投資歴が20年前後に及ぶ“ベテラン優待投資家”の5人が座談会を開催! 5人の達人が語る「株主優待株の魅力」や「銘柄選びのコツ」を紹介!
発売中のダイヤモンド・ザイ12月号の大特集は、「ずーっともらえる【株主優待】130」! 大人気の株主優待株だが、株主優待が廃止・改悪されるリスクは避けたいところ。そこで、この特集では株主優待株をいろんな角度で分析、採点して、株主優待を廃止・改悪する可能性が少ない「10年続く株主優待株」のランキングを発表。さらに、株主優待株メインで投資する個人投資家の座談会や、多くの株主優待株を分析してわかった、株主優待の廃止・改悪を避けるための3つの注意点なども紹介している。
今回は、その中から「株主優待株への投資歴が20年前後」という5人の個人投資家が集合した“座談会”を抜粋して紹介! 経験豊富な優待投資家ならではの貴重な意見が満載なので、投資の参考にしてほしい!
株主優待株をメインで投資する個人投資家が語る
株主優待株の魅力や、長期保有することのメリットとは?
2019年9月某日、株主優待株への投資にハマっている個人投資家5人が集結。彼らが日々ウォッチしている「株主優待株」をテーマに、座談会を実施した!
参加者は、投資家であり専業主婦のmtipsさん、監査が前職の投資家・古市さん(仮名)、退職金で本格的に投資を始めたtakaさん、利回り重視の投資をポリシーとするayutanさん、そして女子高校生時代から株主優待株をウォッチしてきた小森さんの5人で、それぞれ投資歴が20年前後という“達人”揃い。今回は、株主優待株の魅力や注目している銘柄などについて、余すところなく語ってくれた!
──長く株主優待株へ投資してきて、よかったことを教えてください。
mtips 今まで知らなかったお店に行けたり、名産品や限定品がもらえることかな。「株主限定」と聞くと、つい釣られてしまう(笑)。あと、アベノミクスに乗って儲けた優待投資家は多いよね。
小森 株主優待株だと、株主優待の魅力で長く持っていられますからね。私は昔から東京ディズニーランドが好きで、優待が欲しくてオリエンタルランド(4661)を買いました。売らずにずーっと持っていたら、今では、株価は当時の約10倍です。
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ayutan オリエンタルランドは今は絶好調ですけど、昔は株価が横ばいの時期も長かったですよね。当時は「設備投資が大きすぎて潰れる」と言われたり。ディズニーシーみたいに施設を拡充していけばいい、という考えも広まってなかったから。
mtips やっぱり好きな会社なら長く持てるね。商品のファンだったり、社長が魅力的とか。
ayutan 商品のファンかどうかは大きいですよ。以前、資生堂(4911)やコーセー(4922)などの化粧品株に注目したんですが、男の自分が株主優待をもらってもなぁ、と思って買わなかった。ファンなら株主優待をもらいつつ、長期保有して儲けられたと思います。
taka ずっと保有するという点では、利回りと業績がいい株を持って、シンプルに株主優待と配当をもらい続けるのもいいですね。リース契約を手掛けるFPG(7148)を約7万円(株式分割前)で買ったのは2012年でしたが、分割と増配を繰り返し、株主優待と配当の累計は約14万円になりました。
mtips あと長く持ちたくなる企業というと、株主と触れあうイベントを大切にする企業ですね。
古市 有名なのは「社長と語る会」のカゴメ(2811)かな。あと意外だけど、三菱商事(8058)も経営陣との「懇談会」を始めたよ。
taka 工場見学に力を入れる会社もあります。トラスコ中山(9830)は工場に加えて、サーバルームまで見学させてくれて。他にも酒類製造のオエノンHD(2533)は、普段は見られない工場を見学後に試飲ができますよ。
mtips 惣菜店の「RF1」を運営するロック・フィールド(2910)も、工場見学と食事会で人気ですね。こういうイベントは抽選なので、なかなか当たらない……。
ayutan 企業も表立っては言わないですが、保有株が多い株主のほうが当たりやすそう。リンガーハット(8200)の株主報告会だと、300株以上保有だと当たりやすいと聞きますよ。
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株主優待株への投資で特に失望するのは、株主優待の廃止や改悪!
