん違う

年金の水準を示すモノサシが
「所得代替率」=「年金÷現役世代の収入」

 「今の20万円の年金と、30歳の人が65歳になる35年後にもらう20万円の年金とでは価値が違います」と、小黒さん。

 ま、35年も経てば、低成長といえども物価もそれなりに上がるからね。ただ、そうなると、どうやって異なる世代の年金の「水準」を比較するの?

 「そこで用いるのが『所得代替率』。現役世代の手取り収入と比べて、年金額がどれくらいの割合なのかを示します」(小黒さん)

 今の現役世代の手取り収入の平均は月額で35.7万円。これに対して年金額は月額で22万円だから、所得代替率は61.7%となる(所得も年金も端数があるので22÷35.7で計算した値とは異なる。以下も同様)。

 では、35年後の現役世代の手取り収入は? 所得代替率は? それらを含めて、上の表の「経済前提に基づいた、「各世代の年金水準の見通し」を示したのが、下の表となる。

 この表を見ると、現在30歳の人が65歳になったとき、現役世代の手取り収入は月額45.3万円。所得代替率は45.6%。今より2割以上も下がる。これはけっこう大きい。

 ちなみに「68歳まで働く必要」というのは「今の20歳の人が、今の65歳の人と、同水準の所得代替率、61.7%の年金をもらうには」という意味。年金額が同じという意味ではないことにご注意を。

厚生労働省の「好条件での試算」どおりにならない可能性が大!
将来の「所得代替率」が50%を下回る恐れはかなり高い

 厚生労働省は「財政検証」で、経済成長が高く推移して労働参加も進むという「好条件での試算」も行っている。そこでは、自ら合格点と定めた(ここ、ちょっと揶揄⦅やゆ⦆入ってます)「所得代替率50%維持」を達成する給付見通しも提示してはいる。ただ、小黒さんは、さまざまな分析から、そうしたシナリオが実現する可能性は低いという。

 「将来の所得代替率が50%を下回る恐れはかなり高いと思っておいたほうがいいでしょう」(小黒さん)

年金制度は維持されても「所得代替率」は下がる!
貯蓄や投資で生活水準の低下を防ぐ自助努力も必要!

イラスト:けっこう厳しい未来が……

 では、年金は破綻するのか?

 「そうはならないでしょう。年金の給付水準を自動的にカットするマクロ経済スライドを行うなどで、年金制度自体は維持される可能性が高いと思われます」(小黒さん)

 ただ、それは、すなわち「所得代替率」の低下を意味する。そのぶん、「現役世代と比べて低い生活水準で暮らさざるを得ない年金生活者が増える」と小黒さん。

 現役世代なら楽しめる、ちょっと高めのランチを、年金生活者は今でもガマンしている。ただ、今後はもっとガマンしなければいけなくなる。もちろん、ガマンしなければいけないのはランチだけではない。

 「経済成長などの前提が甘い」とか「40年サラリーマンを務めた夫と専業主婦一筋の妻」というモデル世帯の見通しがメインで、「多様な働き方での見通しが不足している」など、いろいろ批判されている「財政検証」だが、ひとまずの見通しは示された。

 オレたち個々の生活者としては、「所得代替率」がどんどん低下するという未来を見越して、今から貯蓄や投資などで備えたほうが、お後、いや老後がよろしいようで
【※関連記事はこちら!】
⇒「公的年金」が破綻しなくても安心できない理由は、財源に合わせて「年金額を減らす」仕組みだから! 年金制度は残っても、給付額1~2割減は覚悟しよう!

今回の結論:ガマンは絶対イヤだ! 60歳のオレもやるぜ!

 上の表「現役世代と比べた年金水準」のとおりだと、いま60歳のオレの場合でも、所得代替率はどんどん下がっていく。現役世代が舌鼓を打つ豪華な食事も、オレはどんどん食えなくなるってワケだ。それは絶対イヤだ! よーし、いまからガンガン貯蓄するぜ! 投資するぜ!

【連載「本誌59歳部員の同時進行ドキュメント 定年退職までのロードマップ」バックナンバー】
⇒■第1回 「老後資金は1億円」は本当か? 誰でも自分の定年後に必要な老後資金がわかる計算式を、専門家が解説!

⇒■第2回 定年後は「転職」と「再雇用」、どちらの道を選ぶ? 中高年の転職事情&定年前に準備できることを解説!

⇒■第3回 定年後の再雇用・再就職時に“給料が激減”する問題は「高年齢雇用継続基本給付金」や「再就職手当」で解決!

⇒■第4回 老後破綻を防ぐには、定年退職前に「支出の把握」と「家計のダイエット」をして“生活費の見える化”を!

⇒■第5回 定年退職後の“健康保険”はどうなる? 定年後の働き方次第で、加入できる健康保険がどう変わるかを解説!

⇒■第6回 定年退職後も「医療保険」は必要か? 生涯に支払う「負担額」と受け取れる「給付金」のバランスに要注意!

⇒■第7回 「住宅ローン」は、定年退職時に一括返済すべきか? 老後破綻を防ぐ「住宅ローンの返済術」をFPが伝授!

⇒■第8回 老齢年金は「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」ではどっちが得か? メリット&デメリットをFPが解説!

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