「コロナ・ショック」が運輸業界や機械業界の業績や株価にどんな影響を与えるのか? アナリストなど各業界の専門家がわかりやすく解説!
発売中のダイヤモンド・ザイ5月号は「【緊急大特集】どうなる日本株」を掲載! 新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中の株式市場が大パニックに見舞われていることはご存じのとおり。そこで、ダイヤモンド・ザイでは、アナリストなどの相場のプロ68人に、今後の株価の推移や実体経済の動向、新型コロナウイルスによる打撃が大きい業種・小さい業種などについて解説してもらってる。先行きが見通せず、投資の方針を決めかねて途方に暮れている人には参考になるはずだ。
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今回は特集の中から、注目業種である「運輸」と「機械」への「コロナ・ショック」の影響度について掘り下げた記事を抜粋! 株価の反発に期待して仕込む銘柄を検討中の人は、ぜひチェックしよう!
「運輸」業種では「航空」「鉄道」が一部銘柄を除いて大打撃!
「宅配・物流」「航空貨物」は需要拡大で波に乗る
ダイヤモンド・ザイ5月号の「【緊急大特集】どうなる日本株」では、アナリストなどの相場のプロ68人に、業種別の「コロナ・ショック」の影響度合いを聞いている。
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今回は、その中から注目業種の「運輸」と「機械」をピックアップしてみたい。まずは「運輸」の関連銘柄を「航空」「鉄道」「宅急便・物流」「航空貨物」の4つのジャンルに区分けして、「コロナ・ショック」の影響度を見ていこう。
最初は「航空」。今回の緊急大特集にあたって、アナリストなどのプロ68人に実施したアンケートで、新型コロナウイルスによる悪影響が懸念される業種のワースト3に入ったのが「航空」だった。東京オリンピックに向けて、2020年3月末から羽田空港の国際線発着枠が拡大し、インバウンド需要などで大いに期待が高まっていただけに、出鼻をくじかれた格好だ。
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⇒「コロナ・ショック」で最も打撃を受ける業種とは? 小売り、ホテルなど“インバウンド”の恩恵を受けてきた業種の中でも、最も影響を受けるのは「百貨店」!
日本航空(9201)、ANAホールディングス(9202)ともに、インバウンドなどの旅行や出張が相次いでなくなり、業績へのインパクトは大きい。最悪のシナリオは東京オリンピックの中止だ。伸び続ける“インバウンド神話”に支えられていただけに、インバウンドが腰折れになると、中長期目線でも買いづらくなるだろう。
「鉄道」も苦戦している。特に影響が大きいのが長距離輸送の新幹線で、企業の出張自粛やイベント中止の影響を受けている。平時だと、新幹線の利用者数は非常に安定しており、毎年1~2%ずつ増加というのが基本トレンドだった。しかし、JR東海(東海旅客鉄道・9022)では、3月1日から9日までの利用者数が前年同期比56%減、JR東日本(東日本旅客鉄道・9020)では、3月の指定席の予約がほぼ半減している。
私鉄も苦しい状況だ。まず、空港路線がメインの私鉄は、インバウンド減少の打撃が大きい。「京浜急行電鉄(9006)、京成電鉄(9009)、南海電気鉄道(9044)、名古屋鉄道(9048)は、鉄道の利用者数が大きく落ち込むことが予測されます」(東海東京調査センターアナリストの金井健司さん)
加えて、私鉄はホテルや百貨店を経営している会社も多いので、連結の業績が厳しくなりそうだ。西武ホールディングス(9024)は営業利益の約4割をホテルとレジャーで稼いでいる。また、京王電鉄(9008)、東武鉄道(9001)などは傘下に百貨店を抱えている。新型コロナウイルスは、小売業態の中でも特に百貨店への影響が大きく、業績下ブレが濃厚だ。
そんななかで、影響が限定的な銘柄もあるという。「阪急阪神ホールディングス(9042)は比較的影響が軽微でしょう。百貨店はグループのエイチ・ツー・オー・リテイリング(8242)が経営していて切り離されており、利益に占める不動産事業の比率が高めです」(金井さん)
