日経平均株価の2021年6月までの「値動き」を予測! 4人のストラテジストが予想した、今後1年間の「値動き」と「高値&安値」をを公開!
8月21日発売のダイヤモンド・ザイ10月号の大特集は、「最強日本株【2020年・夏の陣】」! 日本株市場には、コロナ禍で不透明な相場環境でも、注目すべき有望株がいくつもある。そこで、この特集では「5万円株」「高配当株」「大出世株」「株主優待株」「国内活躍株」「世界進出株」という6つのジャンル別に、アナリストなどの投資のプロが有望株を紹介! さらに「ウィズコロナ時代を勝ち抜くための戦略」や、「今後の日経平均株価の展望」なども取り上げているので、個人投資家なら必見だ!
今回は大特集の冒頭部分、4人のストラテジストによる「今後の日経平均株価の展望」を抜粋! 2020年6月までの「高値」と「安値」の予測や、その根拠をわかりやすく解説しているので、投資の参考にしてほしい!
新型コロナウイルスの感染者数は増加、企業業績は低迷……
不透明な相場環境で、株価の下押しにつながる要素は多い
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2020年3月19日に日経平均株価は1万6358円まで下落。しかしその後、世界各国が素早く財政出動や金融緩和を実行し、株価は大きく上昇した。
ところが、7月後半に入ると、日本国内の新型コロナウイルスの感染者数が再び増加。期を同じくして、多くの上場企業が第1四半期決算で「減収減益」を発表。それでも、株価は大崩れしていないため、「今の株価は実体経済を反映していない高値水準で、今後は大幅に下落する」と見ている市場関係者もいる。
こうした先行き不透明な相場環境では、どのような投資戦略をとるのが正解かわかりづらい。そこでダイヤモンド・ザイでは、株価予測と投資戦略に定評がある4人のストラテジスト(大和証券・シニアストラテジストの石黒英之さん、ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジストの井出真吾さん、UBS証券・ジャパンエクイティリサーチ ヘッドの居林通さん、智剣・Oskarグループ主席ストラテジストの大川智宏さん)に話を聞いている。ここでは、その中の一部を抜粋し、「今後の日経平均株価の展望」について紹介しよう。
まず、2020年8月~2021年6月までの日経平均株価の「高値」について、ストラテジスト4人のうち3人が、「2万4000~2万5000円」の範囲内と予測している。
その中でも、UBS証券の居林通さんは、「2万4000円を超えるのは難しい」という見解だ。「昨今の日経平均株価の上昇は、一部のIT関連企業によって牽引されています。特に、コロナ禍でも利益が急速に伸びている『デジタルトランスフォーメーション(※通称「DX」。IT化による新しいサービスやビジネスモデルでコストを削減し、働き方や社会の変革につなげる施策の総称)』や『5G』『生産自動化』などに関連した企業の株価が急騰しました」(居林さん)
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たとえば、テレワーク推進に関連して、データセンターの増設などで半導体への需要が増加するとの見通しから、関連企業の東京エレクトロン(8035)やレーザーテック(6920)などは株価が急騰している。しかし、こういった人気の投資テーマに関連した企業は、株価指標がすでに割高な水準にある。そのため、「この先も日経平均株価を大きく牽引するほどの上昇力はない」というのが、居林さんの分析だ。
「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社のこと)などのIT関連企業が時価総額の上位を占めている米国株に対し、日本株は景気の影響を受けやすい『景気敏感株』が時価総額の上位を占めている。そのため、世界的に景気が回復する兆しが見えるまでは、日経平均株価がコロナ・ショック前の株価を超えるのは難しいと考えます」(居林さん)
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新型コロナウイルスのワクチン開発の頓挫などで株価下落も?
需給面のリスクや「VIX指数」の上昇など、懸念事項は山積み
ニッセイ基礎研究所の井出真吾さんも、年内は日経平均株価の大幅上昇は難しいと見ている。「企業業績の見通しが不透明です。そもそも東証1部の3月期決算企業で、期初に会社予想を発表できたのは約45%と、前代未聞の事態です。第1四半期決算では通期予想を出した企業が増えましたが、投資家が安心して買えるような銘柄は、まだ少ないと言えるでしょう」(井出さん)
また、現時点の株価には、ワクチン開発や経済の急速な回復に対する期待が織り込まれている。しかし、「今後、その期待が外れるようなことがあれば、株価が下がる可能性もある」と井出さんは話す。
智剣・Oskarグループの大川智宏さんは、「需給面から見ても下落リスクがある」と指摘する。「巨額の資金を運用するヘッジファンドの成績が、過去最低水準まで落ちています。今後はヘッジファンドの閉鎖により保有株が売られ、株価が下がるリスクがあるでしょう」(大川さん)
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加えて、「VIX指数」(米国株価指数「S&P500」の変動幅を指数化したもの)が上昇している点も懸念材料だ。「恐怖指数」とも呼ばれる「VIX指数」の上昇は、株式市場に対する投資家の不安が高まっていることを表している。
「これには、米国の大統領選挙の混迷も影響していると思います。トランプ氏の対立候補であるバイデン氏が当選しても、経済対策や中国への強硬姿勢など、大きな政策の変更はないでしょう。しかし、政権交代は株式市場が一時的に下落する要因になります」(大川さん)
こうした状況を踏まえると、日経平均株価は当面大幅には上昇しづらい、というのが居林さん、井出さん、大川さんの見方だ。さらに、日経平均株価の現状のPERは約19倍で、すでに割高感が出ていることも、上値の余地がないと判断する要因になっている。
井出さんは、「来年は2万5000円まで上がると見ていますが、当面は株価指標で見ると、2万2000円が適正な水準です」と話す。そのため、井出さんの日経平均株価の予測は、2万2000円を挟んで高値が2万5000円、安値が2万円となっている。
ここまで3人のストラテジストの見方の一部を紹介したが、残る一人、大和証券の石黒英之さんは、2020年8月~2021年6月までの日経平均株価の高値を「2万7000円」と、強気に予想している。ダイヤモンド・ザイ10月号では、石黒さんの予想が強気な理由に加えて、ストラテジスト4人が揃って「日経平均株価の安値は2万円前後」と予想している理由もたっぷり解説しているので、ぜひダイヤモンド・ザイ10月号も併せてチェックしてほしい!
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