【今回のまとめ】
1.パックス・アメリカーナとは「アメリカの覇権」をあらわす
2.アメリカ経済はリーマンショックから立ち直った
3.旅客機受注、シェール革命などが最近のデータ改善の背景にある
4.インターネット、バイオテクノロジーでもアメリカは他を寄せ付けない
5.群生的技術革新が覇権サイクルを生む背景
パックス・アメリカーナという言葉
パックス・アメリカーナ(Pax Americana)とは「アメリカの平和」という意味のラテン語です。それが転じて、「アメリカの覇権」をあらわすことに用いられています。
1980年代にジャパン・マネーが世界を席巻して以来、アメリカの凋落ということが繰り返し言われてきました。最近では2008年にリーマンショックが起きたとき、「今度こそ、本当にアメリカは駄目になった!」と考える識者が多かったように思います。
あれからまる6年が経ったわけですが、アメリカは本当に凋落してしまったのでしょうか?
経済のデータを見る限り(どうもそうじゃないな)と感じさせるものが多いです。そこで今日はリーマンショック以降、世界におけるアメリカの地位が本当に相対的に低下してしまったのか、それとも逆にアメリカは強くなったのかを検証してみたいと思います。
癒えるアメリカ経済
まずリーマンショックで大きな傷を負ったアメリカ経済ですが、ここへきて治癒したと思わせるデータが続々と出ています。
まず先日発表された第2四半期GDP改定値は+4.2%と市場予想を上回りました。もちろん、この数字はその前の第1四半期が厳冬の影響で落ち込んだことの反動であると解釈できます。しかしそれを割り引いて考えても、米国のGDPが均してみるとしっかりとプラスを出せるようになったことは明白です。これは再びゼロ成長に陥ったユーロ圏18か国と好対照を成しています。
もうひとつのデータ・ポイントとして先週発表された耐久財受注も、余りの多さに市場関係者を驚かせました。

耐久財受注にはボーイングの旅客機が含まれており、これが一挙に今回数字に反映された関係でグラフが垂直に跳ね上がっています。普通、トレーダーは旅客機の数字を除外してデータを読みます。なぜなら旅客機の受注の数字の上下は、荒っぽすぎるからです。
ただ巨視的に米国経済の活力を見る場合、やっぱり旅客機の受注の数字は含めておくべきだと思います。なぜなら旅客機は技術の結晶であり、付加価値の塊だからです。ある国の経済や技術の底力を測定する上で、航空機ほどそれを端的に象徴するものはありません。
いま失業率に目を転じると、6.2%まで回復してきており、これは過去66年の平均である5.8%にまでほぼ戻ったと言えます。

もちろん細かい議論をすれば、労働力率が低下していることが失業率を見かけより良くしているという指摘があります。それは確かにそうです。しかし労働力率の低下はベビー・ブーマーがリタイアするなど、アメリカ人のライフスタイルや就業スタイルが変わっていることとも無縁ではありません。実際、労働力率の低下はリーマンショックのずっと前から起こっていました。

次に米国10年債利回りが極めて低い水準にある点ですが、これをぜんぶ不景気のせいにすることは出来ないでしょう。

量的緩和政策で、米国財務省証券がテクニカル的に「品薄」であること、インフレの兆候が見られないこと、そしてお金の借り手としてのアメリカに対する世界の投資家の安心感が増している事を見逃すわけには行きません。
原油と覇権
さて、インフレが低いという話が出たところなので、原油価格にも言及したいと思います。

上のグラフに見るように、原油価格は安定的に推移しています。産油国イラクが過激派「イスラム国」からの攻撃に晒され、その一方で欧州への天然ガスや原油の輸出国であるロシアがウクライナを巡って欧州連合(EU)と対立している環境で、原油価格が反応していない理由は、シェールオイルに求めることが出来ます。
シェール開発には最先端の掘削・生産技術が駆使されます。つまりシェール革命はハイテク技術があって初めて可能になるのです。これによって米国における石油生産は、このところうなぎのぼりに上昇しています。

有り余るほど原油が供給されているので、先に述べた地政学リスクが増えているにもかかわらず投資家は慌てて居ないのです。現在、アメリカは世界の原油生産シェアでサウジアラビア(13%)、ロシア(12%)に次いで第3位(11%)に付けています。
次に天然ガスの生産を見ると、こちらもシェールガスの開発ブームでアメリカはロシアを抜き、世界第1位になっています。

世界の天然ガス生産に占めるシェアは21%で、ダントツにトップです。
天然ガスは発電所の燃料に使われるほか工業の原料にもなります。このためアメリカでは廉価な電力料金が享受できるのみならず、原料コストも有利になっています。シェール革命はアメリカ製造業のコスト競争力に大きなプラスとなっているのです。
いまサウジアラビア、ロシアなどのアメリカ以外の資源大国を見ると、いずれもその経済は原油や天然ガスの輸出に大きく依存する、いびつな産業構造になっています。シェール革命はロシアやサウジアラビアなどの資源国の経済を脅かす要因なのです。
これに対してアメリカは大きな消費地が国内にあり、外貨の獲得を資源に依存する必要はありません。
群生的技術革新で独壇場のアメリカ
ボーイングの旅客機、シェールガス開発などの技術革新の話をすれば、インターネットやバイオテクノロジーの話にも言及しないわけにはゆきません。インターネットをめぐるイノベーションの大半はアメリカから生まれました。シリコンバレーにはグーグル(ティッカーシンボル:GOOGL)、アップル(AAPL)などの支配的なテクノロジー企業が集中しています。
またバイオテクノロジーに関しては、草分け的存在であるジェネンテック(=現在はロッシュの一部)をはじめギリアド・サイエンシズ(GILD)、アムジェン(AMGN)、バイオジェン・アイデック(BIIB)など、巨大なキャッシュフローを生んでいる企業が続出しています。つまり生命科学の分野でも、アメリカは圧倒的に世界をリードして他を寄せ付けないわけです。
覇権サイクルは、技術革新の群発的な発生と関係していると言われています。イノベーションの面で、アメリカのリードが衰えているとは、とても思えません。
つまり日々の相場の「滑った、転んだ」という近視眼的な見方を少し休み、一歩下がって巨視的に世界で起こっていることを観察すれば、アメリカの覇権がもたらすドル高という構図は、これから佳境に入って行くということがよく見通せると思うのです。
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