上方修正銘柄を探す着眼点
各レポートの銘柄選別ポイントと、銘柄スクリーニングの条件【図表4】をまとめた。多くのレポートでは、前述のとおりアナリストのコンセンサスを利用して上方修正銘柄を探しているが、中には、アナリストがカバーしていない出遅れ中小型株に注目したレポートもある(マネックス証券:レポート8)のでチェックしてみて欲しい。
【図表4】各レポートのスクリーニング条件
レポート番号 | テーマ・注目点 | 市場・指標 | 時価総額 | コンセンサス予想 | コンセンサス変化 | その他 | 掲載銘柄数 |
1 | 高ROE、好業績 | TOPIX1000 | 条件を満たす銘柄中時価総額10位 | 前期比増収増益 | 直近予想が昨年9月末比で上方修正。3社以上のアナリスト算出 | 予想ROE10%以上。QUICKコンセンサス使用 | 10 |
2 | 上方修正期待 | 東証1部(金融除く) | 1000億円以上 | 営業利益が増益で会社計画を上回る。黒字 | EPSが過去4週間で上昇 | 決算発表が1/26以降。Bloombergデータ使用 | 7 |
3 | 2度上方修正した銘柄 | - | - | - | 通期営業利益見通しを2度上方修正済み |
- |
30 |
4 | 業績上ブレ期待 | - | - | 経常利益予想が会社計画を上回る | コンセンサスが昨年12月から上方修正 |
QUICKコンセンサス使用 |
22 |
5 | 業績上ブレ期待+来期2桁増益での最高益 | - | - | 営業利益が会社予想を5%以上上回る。来期10%以上増益 | - | 目標株価、株価と目標 株価の乖離率。IFISコンセンサス使用 | 18 |
6 | 上方修正期待 | TOPIX500 | - | 営業利益が会社予想を1割以上上回る | - | IFISコンセンサス使用 | 38 |
7 | 強気アナリスト増加と目標株価アップ | - | - | - | 第2四半期決算前~1/27時点で「強気」が2人以上増加。目標株価1割以上アップ | IFISレーティング、目標株価使用 | 16 |
8 | 出遅れ感の強い中小型の既上方修正銘柄 |
- |
100億円以上1000億円未満 | 前期・今期経常黒字。前期比増益、有配予想 | 経常利益が期初予想から10%以上上方修正 | 昨年3月比で株価上昇率20%未満。QUICKデータ使用 | 34 |
9 | 自動車、自動車部品、電子部品、ゲーム | - | - | - | - | - | 16 |
10 | 上方修正・下方修正予想 | 東証1部 | 5000億円以上 | 経常利益8%以上上ブレ | 一時損益が大きい銘柄除去。IFISコンセンサス使用 | 34 |
◆奇をてらわず高ROE・好業績銘柄選別(レポート1:SMBC日興証券)
高ROE・好業績銘柄に注目している。「コンセンサス予想が昨年9月末比で上方修正されている銘柄を抽出すると、輸送用機器や電気機器など、輸出関連業種が多く並ぶ」。
◆最近の1株利益上昇は上方修正のシグナルか(レポート2:SBI証券)
通期業績予想の上方修正銘柄を紹介。スクリーニングでは、コンセンサス予想が会社予想を上回ることに加え、EPS(予想1株利益)が過去4週間で上昇している点を条件に加えた点が特徴。「足元の原油安や円高等も織り込んでの予想変化とみられ、この数値(EPS)が増えていれば一層、上方修正の確度は高い」と考えられる。
◆過去に2度上方修正した銘柄が今後も有望(レポート3:岡三オンライン証券)
今期に入り通期営業利益見通しを2度上方修正した企業をピックアップしている。「9月期よりも10-12月期に円安、原油安が進行したため、恩恵を受けた企業は多い」と想定している。今後は輸出企業の決算発表が特に注目だという。
◆昨年12月からコンセンサス上方修正(レポート4:東海東京証券)
アナリストによる経常利益予想コンセンサスが、昨年12月から上方修正されている銘柄に着目。加えて、会社側の業績計画に対する上ブレ期待が高い主な銘柄をピックアップしている。
◆来期も最高益、強気評価や目標株価がアップした銘柄(レポート5~7:マネックス証券)
