「嘱託」と「正社員」や「契約社員」は何が違うのか? 定年退職後に再雇用で働く場合、多くの人が「嘱託」という身分になるが、そもそも「嘱託」とは何なのかを詳しく解説!
今回は、発売中のダイヤモンド・ザイ4月号から、連載「本誌60歳部員の同時進行ドキュメント 定年退職までのロードマップ」の第14回(最終回)を抜粋! この連載では、2020年3月に定年退職となるダイヤモンド・ザイ編集部の「ハラダ部員(60歳)」が、老後のお金の不安を解消すべく奔走する様子を、同時進行で赤裸々に公開している。最終回のテーマは「再雇用の『嘱託』ってどんな働き方なの?」。
ついに定年退職となったハラダ部員だが、今後も「嘱託」として仕事を続けることに。60歳以降は嘱託で働く人が多くなるが、そもそもこの嘱託とは、一体どんな働き方なのか? 社会保険労務士の池田直子さんに、嘱託で働くにあたって注意すべきことなどを聞いた。
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定年退職後、4月から「嘱託」の身の上となるハラダ部員
嘱託になったら雇用条件はどうなるのか、確認が必要!
春は別れの季節。オレのこの連載も、今回が最終回だ。ただ、3月いっぱいで、このけちくせー会社(嘘ですよ、社長)とおさらばするわけではなく、4月からは「嘱託」として引き続き残る予定だ。
実際、定年後の働き方としては、嘱託が一般的。シニア専門の人材会社・マイスター60のアンケート調査によると、「定年後に嘱託になった」と答えた人が6割超になった。でも、嘱託ってそもそも何なの?
「広辞苑」によると、嘱託とは「(1)頼むこと。まかせること。(2)正式の雇用や任命によらないで、ある業務にたずさわることを頼むこと。また、その頼まれた人」とあるが、実際にどういう働き方なのかはわからない。誰か、このモヤモヤをハッキリしてくれないかなー。
「それは会社に聞かないとわからないでしょ」と言うのは、社会保険労務士の池田直子先生。法律的にはどーなってるんですか?
「嘱託だけでなく、正社員やパートタイマー、アルバイトにしても、それぞれの働き方について法律的な定義はありません。使い方も、定年した人を再雇用する場合に嘱託と呼ぶケースは多いものの、契約社員という名前を使っている場合もあり、まちまちです」
無期雇用か有期雇用か、フルタイムか短時間労働か、時給か月給か……同じ「嘱託」という呼び名を使っても、会社が違えば雇用条件は違ってくる。定年再雇用での嘱託契約の場合、1年ごとに契約を更新するのが一般的だが、半年、あるいは3カ月ごとに契約更新する会社もあるし、週5日勤務の場合もあれば、週3日勤務の場合もある。
「嘱託という名前にこだわるより、どんな雇用条件なのかを確認することが大切です」(池田さん)
そーいえば、オレ、給料の額だけしか見てなくて、契約の中身をきちんと確認してなかったぜ。今から、けちくせー会社(嘘ですよ、社長)に聞いてこよっと。
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嘱託はパートなどと同じ“有期雇用”の労働者!
契約期間以外にも労働時間やボーナスの有無などが正社員と異なる
以下に、会社内のさまざまな働き方について、雇用形態や労働条件などの違いをまとめてみた(もちろん、ごく一般的な傾向であり、会社によっては当てはまらない場合もあるのでごカンベン)。
雇用形態としては、定年再雇用での嘱託または契約社員は、パート・アルバイトや派遣社員と同様に有期雇用となるのが一般的。
ただ、5年以上働く場合、ほかの有期雇用の労働者とは違いが出てくる。ほかの有期雇用労働者は、契約が更新され続けて通算5年を超えたときは、労働者が申し込めば、無期の労働契約に転換できるというルールになっている(労働契約法)。でも、嘱託・契約社員のうち、定年後も同じ会社や同じグループ会社に雇用される人の場合、このルールは適用されない特例が設けられている(他社に再就職した場合は適用される)。
まあ、60歳で再雇用されて5年以上契約を更新できて、さらにその後は無期雇用に、というのは現実的じゃない。そこまでがむしゃらに働きたいかと言われれば、オレは違うから、ルール適用外となっても全然OKだけど、人によっては気になるかもね。
そういう人は、できるだけ早く仕事からバイバイしたいオレよりも、もっと長期的な視野で働き方を考え、スキルを磨けばいいんじゃないんですかね(なんだか偉そーだな、怠け者のくせに)。
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⇒定年退職後の“健康保険”はどうなる? 定年後の働き方次第で、加入できる健康保険がどう変わるかを解説![59歳ザイ編集部員・定年退職までのロードマップ(5)]
今回の結論:定年後をどうするか定年前によく考えて!
ニッポンの会社員なら、定年退職はほぼ全員が迎える一大イベント。定年にどう向き合い、その後をどうするか・どうしたいかを、よーく考えておこうぜ。あ、今回の、というよりこの連載のまとめになっちゃったかな。んじゃ、バイバイ!
【連載「本誌60歳部員の同時進行ドキュメント 定年退職までのロードマップ」バックナンバー】
⇒第1回 「老後資金は1億円」は本当か? 誰でも自分の定年後に必要な老後資金がわかる計算式を、専門家が解説!
⇒第2回 定年後は「転職」と「再雇用」、どちらの道を選ぶ? 中高年の転職事情&定年前に準備できることを解説!
⇒第3回 定年後の再雇用・再就職時に“給料が激減”する問題は「高年齢雇用継続基本給付金」や「再就職手当」で解決!
⇒第4回 老後破綻を防ぐには、定年退職前に「支出の把握」と「家計のダイエット」をして“生活費の見える化”を!
⇒第5回 定年退職後の“健康保険”はどうなる? 定年後の働き方次第で、加入できる健康保険がどう変わるかを解説!
⇒第6回 定年退職後も「医療保険」は必要か? 生涯に支払う「負担額」と受け取れる「給付金」のバランスに要注意!
⇒第7回 「住宅ローン」は、定年退職時に一括返済すべきか? 老後破綻を防ぐ「住宅ローンの返済術」をFPが伝授!
⇒第8回 老齢年金は「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」ではどっちが得か? メリット&デメリットをFPが解説!
⇒第9回 “年金額”を予測する「財政検証(2019年版)」によると、所得代替率の低下で、生活水準も低下するのは確実!?
⇒第10回 「シニア割引」で得するサービス40連発! スーパー、レジャー、JR各社の「シニア割引」をまとめて紹介!
⇒第11回 60歳から資産運用するなら「つみたてNISA」が最適!「つみたてNISA」の魅力やおすすめ投信をFPが紹介!
⇒第12回 「在職老齢年金制度」の仕組みを解説! 年金が減額・停止する条件の緩和で、働く高齢者が増えることに?
⇒第13回 "退職金専用"定期預金の金利が高い銀行ランキング! 預入期間は3カ月ながら年利換算1.6%になる銀行も!
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