「レアアースフリー」関連銘柄を紹介! 中国の輸出統制
で供給懸念が高まる中、レアアースを使用しない製品
を開発する「昭和電工」や「安川電機」などの企業に注目

2021年10月29日公開(2021年10月29日更新)
村瀬 智一

 中国政府はレアアース(希土類)の国有企業3社を再編する、と日本経済新聞が10月23日に報じました。

 報道によると、資源大手の中国五砿集団と非鉄大手の中国アルミ集団、レアアース産地の江西省贛州市政府が、それぞれ傘下に持つレアアース関連企業の3社について戦略的な再編を計画しているとのことです。中国政府は、レアアースの主要企業を再編することにより、資源開発や加工技術の開発に加え、輸出を含めたサプライチェーン(供給網)全体まで統制を広げる計画のようです。

「産業のビタミン」とも呼ばれるレアアースは、
“調達先が限られていること”と“価格の高騰”が課題

 「レアアース」はレアメタルの一種で、ネオジム(Nd)やテルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)といった17種類の元素の総称になります。日本語では「希土類」とも呼ばれており、大きく「軽希土類」と「重希土類」に分類されます。

 レアアースは素材に少量を添加するだけで耐熱性や強度を高めることが可能で、例えば、ジスプロシウムやテルビウムはEV(電気自動車)駆動用のモーターに組み込まれる高性能磁石(ネオジム電池)の製造に不可欠とされています。その他にも、パソコンやスマホ、デジカメ、テレビなど幅広い製品に使われているため、レアアースは「産業のビタミン」とも呼ばれています

 レアアースは、産出地が限られているのも特徴です。米国の地質調査所(USGS)によると、中国がレアアースの世界生産の6割を占めています。なお、中国メディアによると、2020年における中国からのレアアース製品の輸出先の国別比率(金額ベース)は、1位が日本で49%、2位が米国で15%とのことです。

 そんなレアアースに関して大きな課題となっているのが、「調達先が限られていること」と「価格の高騰」です。2010年、尖閣諸島を巡る日中対立の影響で、中国当局がレアアースの対日輸出を停止した「レアアース・ショック」を覚えている人もいるでしょう。これにより、2011年には一時期レアアースの価格が急騰しましたが、その後、日本がレアアースの代替品の開発やレアアースを必要としない製品の開発を進めたことによって価格は落ち着きを見せ、逆にレアアースの締め付けを狙った中国が需要減少に悩まされる事態となりました。

 とは言え、さまざまな製品の原料としてレアアースが依然として重要な素材であることに変わりはありません。実際、2012年には及ばないものの、2020年以降、一部のレアアースの価格は上昇していますその要因としては、モーター用磁石などに使われるレアアースが、EV(電気自動車)や風力発電の普及で需要が増大していることに加え、中国による輸出管理の強化が影響していると言われています

 今回の中国政府の動向をきっかけに、レアアースの供給懸念が再度高まる事態も十分に考えられます。そうなれば「レアアースフリー」、つまりレアアースを使用しない製品や素材の需要や開発が進むことになるでしょう。

 そこで、今回は「レアアースフリー」関連銘柄に注目しました。具体的には、2010年から2011年にかけて起こったレアアース・ショック以降、「レアアースフリー」の製品の開発を進めてきた企業や、足元で参入を発表している企業を発掘しました。

【大同特殊陶(5471)】
重希土類を使わない磁石が、ホンダのハイブリッド車用モーターに採用

 大同特殊陶(5471)は2016年7月、ホンダ(7267)と共同で、レアアースの一種である重希土類が不使用ながらハイブリッド車用の駆動モーターに使用可能なネオジム磁石を世界で初めて実用化し、ホンダの「フリード」に採用することを発表しました。従来、ハイブリッド車用の駆動モーターで使用されるネオジム磁石は、高い磁力と耐熱性を実現するために重希土類のジスプロシウムとテルビウムが添加されてきました。しかし、これまでと異なる製造方法を採用することで、重希土類をまったく使用せずに高耐熱性と高磁力を併せ持つネオジム電池の実用化に成功しました。10月28日に発表された下方修正が嫌気されて株価が急落しましたが、それでも今期最終益は2018年3月期以来の水準までのV字回復を見込んでいます。年初来安値に接近するなか、押し目買い狙いのスタンスとなります。

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大同特殊陶(5471)チャート/日足・6カ月大同特殊陶(5471)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【昭和電工(4004)】
ジスプロシウムフリーの磁石用合金の開発に成功

 昭和電工(4004)は2013年、重希土類のジスプロシウムやテルビウムを使用せずに、従来品と同等の性能を持つネオジム磁石用合金の開発に成功しました。HDD用ボイスコイルモーターや風力発電用モーターに加え、よりジスプロシウムの添加量が多いFA(ファクトリーオートメーション)向けモーターについても「ジスプロシウム不使用」を実現しています。

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昭和電工(4004)チャート/日足・6カ月昭和電工(4004)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【安川電機(6506)】
脱ネオジム磁石を実現したEV駆動用モーターを開発

 安川電機(6506)は2013年1月、製造にレアアースが必要なネオジム磁石を使用せず、入手が容易で安価なフェライト磁石を用いたEV駆動用モーターを開発したことを発表しました。開発されたモーターは、従来のネオジム磁石を用いたモーターと同等のサイズを実現しつつ、課題となっていた耐低温減磁性も改善しています。

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安川電機(6506)チャート/日足・6カ月安川電機(6506)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【ジェイテクト(6473)】
重希土類を使わない埋込磁石型モーターの開発に成功

 ジェイテクト(6473)は2019年1月、ネオジムやジスプロシウムといった重希土類を用いたネオジム磁石に代わり、安価なサマリウムを原料としたボンド磁石を採用した埋込磁石型モーター(IPMモーター)の開発に成功したことを発表しました。重希土類を用いないことでレアアースの使用を抑え、さらには独自技術により製造工程を簡略化することで製品性能も向上させています。

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ジェイテクト(6473)チャート/日足・6カ月ジェイテクト(6473)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【日本電産(6594)】
レアアースフリーのSRモーターを手掛ける

 日本電産(6594)は、レアアースが必要となるネオジム磁石を使用しないSRモーター(スイッチリラクタンスモーター)を手掛けています。建設用重機、鉱山・農業用車両といった産業用車両用のSRモーターの開発・生産に注力。さらには、SRモーターとSiC(シリコンカーバイド)半導体素子を搭載したインバーターを組み合わせることで、小型・軽量のEV・ハイブリッド車駆動用のSRモーターシステムも開発しています。

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日本電産(6594)チャート/日足・6カ月日本電産(6594)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 以上、今回は「レアアースフリー」の関連銘柄を7銘柄紹介しました。

 なお、冒頭で説明したレアアースを巡る中国の動きについては、米国による対中包囲網への対抗策と見る向きもあるようです。一方で、バイデン政権は2021年2月、レアアースと半導体、EV向け電池、医薬品のサプライチェーンの見直しに関する大統領令の報告書を発表しています。

 米中貿易摩擦の中で、今後もレアアースの価格上昇が続く可能性は十分に考えられるため、「レアアースフリー」は今後も重要な投資テーマとなるでしょう。
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