過去には、新設からわずか5カ月で株主優待を廃止した株も
──反対に悲しかったことや、がっかりしたことはありますか?
mtips やっぱり株主優待の廃止や改悪をした株ですね。改悪にもいろんなパターンがあります。使える場所が減ったとか、一定額以上でないと使えない割引券になったとか。
ayutan ここ最近で記憶に残ったのは、新設の発表から5カ月で株主優待を廃止したエリアクエスト(8912)ですかね。
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mtips あれはもう「伝説」ですよ。少し前だと、東証1部へ昇格するために、優待を新設して株主を増やしたモリト(9837)。昇格した途端に優待を廃止して、いっそ潔いくらい。二度と買いたくないですけど!
ayutan ファミレスのココスジャパン(9943)は好きな株主優待だったんですが、株主優待を休止してしまって。業績悪化がひどく、損切りしましたね。
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──ほかにこの10年で、印象深かったことはありますか?
古市 アベノミクスもあったけど、他にも個人投資家を増やそうとする施策が続きましたよね。
mtips 単元の購入額を5万~50万円にするよう東証が求めたことで100株単元に統一され、買いやすくなりました。NISAが始まったのもこの間(2014年)ですもんね。
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小森 その波に乗って、株主優待の新設や拡充をした会社も多かった。使えるお店がどんどん増えていくクリエイト・レストランツ・HD(3387)とか。外食優待が目立ちました。
ayutan 他にも外食優待だと「いきなり!ステーキ」で有名なペッパーフードサービス(3053)は株価が一時は数十倍に上昇しましたが、現在は大きく下落。外食優待も勢いを失って急落するタイプと、コロワイド(7616)や吉野家HD(9861)など株価が安定した人気優待株に、二分されますね。
mtips あと、株主優待の拡充のインパクトが大きかったのはオリックス(8591)かな。いまや株主数は40万人超。株主優待になじみのない海外投資家も「株主優待でこんなに株価が安定するのか」と案外好意的らしい、とIRイベントで聞きましたよ。
古市 確かにオリックスは1400円ぐらいまで株価が下がることはあっても、そこからは猛烈な買いが入って、めったに割れないもんね。2016年には3年以上保有する人向けの長期保有優遇制度もできたし、安定感がある。
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利回りの高い“金券優待”は、改悪リスクを警戒すべき!
自分の価値観、ライフスタイルに合った株を長期で保有しよう
小森 そうそう。この10年の大きな変化と言えば、一つは長期保有優遇制度が増えたこと。保有期間の縛りを嫌がる人もいますが、私は長く持ちたいので、けっこうポジティブに捉えています。そして、もう一つの大きな変化は、「QUOカード」の株主優待の増加。最近は新設される株主優待の半分近くが「QUOカード」という感じになっています。腐らないし使い勝手もいいですが、廃止されやすくて心配になります。
mtips エリアクエストとかね(笑)。株主優待利回りだけで数パーセントある金券優待は、改悪リスクを警戒したほうがいいですね。
──これからも持ちたい優待株はどんな株ですか?
ayutan 僕は趣味の映画が観られる株主優待ですね。利回りがよく、買いやすいのは東京テアトル(9633)ぐらいで、ほかの銘柄は利回りも低く割高ですが、どれも手放せないです。
古市 私は趣味だけでなく実益も兼ねて、キユーピー(2809)やカゴメなど新製品を混ぜて送ってくれる株かな。新製品を試して気に入ったものは購入するので、こういう株は嬉しいです。
mtips 鍋の素がもらえるダイショー(2816)とか、日用品ならライオン(4912)も新製品が入ってきますよね。一方で、自社の陶磁器や割引券がもらえるニッコー(5343)のように毎年ずっと同じ株主優待の企業も。素敵だけど、もうお皿はいっぱいだよ……。毎年買い替える人もいるかもしれないけど。
ayutan 結局は自分の暮らしに合う株主優待じゃないと。僕はやっぱり近くで使いやすいのがいいな。
小森 家族構成が変わったり、何が欲しいかの価値観も変わっていきますからね。
mtips 今から、20代女性向け衣料のハニーズ(2792)の株は買わない……とかね。ライフスタイルに合わせて保有株を変えていったら、将来はお墓とか老人ホームの割引の優待を興味津々で探してるかも(笑)。
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