今期最高益で営業利益の上振れ期待に加え、来期も2桁増益での最高益という銘柄を選別。また、目標株価も掲載されており(レポート5、1/23)、銘柄選別の役に立つだろう。
レポート6では、営業利益のコンセンサス予想が会社予想を1割以上上回る銘柄をピックアップすることで、上ブレ期待銘柄を選別している。
レポート7では、前回(第2四半期)決算から第3四半期決算までの間に評価が大きく上がった銘柄をチェックしている。アナリストの強気(強気とやや強気の合計)評価が2人以上増加し、かつ目標株価コンセンサスが1割以上アップした銘柄をピックアップしている。なお、上記、マネックス証券のレポートは、ザイ・オンラインでも掲載している。
◆掘り出し物銘柄が見つかるかも!?(マネックス証券:レポート8)
アナリストが業績予想をする銘柄は、大型株などに限られている。このレポートでは、アナリストのカバーが少なく、出遅れ感が強い中小型株の好業績期待銘柄に注目した。「好決算発表によりストレートにポジティブな反応を示す」期待がある。他のレポートと重複する銘柄はほとんど掲載されていないため、掘り出し物銘柄が見つかるかもしれない。
たとえば、レック (7874、2/5発表)、ユナイテッド (2497、2月上旬発表)、日本ヒューム (5262、2/13発表)、瀧上工業 (5918、2/13発表)ほか、34銘柄が紹介されている。
◆自動車や自動車部品などの注目銘柄(楽天証券:レポート9)
3Q決算で最も重要な決算を自動車各社として、特にトヨタ自動車(7203)の決算発表(2/4)に注目。その他、自動車部品・電子部品、ゲームについても注目銘柄を掲載している。
◆自動車・電機・機械・建設に利益上ぶれ期待(楽天証券:レポート10)
会社予想利益を、コンセンサス予想と比較し、かい離の大きい銘柄を抽出している。このレポートでは、上方修正だけでなく、下方修正予想の銘柄も掲載されている。
「自動車・電機・機械・建設に、利益の上ぶれが期待される銘柄が多い一方、石油関連株に利益の下ブレが懸念される」としている。
【図表5】記事掲載ネット証券レポート出所
レポート番号 | テーマ | レポート名・掲載日 | 掲載ネット証券 | 発信元 | 公開状況 |
1 | 日本株見通しとポイント~業績予想改善銘柄に注目 | Weekly Outlook 1/15 | SMBC 日興證券 |
投資情報室 | 口座開設者向け |
2 | 決算発表本格化へ!上方修正期待銘柄を探る | 日本株投資戦略 1/23 | SBI証券 | 鈴木英之氏 | ネット公開 |
3 | 銘柄戦略「15/3期第3四半期決算への備え! | 岡三グローバルウィークリー 1/12 | 岡三オンライン証券 | 岡三証券 | 口座開設者向け |
4 | 決算発表シーズンに向けた銘柄選別 | 東海東京ウィークリー 1/19 | 東海東京 証券 |
東海東京調査センター | 口座開設者向け |
5 | 今期の上振れ期待が強く、来期も二桁増益の最高益更新銘柄 | 投資のヒント~銘柄選択の実践アイデア 1/22・23 | マネックス 証券 |
金山敏之氏 | 最新レポートはネット公開(バックナンバーは口座開設者のみ閲覧可) |
6 | 決算発表本格化を前に上振れ期待の大きい銘柄をチェック | 投資のヒント~銘柄選択の実践アイデア 1/27 | |||
7 | 前回決算から今回の決算までの間に評価が大きく上がった銘柄は | 投資のヒント~銘柄選択の実践アイデア 1/28 | |||
8 | 決算発表接近で期待の上方修正銘柄 | 週刊相場観測誌Market展望 1/26 | フィスコ | 口座開設者向け | |
9 | 日経平均は17,500円台を回復。2015年3月期3Q決算が始まる。決算コメント:2015年3月期3Q決算の見所 | 楽天証券投資Weekly:セクター・投資テーマ編 1/23 | 楽天証券 | 今中能夫氏 | ネット公開 |
10 | 業績上方修正・下方修正が予想される銘柄リスト | 3分でわかる今日の投資戦略 1/27 | 窪田真之氏 | ネット公開 |
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