一方、外出を控える代わりに盛り上がりそうなのがネット通販で、その恩恵を受けるのは「宅配便」だ。宅配便はヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の大手3社による三つ巴。そのなかで、ヤマトホールディングス(9064)は、組織変更に伴い混乱が見込まれるため、岡三証券アナリストの山崎慎一さんは、佐川急便を擁するSGホールディングス(9143)に注目する。
というのも、SGホールディングスは今年の1月末、東京・江東区新砂の本社に隣接する超大型の新物流センターを完成させたばかり。荷さばきのキャパシティが拡大したのに加えて、「集約による効率化で、コスト低減効果も見込めます」(山崎さん)
また、金井さんは冷凍・冷蔵の食品など「低温物流」に注目。この分野に強いキユーソー流通システム(9369)や、C&Fロジホールディングス(9099)がそうだ。直近まで、倉庫トラブルやトラック人件費の増加で業績が振るわなかったが、冷凍食品の需要はひっ迫しており、業績の回復を見込んでいる。
ヒトを運ぶ航空はしばらく苦戦が続きそうだが、モノを運ぶ「航空貨物」は需要が活発化しそうだ。すでに2019年12月から、5G関連の半導体や電子部品の輸送需要が活発化していた。航空貨物は海上輸送に比べて単価が高いが、半導体や電子部品は製品単価そのものが高いため、コストに占める運賃の比率が低い。加えて、製品サイクルが短いため、航空輸送に需要がある。
それ以外にも、モノの移動が中国発から東南アジア発に切り替わるなど代替輸送の需要が表面化し、緊急のチャーター便が出ている。今後も「需給がひっ迫すると運賃が上昇し、高単価で取引しやすい状態が続きそう」(金井さん)と見られている。この分野で注目されるのは、近鉄エクスプレス(9375)だ。
貿易摩擦などの影響で2019年は"悪い1年”だった機械産業だが、
回復を目前に「コロナ・ショック」に見舞われ、さらなる危機に
2019年は米中貿易摩擦の影響などで、機械受注が全四半期(1~12月)で前年同期比マイナスとなり、三井住友DSアセットマネジメント・チーフエコノミストの宅森昭吉さんに言わせると「相当に悪い1年でした。ようやくプラスに転じる可能性が垣間見えていたところ」だった。しかし、そこに「コロナ・ショック」が発生。機械産業にとっては最悪のタイミングだったと言える。
「中国はいまや世界の工場。昨年厳しかったところ、ようやく中国の春節が明ける2月から設備投資が動き出すと見込まれていましたが、出鼻をくじかれました。機械産業の多くの企業は2~3月の売上高と利益が消えるでしょう」(国内証券アナリスト)
特に売上高の中国依存度が高い、SMC(6273)、THK(6481)、安川電機(6506)などは売り込まれているので、長期目線の逆バリで買うという手もある。一方で、ダイキン工業(6367)は利益に占める中国の依存度は高いものの、中国以外にも工場があるので生産地の切り替えで対応できる可能性も。中国では、地下のボイラー室からダクトで全室に一斉送風する全館空調が、ウイルスをバラ撒くとして規制の対象になったが、ダイキン工業は個別空調の技術を持っているため、今後は病院などの施設での納入ニーズが出てくる可能性もある。
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⇒「コロナ・ショック」による株価暴落を乗り切るための“投資の作法”を紹介! パニックにならず、冷静に投資スタンスを定めて、計画的に売買する心構えが重要!
コロナ・ショックが相場に与える影響や、注目の銘柄を紹介!
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今回は、発売中のダイヤモンド・ザイ5月号から「【緊急大特集】どうなる日本株」を一部抜粋した。特集では、今後の株価の推移や実体経済の動向、今だからこそ個人投資家が注目する銘柄などについても紹介しているので、波乱の相場を乗り切る一助としてほしい。
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